こんにちは、旅の口コミサイト「トリップアドバイザー」の三橋です。さて、旅の楽しみのひとつは、なんといってもご当地のおいしいものを食べることですよね。楽しみのひとつどころか、時には「カニを食べに日本海へ」「讃岐うどんを食べに四国へ」なんて、食べること自体が旅の目的になることもあるほど。とはいえ、こと朝食に関しては、早朝から開いているレストランも少なく、朝食込みのパッケージなどを利用してホテルで済ませる人がほとんどだと思います。

であれば、ホテルを選ぶ際に、施設やサービスに加えて朝食がおいしいかどうかはとても重要になるのではないでしょうか。実際にトリップアドバイザーに投稿された日本のホテルに対する口コミを調べてみたところ、「朝食」「朝ごはん」「朝のバイキング」「朝のビュッフェ」など、朝食に関する言及が、なんと1万2,000回以上も含まれていることがわかりました。

トリップアドバイザー 三橋竜二
新聞記者、雑誌編集者を経て、フリーのトラベルライターに。アジアや太平洋の島々を中心に旅行雑誌やガイドブックなどに記事を執筆。2009年より、トリップアドバイザーで広報を担当。旅の楽しさを伝えるために、日々データと格闘中。いつかイースター島に行くのが夢

そこで、トリップアドバイザーでは、朝食について言及している口コミを分析・集計し、多くのユーザーに朝食が絶賛されているホテルを集めた「朝食の評判がいい日本のホテルランキング」を発表しました。今回はこのランキング作成中に、あまりにもおいしそうな朝食の口コミをたくさん見つけましたので、これらの口コミも紹介しつつ、このランキングを詳しくみていきたいと思います。

沖縄が上位にランクイン

朝食の評判がいい日本のホテル トップ20
1位 ホテル日航アリビラ ヨミタンリゾート沖縄(沖縄県読谷村)
2位 品川プリンスホテル(東京都港区)
3位 全日空ホテルズ ラグナガーデンホテル(沖縄県宜野湾市)
4位 ザ・ビーチタワー 沖縄(沖縄県北谷町)
5位 ザ・ブセナテラス(沖縄県名護市)
6位 パン パシフィック 横浜ベイホテル東急(神奈川県横浜市)
7位 ウェスティンホテル東京(東京都目黒区)
8位 ホテルオークラ東京ベイ(千葉県浦安市)
9位 JRタワーホテル日航札幌 (北海道札幌市)
10位 ホテル日航東京(東京都港区)
11位 札幌グランドホテル(北海道札幌市)
12位 ラビスタ函館ベイ(北海道函館市)
13位 神戸 メリケン パーク オリエンタル ホテル(兵庫県神戸市)
14位 ハイアット リージェンシー 福岡(福岡県福岡市)
15位 城山観光ホテル(鹿児島県鹿児島市)
16位 北海道ホテル(北海道帯広市)
17位 シェラトン・グランデ・トーキョーベイ(千葉県浦安市)
18位 沖縄 かりゆしビーチリゾート・オーシャンスパ(沖縄県恩納村)
19位 コンフォートホテル 那覇県庁前(沖縄県那覇市)
20位 リッツカールトン大阪(大阪府大阪市)

上記のランキングで目立つのは、沖縄のホテルがトップ5の4軒を占め、トップ20に6軒もランクインしていることです。次いで北海道のホテルもトップ20に4軒ランクインしています。一方で、東京のホテルは沖縄、北海道より少なく3軒のランクインにとどまっています。トリップアドバイザーが先に発表した世界中の旅行者の口コミによる「日本のベストホテル25」では、東京のホテルが16軒、沖縄のホテルが3軒、北海道のホテルはランクインしていなかったので、両エリアのホテルは、こと朝食に関してはかなりレベルが高いといえるのではないでしょうか。

素材が決め手の北海道

北海道といえば、じゃがいもやとうもろこしなどの野菜に、バターやチーズなどの乳製品、イクラやホタテ、昆布などの海産物と、新鮮でおいしいものの宝庫。北海道のホテルの朝食も、これらの地元食材がふんだんに使われていることが人気の秘密のようです。

9位にランクインした「JRタワーホテル日航札幌」では、朝の定食メニューに、絞り立ての牛乳やホクホクに蒸かしたじゃがいもなどのサイドメニューを提供しています。

朝食は、ホテル選びの大切な基準のひとつ

この素朴ながら北海道らしいサービスは「和食レストランの朝食においてあったしぼりたての牛乳の美味しさは生涯最高でした」「ゆっくり朝食を楽しみたいならバイキングではありませんが和食の丹頂がお勧めです! 絶対ゆでじゃがにイカの塩辛をのせて食べてみて! 」と口コミでもたいへん好評でした。

