特急列車の名前には、国や地域を代表する自然や、スピード感のある動物などが多い。「さくら」や「富士」は日本の象徴だし、「はやぶさ」や「ひかり」は速さを連想する。ところが、JRには現役力士の名前を採用した特急列車があるという。一体どこを走る列車で、名前の由来となった力士は誰だろうか。
"鉄人大関"「魁皇」が走る!
その特急列車とは、博多と直方(のおがた)を結ぶ「かいおう」だ。かいおうの名前の由来は福岡県直方市出身の現役力士「魁皇」である。魁皇は1988年に初土俵を踏み、現在の番付は大関。幕内優勝は5回。横綱までもう一歩という成績を収めつつ大関にとどまっている。とはいえ、通算成績は959勝633敗154休(平成21年九月場所 2日目終了時現在)。秋場所では、高見山に並び、史上1位となる幕内在位97場所目を迎えている。そんな魁皇は地元の直方のみならず、福岡や九州で大人気。もちろん全国の大相撲ファンにも人気が高いという。
その魁皇の名をいただいた特急列車「かいおう」は2001年に誕生した。篠栗線と筑豊本線の桂川 - 折尾間が電化されて、博多駅近郊の通勤路線として強化された。この区間は「福北ゆたか線」の愛称も与えられ、これをきっかけに「かいおう」が走り始めた。車両は有明やリレーつばめと同じ787系電車。通勤ライナーの役割を持っているため、朝に直方発博多行きが2本、夜に博多発直方行きが2本だけ設定されている。短距離列車のせいか、普通車は全車自由席。特急料金は特例で全区間300円。グリーン車指定席料金も300円という庶民派価格だ。力士の魁皇と同じく、特急「かいおう」も庶民の人気を受けてがんばっている。