当連載の中でも、根強い隠れファンがいる(らしい)航空写真シリーズ。今回は大阪駅を眺めてみた。大阪駅は2004年から大規模な改修工事が行われ、2011年5月に新駅ビルも含めてグランドオープンを迎えた。プラットホームも変更され、ホーム7本・線路13本の「7面13線」からホーム6本・線路11本の「6面11線」になった。ホームが1面減っているけれど、一部が「列車の来ないホーム」として再利用されている。

「列車の来ないホーム」とはどういうことか。航空写真で探してみた。

  • 大阪駅の航空写真(2017年4月14日撮影 : 国土地理院地図・空中写真サービス(CKK20174)よりトリミング)

「列車の来ないホーム」には線路がないはず。そう思って探してみると……あった。

  • 「列車の来ないホーム」が見える(2017年4月14日撮影 : 国土地理院地図・空中写真サービス(CKK20174)よりトリミング・加工)

プラットホームを確認できるけれど、線路がない。まさに「列車の来ないホーム」だ。大規模改修前の航空写真と比較してみよう。

  • 大規模改修前の大阪駅の航空写真(1997年2月9日撮影 : 国土地理院地図・空中写真サービス(CKK962)よりトリミング)

梅田貨物駅が現役だった時代の懐かしい写真だ。大阪駅を見ると、先ほどの「列車の来ないホーム」がすらりと東西に延びている。

大阪駅の大規模改修は、1979(昭和54)年に開業した4代目駅舎の建替えと、梅田貨物駅の移転跡地の再開発などを見込んで実施された。5代目駅舎は大規模商業施設「大阪ステーションシティ」に組み込まれ、ノースゲートビルディングの新築、サウスゲートビルディングの増築、改修が実施された。駅ホーム群は2つのビルに挟まれる形となり、ホーム上空にテラス様式の南北連絡橋が架けられ、大屋根が設置された。

このとき、ノースゲートビルディングの用地を拡幅するために、ホーム1本が廃止された。それが旧「11番のりば」のあった6号ホームだ。北陸方面の特急「雷鳥」「サンダーバード」などが発車していた。

  • 大阪駅の大規模改修でホームの数は減少し、のりばの名称も変化した

「11番のりば」の名称は現在も残っており、当時と同じように北陸方面の特急列車が発着している。ホームの数が減ったにも関わらず、のりばの数字が変わらないという現象も興味深い。その理由は、大規模改修前の大阪駅の大阪環状線ホームにおいて、独立した「環状線・内回りのりば」「環状線・外回りのりば」という名前が与えられていたから。大改修後は大阪環状線プラットホームから1番のりば、2番のりば……数字が振られたため、最大番号の「11」は変わらなかった。

廃止された旧6号ホームのうち、ノースゲートビルディングに転用されなかった部分が「列車の来ないホーム」として残された。JR西日本公式サイトの大阪駅構内図を見ると、ホーム部分はノースゲートビルディングと駐車場ビルを結ぶ歩行者用の連絡通路、線路部分はタクシーのりばとタクシーの回送車線になっている。

  • 大阪駅の「列車の来ないホーム」は現在、ノースゲートビルディングと駐車場ビルを結ぶ歩行者用の連絡通路として使用されている

  • 屋根の形状などに列車が発着していた当時の面影が残る

旧6号ホームは1962年から40年以上の歴史を持ち、用途は違えど現役である。ホームの屋根などに建設当時のデザインや素材が残っており、往時を知る貴重な資料といえる。