こんにちは、旅の口コミサイト「トリップアドバイザー」の三橋です。今年旅行業界で最も期待されているイベントといえば、なんといっても5月1日からスタートした上海万博です。当初計画よりやや低調な入場者数との報道もありますが、過去最高の入場者数を記録した1970年の「大阪万博」を彷彿とさせる、国を挙げての熱気や勢いが感じられます。
トリップアドバイザー 三橋竜二
新聞記者、雑誌編集者を経て、フリーのトラベルライターに。アジアや太平洋の島々を中心に旅行雑誌やガイドブックなどに記事を執筆。2009年より、トリップアドバイザーで広報を担当。旅の楽しさを伝えるために、日々データと格闘中。いつかイースター島に行くのが夢
また、3泊4日でも充分楽しめる日本からのアクセスの良さなどを考えれば、中国の"今"を感じるイベントとして、一見の価値が大いにあるのではないでしょうか。そこで今回は、この万博で盛り上がる上海で、これから日本人旅行者の間でも流行りそうな、新しい滞在スタイルをご紹介したいと思います。
ニューかオールドかニューオールドか?
上海旅行で最も一般的なのが、NYや香港と並び称される摩天楼を展望する近代的なホテルでの滞在です。トリップアドバイザーが発表した「上海ホテルランキング」でも、1位に上海環球金融センターの79階~93階と、世界一高いところに客室がある「パークハイアット上海」が選ばれたほか、床から天井まで大きく窓をとった「ル ロイヤル メリディアン上海」、30階層以上もの吹き抜けが壮観な「グランドハイアット上海」など、超高層のホテルが上位を占めています。
ちなみに「パークハイアット上海」には「景色を楽しみにいってみたものの、実は建物が高すぎて、雲の中で何にもみえませんでした」といった口コミがあるほど。想像以上に高いようです。
一方、上海でもうひとつ人気なのが、「錦江飯店」、「和平飯店」、「浦江飯店」といった、「オールドホテル」、または「クラシックホテル」に泊まるスタイルです。
外灘(バンド)エリアにある租界時代の歴史的建築物が現役のホテルとして使われており、まさに上海の歴史に包まれて眠ることができるのです。これらのホテルは上海の貴重な文化遺産であり、実際にその建物が文化財として登録されているものも少なくありません。
これらの2つのタイプのホテルには、それぞれの魅力的があるのですが、今回ご紹介したいのは、租界時代のフランス様式の住宅である「老房子」などを改装し、客室数数室から数十室の小規模なホテルやB&Bとして営業する、新しいタイプのオールドホテルです。
元が個人の邸宅やアパートなどのため、バンド周辺のオールドホテルのような有名建築ではありませんが、ところどころに残る上海アールデコ調のディテールをいかしてレトロモダンに改装するなど、そのセンスの良さが欧米の旅行者などから人気を呼んでいるのです。
実はこのプチオールドホテル、先ほど紹介した「上海ホテルランキング」でも、「カップルにおすすめ」や「友人同士におすすめ」といったカテゴリー別でのランキングで、すでに数多く登場しているのです。
暮らすように過ごせるプチオールドホテル
まずは「友達同士におすすめ」ランキングの3位に選ばれた「オールドハウスイン」。「老房子」を改装した全12室のプチオールドホテルです。ガイドブックなどにはほとんど掲載されていないものの、口コミで人気が広がり、今ではなかなか予約が取れない状況だとか。
トリップアドバイザー上の口コミでは「1日が終わって部屋に戻ったときに、そこに本当に住んでいるような気分になる場所です」と、プチホテルならではの魅力も語られています。
また2位に選ばれた「クインテット」も、やはり旧フランス租界エリアにある1930年代の住居を改装したわずか5室のプチホテル。
口コミでは、そのインテリアのセンスの良さとともに「ホテルにとまっているというより、友達の家に泊まりにきたような気分」など、アットホームな雰囲気やサービスも高く評価されています。
「カップルでの旅行におすすめ」のランキングで1位に選ばれたのも、やはりプチオールドホテルといえる「アット ギャラリー スイーツ」です。
ここも「老房子」を改装した全39室のデザイナーズホテルで、上海アールデコ調のインテリアが、どこかノスタルジックな雰囲気を感じさせます。口コミでは「ギャラリースイーツはブティックホテルとはどうあるべきかの答えです。画一的なものは何一つありません」とそのユニークなセンスが評価されています。
これらのプチオールドホテルは、ときにはエレベーターすらないこともあり、大手のホテルチェーンのような設備は望むことはできません。しかし、マニュアライズされたサービスとはひと味違うアットホームなもてなしや、まるで上海に暮らしているかのようなくつろいだ雰囲気は、今後日本人、特に女性の旅行者からも人気を呼ぶのではないでしょうか?