鉄道車両はディーゼルカーより電車のほうが効率がいい。電車は排気ガスを出さないし、パワフルで、車体も軽くてエネルギー効率も優れている。設備投資が大きいからローカル線はなかなか電化されないけれど、電化したからには電車を使ったほうがいい。

ところが電化したにもかかわらず、快速・普通列車に電車が使われない路線がある。非電化区間に乗り入れる場合はしかたないとしても、すべて電化された区間を走るのに鈍行はディーゼルカーのみ。鉄道ファンから「架線下DC」と呼ばれる珍しい存在だ。

今回は『A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル』で「架線下DC」を再現してみた。同ソフトでは新たに架線柱が追加されている

現在、「架線下DC」となっているのは、JR北海道の室蘭本線東室蘭~苫小牧間と函館本線・江差線函館~木古内間、JR東日本の羽越本線村上~鶴岡間、JR九州の日豊本線佐伯~延岡間、肥薩おれんじ鉄道(全線)など。肥薩おれんじ鉄道は電車自体を持たない。その他のJR線では、特急は電車、快速・普通はディーゼルカーという運行形態になっている。

「せっかくの電化設備がもったいない」と思うけれど、これには事情がある。電車の新製にはお金がかかるし、まだまだ使えるディーゼルカーが余っているのだ。「架線下DC」は交流電化の区間に多く、交流電車は直流電車より製造費が高いのも関係しているだろう。

羽越本線の場合、村上~間島間で直流電化と交流電化に分かれる。村上駅以南の快速・普通列車には直流電車が、鶴岡駅以北の快速・普通列車には交流電車(鶴岡~酒田間は1往復のみ)が使用される。しかし村上~間島間を走行できる「普通列車用の交直両用電車」を新製するとなると、交流電車よりさらに製造コストがかかってしまう。

そのため、この区間にまたがる普通列車はすべてディーゼルカーが使われている。新型車両の導入もディーゼルカーのキハE120形となった。

肥薩おれんじ鉄道はかつて鹿児島本線だった路線で、九州新幹線の並行在来線として発足した第3セクター鉄道だ。同社は発足当初から、製造コストの低いディーゼルカーを採用している。ただし、電化設備はまったくの無駄というわけではなく、この路線を借りて走るJR貨物の貨物列車は電気機関車の牽引で運行されている。

『A列車で行こう9』トリビア - 新バージョンでさらにリアルな鉄道風景に

鉄道ファン、箱庭ゲームファンに人気の『A列車で行こう9』に、待望の新バージョンが登場した。鉄道ファンから見た最大の魅力は、「1:1モード」と架線柱の追加だ。

「1:1モード」(画像左)と従来のモード(同右)の比較。鉄道車両と建物の比率が変わっている

架線柱は7線まで対応する。非電化路線はさらにローカルな風景に

『A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル』

A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル』は鉄道会社経営・都市開発シミュレーションゲーム。線路を敷き、列車を走らせ、駅に列車が発着すると都市が発展していく。シリーズ最新となる本作は、鉄道と建物の縮尺を1:1にする機能、架線の追加、ポイントの個別時間設定、建物の追加など、さらにリアルな鉄道風景を再現できる。Windows 8 / 7 / Vista / XP 対応。価格は7,140円(別途本体、建物キット、建物キット2ndが必要)。

企画・開発:アートディンク 販売:サイバーフロント

「1:1モード」は、鉄道や道路関連の施設を建物と同じ比率にしている。従来は鉄道や道路関連の施設が建物の2倍で、街づくりで風景を俯瞰(ふかん)したときに列車やバス、トラックの存在感が大きかった。これに対し、「1:1モード」は風景を拡大したときや車窓モードでリアルな風景を再現している。マップの広さは同じで、相対的に路線の距離は2倍になり、長距離列車の運行ダイヤを存分に楽しめる。

さらに架線柱の追加で、電化区間をリアルに再現できるようになった。都市の電化区間、ローカル線の非電化区間をはっきり区別できる。

『A列車で行こう9 Version2.0 プロフェッショナル』を楽しむ推奨環境

ドスパラが提供する「Galleria A列車で行こう9 推奨モデル XF-A」は11万9,980円からカスタマイズ可能

推奨動作環境は影や水面、天候の表示をオンにした状態で、1920×1080ピクセルの高精細モニターの全画面で遊べる。必須動作環境はゲームを起動可能なスペックだが、描画オプションをカットし、ウインドウサイズを小さくするなどの対応が必要になる。また、都市が発展していくと動作が重くなる場合がある。

なお、全国のパソコンショップ「ドスパラ」では、ゲームパソコン「ガレリア」シリーズで「Galleria A列車で行こう9 推奨モデル XF-A」を販売中だ。CPUに「インテル Core i7-3770」、ビデオカードに「NVIDIA GeForce GTX670 2GB」、メモリ8GBのハイスペックで、都市の大発展に対応できる。

『A列車で行こう9』に必要なパソコンの性能については下表参照。

推奨動作環境 - 描画オプションをフル活用できる
OS Windows 8(64bit & 32bit) / 7(64bit & 32bit) / Vista / XP
※Windows RT非対応
DirectX DirectX9.0c以上
CPU Core i7-860(2.80GHz)
メモリ 3GB以上
HDD空容量 1.2GB以上
ビデオカード GeForce GTS 250以降のビデオカード
VRAM 1GB以上
ディスプレイ 1920×1080ピクセル以上
サウンド Direct Sound対応
入力機器 キーボードおよびホイール付マウス
その他 インストール時にDVD-ROMドライブ必須、インストール時にインターネット環境が必須
必須動作環境 - 描画オプションの調整が必要
OS Windows 8(64bit & 32bit) / 7(64bit & 32bit) / Vista / XP
※Windows RT非対応
DirectX DirectX9.0c以上
CPU Core 2 Duo
メモリ [XP]1GB以上 [Vista / 7 / 8]2GB以上
HDD空容量 1.2GB以上
ビデオカード GeForce 6シリーズ以降、RADEON X1000シリーズ以降のビデオカード
VRAM 512MB以上
ディスプレイ 1024×768ピクセル以上
サウンド Direct Sound対応
入力機器 キーボードおよびホイール付マウス
その他 インストール時にDVD-ROMドライブ必須、インストール時にインターネット環境が必須