さて、行き先が決まったら、いよいよスケジュールの組み立てに入ります。何はともあれ必要なのが航空券です。そして、その航空券は"自分が希望するスケジュールどおり"でなくては意味がありません。航空券には席(エコノミー、ビジネス、ファーストなど)の種類があるのはすでにご存知だと思いますが、航空券そのものに種類があります。この連載で扱うのは主に次の2つです。

  • 正規割引航空券(PEX)
  • 格安航空券(IT)

まずは、この2つの航空券を簡単に紹介しましょう。「正規割引航空券」とは、航空会社が直接売っている割引航空券です。航空会社によって名称は違いますが、ANA(全日本空輸)であれば「エコ割」、JAL(日本航空)であれば「JAL悟空」と呼ばれており、各航空会社のウェブサイトから空席照会して購入できます(旅行代理店から購入することも可)。一方「格安航空券」とは、その名の通り安売りの航空券です。こちらは航空会社から直接販売されているものではなく、旅行代理店を通して購入します。最近は格安航空券もウェブサイトで空席を直接照会して購入できる旅行代理店も増えているので、旅行代理店に問い合わせる時間がない人でも、利用しやすくなりました。この2つの航空券の特徴は、一般的なメリット・デメリットを比較すると分かりやすいと思いますので、表にまとめておきます。

格安航空券(IT)と正規割引航空券(PEX)の違い

空港のフライト情報からフライトスケジュールをピックアップ

これまで自分で航空券を買ったことがあったとしても、自分が希望するスケジュールどおりの航空券となると、どうやって探したらよいか検討がつかない方もいらっしゃるかもしれません。旅行代理店に希望スケジュールを伝えて、航空券を探してもらってもよいのですが(今回を読んで面倒と思った方は、こちらがオススメです)、自力で探すこともできます。ここでは私が3月中旬に購入したシンガポール行きの航空券を例に、探し方のポイントを紹介しましょう。

まず、航空券の手配をする日程ですが、ゴールデンウィークやお盆、年始年末でなければ、出発日の2~3カ月前ぐらいがベストです。ただし、仕事でなかなかスケジュールが決められない人も多いと思いますので、この限りではありません。ここで手配した航空券の日程は、6月のある金曜日に半休を取って18時以降に出国し、有給を1日取った月曜日に帰国するスケジュールです。

このスケジュールに合うフライトを絞り込むために、金曜日の18時以降に成田空港を発つ便を調べることにしました。成田空港のウェブサイトにはトップページに「本日のフライト情報」という欄があります。この欄の「国際線[出発全便]」をクリックすると、フライトスケジュール一覧が表示されます。そして、このスケジュールの18時以降出発便の中でシンガポール行きを探すのです(なお、フライトスケジュールは時期や曜日によって変動しますので、各航空会社のウェブサイトでも自分が希望する日のスケジュールを必ずチェックしてください)。すると、次の5つの航空会社をリストアップできると思います。空港までの所要時間を計算しつつ、17時台後半もとりあえず候補にしておきます。

  • ANA(NH901便、17:30発)
  • ユナイテッド航空(UA803便、17:50発)
  • JAL(JL711便 18:15発)
  • ノースウエスト航空(NW19便、18:40発)
  • シンガポール航空(SQ11便、19:10発)
  • ※共同運行便は除いています

今度は、インターネットの旅行情報サイトを使って、格安航空券を検索します。一覧で、上記の航空会社が指定されているものを探してみると、一番安いのはノースウエスト航空で2万8,500円でした。ちなみに、ノースウエスト航空とユナイテッド航空は、成田からシンガポールへのフライトが1日1便しかありません。つまり、この2社が指定されている航空券は、自動的に上記のスケジュールが確定します。それ以外の航空会社は、午前と午後に1便ずつ、1日2便のフライトがあります。航空会社が指定されている航空券は取り扱っている旅行代理店に問い合わせると、その航空券が該当するフライトスケジュールを教えてくれることが多いので、迷わず電話やメールで聞いてみましょう。基本的に午前便より午後便のほうが、航空券は数千円~1万円ほど安くなるようです。シンガポール往復で、ANA、JAL、シンガポール航空が指定されているものの午前便/午後便といった時間帯が明示されていない航空券の場合は、たいてい午後(夜)便になるというのが私の経験則です。