16位にランクインした帯広の「北海道ホテル」は、お米や味噌にまで地元十勝や道産の食材を使用したメニューに加え、「朝食のバードウォッチカフェからの庭の眺めは清清しい北海道の朝を味わうことができるとおもいます」と、時には蝦夷リスも姿を見せるという風景も朝食の演出のひとつになっています。また、ホテルメイドのパンも人気で、なんと沖縄在住のユーザーからの口コミには「あのパンを食べるには、自宅から12時間かけて、飛行機を乗り継ぎ、特急電車で行くしかない」とまで絶賛されています。

ワッパによそったご飯に好みの魚介類をのせて食べる「勝手丼」が人気のラビスタ函館ベイ

また、今回のランキングの中で、個人的にも最も魅かれたのが12位にランクインした「ラビスタ函館ベイ」です。このホテルの朝食ビュッフェの名物は、なんと新鮮な魚介類を好きなだけ選んで、自分でお好みの海鮮丼を作る「勝手丼」。口コミでは「とにかく、朝食に驚きました。朝から、海鮮が食べ放題でした。海鮮類の豊富なこと、かつ食べ放題です。海鮮以外にもこんなにあってよいのかと思うくらい、食が豊富でした」「今まで食べたホテルの朝食で個人的には一番美味しいです。イカやいくら、ホタテなど具材が選べ、オリジナルの海鮮丼が作れます。この朝食のために、函館旅行を計画したくなるくらいです」と、朝食を目的に宿泊する人もいるほどの人気となっています。

メニューにもひと工夫の沖縄

北海道のホテル以上に高い評価を受けたのが沖縄のホテルです。やはり地元食材を使ったメニューが人気ですが、沖縄の食材には、普段目にしないような珍しい食材があることも、旅行者にとって大きな魅力となっているようです。

例えば5位の「ザ・ブセナテラス」には「メニューは王道の朝食ビュッフェいう印象でしたが、パンに紅イモが使用されていたり、ジュースにグァバやシークワーサーがあり、沖縄らしさを感じました」との口コミが。ジュースひとつでも、朝からトロピカルな気分を味わえるのは沖縄ならではの魅力でしょう。

沖縄の料理はヘルシーさも魅力。写真はホテル日航アリビラの沖縄風雑炊

また食材に加えて、料理も沖縄らしさが魅力のようです。4位の「ビーチタワー沖縄」には「朝食は大充実! 朝からゴーヤチャンプル、ソーキそばなどの沖縄料理から普通の洋食、和食まで何でも食べられます。毎朝、何を食べようかワクワクします」「朝食も、普通のホテルのバイキングと違うのは、沖縄独特のおかずがあります。ゴーヤチャンプルーとかうみぶどうとか、ソーキソバもあり、沖縄料理好きの私にはうれしい朝食です」などの口コミが並び、沖縄の定番料理が旅行者に好評なことが伺えます。

そして、1位に選ばれたのが「ホテル日航アリビラヨミタンリゾート沖縄」。口コミでとてもおいしそうだったのが、洋食のビュッフェで焼きたてのパンとともに提供されているホテルオリジナルのパインバターや紅芋ジャムです。

口コミでも大人気のパインバターと紅芋ジャム

「朝食は他の口コミで紅芋ジャムとパイナップルジャム(*注 実際にはパインバター)が美味しいと評判があったので、迷わずバイキングの会場へ。そんなに甘くなく美味しかったです」「洋食で人気のパインバターと紅芋ジャムは購入して自宅で楽しんでみたらこれもまたとても美味しかったです」と、知る人ぞ知る名物になっているようです。

また、沖縄の食材をふんだんに使った15食限定の「ぬちぐすい定食」も人気で、「体に優しいのに見た目も美しく、食べるのが勿体無いくらいです。特に女性は大好きだと思います」と口コミにもあるように、味はもちろん長寿県沖縄ならではのヘルシーさも評価されています。さらに「器も沖縄のもので、器好きの私はそこもかなりお気に入り♪」と、沖縄らしさのこだわりは器にまで。さすが1位に選ばれるだけの素晴らしい朝食であることがうかがわれます。

意外とベタな旅の喜び

いかがでしょうか? この他のエリアでも、例えば14位に入った「ハイアットリージェンシー福岡」のビュッフェにあるシェフ特製の明太子や、15位の「城山観光ホテル」のさつま揚げなど、素朴でもその土地らしさが味わえるホテルが人気を集めています。

私も昔、初めてパリに旅行した際、宿泊したホテルで朝食を食べながら「パリでクロワッサンとカフォオレの朝食を食べている」と考えただけで、とても幸せな気分になったのを思い出しました(ちなみに泊まったのは格安のB&Bでしたので、正確にはクロワッサンとカフェオレだけという、とてもシンプルな朝食でしたが……)。

きっと旅先では、ちょっとベタなくらいの方がうれしいのかもしれません。ならば、目の前でお好み焼きやたこ焼きを焼いてくれる大阪のホテル、穴子や芝エビなどの揚げたての天ぷらを好きなだけ選んで天丼にできる東京のホテル、なんていうのがあるといいかも、とちょっと思ったのですが、さすがに朝食には重すぎるかもしれませんね。