2015年3月14日の北陸新幹線長野~金沢間開業と同時に、並行在来線を引き継ぐ第3セクター鉄道4社も運行開始する。このうち、石川県の並行在来線の運営会社は「IRいしかわ鉄道株式会社」だ。会社名の最初の英文字「IR」は「Ishikawa Railway」の略称だけど、他にも込められた意味があるという。その意味とは何だろうか?

北陸新幹線開業にともない、北陸本線金沢~倶利伽羅間はIRいしかわ鉄道の路線となる

「IR」といえば、ビジネスの分野では「インベスター・リレーションズ(Investor Relations)」の略だ。企業における経営情報や財務情報の公開である。最近では、「統合型リゾート(Integrated Resort)」の略称としても知られている。統合型リゾートは娯楽設備のひとつとして、カジノを含んだ滞在型複合観光施設をいう。ホテル・展示場・ショッピングモール・遊園地・映画館などが備わると「複合型リゾート施設」、そこにカジノが加わると「統合型リゾート施設」となるようだ。

それなら、IRいしかわ鉄道は将来的にカジノを運営するのか? なんて勘違いしてはいけない。IRいしかわ鉄道の「IR」に込められた意味は、「あいあーる」転じて「愛ある」だ。「県民に愛される鉄道になりたい」との思いが込められている。それは同社の会社案内にも明記されており、ウェブサイトでも公開されている。この会社案内には、「JRからIRへ」という記述もある。JRから第3セクター鉄道に変わったことをはっきり認識してもらうために、「IR」という略称を冠した会社名になったようだ。

IRいしかわ鉄道の会社案内から。「『愛ある』鉄道を目指す」と記述されている

IRいしかわ鉄道は2012年8月28日に設立された。当時の社名は「石川県並行在来線株式会社」で、事業内容がわかりやすいとはいえ、なんとも固い名前だった。同社は3カ月後の2012年11月30日から会社名を公募し、応募総数1,375点の中から現在の会社名を選出。2013年6月27日に「IRいしかわ鉄道」と決定した。2013年8月1日からロゴマークも公募し、応募総数814点の中から、現在のロゴマークを決定した。

ちなみに石川県のお隣、富山県の並行在来線を運営する会社は「あいの風とやま鉄道」だ。会社名の「あいの風」は、「愛の風」ではなく日本海沿岸に沖から吹く「夏のそよ風」の名前。「あえのかぜ」「あゆのかぜ」ともいい、俳句の夏の季語となっている。もちろん会社名に選定するにあたり、「愛される鉄道になりたい」との願いも込められているという。