今年3月から、栃木県のJR烏山線で日本初の蓄電池駆動電車「EV-E301系」が走り始めた。愛称は「ACCUM(アキュム)」。当面は1編成のみの配置で、他の気動車と合わせて運行される。珍しいから見物に行きたいけれど、烏山線はすべて普通列車で、EV-E301系を使用する列車がどれかはわからない……と思ったら、じつは市販の時刻表で判別可能だった。

烏山線に導入されたEV-E301系

早速、市販の「JR時刻表」で烏山線のページを開いてみた。他のローカル線と同じで、普通列車の時刻が並んでいるだけ。「JTB時刻表」も同様だ。「EV-E301系を使用」「ACCUMで運転」などという文字はない。新幹線のページでは、「N700系で運転」などと書いてあるし、「JTB時刻表」ならすべての特急列車について、使用車両の形式が表示されている。でもさすがにローカル線の使用車両までは明示されないようだ。

「JR時刻表」の烏山線掲載部分

「JTB時刻表」の烏山線掲載部分

それでも、この時刻表からEV-E301系を判別できる。列車番号の欄を見てみよう。下りの始発から「321D」「323D」「325D」「327D」「1329M」と並んでいる。この中で"仲間外れ"がある。「1329M」だ。これだけが数字4桁で、末尾の記号が「M」となっている。列車番号の記号「M」は電車を表す。これがEV-E301系を使用する列車と判別できる。

列車番号の「M」に注目

気動車と電車が混在する路線は烏山線だけではない。しかし烏山線は全線非電化で、線路上に架線が張られていないし、地下鉄銀座線のような電力供給用の第3軌条もない。だから烏山線を走行できる電車は「ACCUM」だけ、というわけだ。ちなみに烏山線では、「M」の付く列車番号の数字が4桁になっている。これも判別しやすくするためだろう。番号だけで呼ぶ都合があるときも、4桁なら判別しやすい。

この法則を知っていれば、今後、こっそりEV-E301系が増備されて、他の気動車と置き換えられた場合も、時刻表で判別できる。車両検査の都合でEV-E301系が走行できない場合は、列車番号に「○月○日は*Dに変更」と注釈が付くだろう。

ところで、EV-E301系の「EV」は「Energy storage Vehicle」の略で、非電化区間を走行できる電車という扱いだ。「ACCUM」という愛称は蓄電池の英語「アキュムレーター(Accumulator)」にちなんでいて、リチウムイオン型の蓄電池を搭載している。私たちが使っている携帯電話やスマホのバッテリーを巨大化したような装置だ。だったら、「バッテリ君」や「バテル」という愛称でも良かったような気がするけれど、じつは「バッテリー」は電池全体を表す言葉。電池の中でも蓄電池は「アキュムレーター」という。

これからは、「俺のスマホ、アキュムレーターの調子が悪いな」なんて言ってみるとかっこいい……かも!?