復路のチェックも抜かりなく

さて、無事ノースウエスト航空は希望するスケジュールの航空券であるとあたりをつけられましたが、最終的に私はこれを選びませんでした。その理由は、帰国便のフライトスケジュールです。往路と同じく空港のフライト情報から調べてみると、ノースウエスト航空のシンガポールから成田へのフライトは、シンガポールを朝の6:00に出発する便のみです。この便に乗るには、朝何時にホテルを出ればよいのか……。考えただけでイヤになってきました。そこで、もう少しゆっくりできる便はないものかと各航空会社の午前中の帰国便をチェックしたところ、ユナイテッド航空は7:15、JALは8:20と22:40、ANAは8:20と23:25、シンガポール航空は9:45と23:45にシンガポールを出発する直行便があります。シンガポール航空で格安航空券を探したところ、最安値は3万9,000円でした。

うーんこれは高い! と思いながら、とりあえず上記で挙げた各航空会社の最安値を一覧して考えることにしました。その価格は次の通り。

航空会社 最安値
ANA 3万9,000円
ユナイテッド航空 3万9,000円
JAL 4万5,000円
ノースウエスト航空 2万8,500円
シンガポール航空 3万9,000円

この時点でJALは選択肢からはずすことにしました。

燃油サーチャージの甘いワナに警戒せよ

実は価格を一覧したとき、ノースウエスト航空に再び心が傾いたのですが、あることをすっかり忘れていました。それは燃油サーチャージや航空保険料、空港使用税など、航空券代とは別に一律にかかる費用です。旅行代理店によってはこれらの費用を含めた価格表示をしていることもありますが、ほとんどは航空券のみの価格表示なので注意が必要です。これは航空券だけでなく、ツアーやダイナミックパッケージなどにも当てはまる話で、パンフレットなどに表示されている旅行代金には、燃油サーチャージなどの諸費用が入っていないことがほとんどです。各航空券に、その他費用を合算した価格は、下記のようになります。

航空会社 価格(その他費用込)
ANA 7万1,280円(その他費用は3万2,280円)※
ユナイテッド航空 7万680円(その他費用は3万1,680円)
ノースウエスト航空 6万380円(その他費用は3万1,880円)
シンガポール航空 5万9,800円(その他費用は2万800円)※
※帰路は午後(夜)便利用。午前便の場合はプラス1万円前後

驚いたことに、高いと思っていたシンガポール航空が、この中ではもっとも安い事実が判明しました。迷うことなくシンガポール航空に決定! 早速予約を入れることにしました。このように、燃油サーチャージが徴収されるようになってから、航空券だけの価格では、一概に高い・安いと決められないということを知っておきましょう。

格安航空券なのにキャンセル待ちができない?

嬉々として旅行代理店に予約の問い合わせをしたところ「往路が満席です」とのつれない返事。とりあえずキャンセル待ちをしたい旨を伝えると、「無理です」と断られました。先ほどの表には格安航空券はキャンセル待ちができるとありますが、このようにキャンセル待ちができないこともあります。だったら、別の旅行代理店でシンガポール航空の航空券を4万円で取り扱っているから、そこに問い合わせ……と思うかもしれませんが、実はこの行為はあまり意味がありません。なぜなら、価格が±1000円程度の場合、航空券は販売している旅行代理店は違えども、元を正せば同じことがほとんどなのです。ここではその理由を説明しませんが、問い合わせても恐らく満席でしょう。ただし、満席でキャンセル待ちができなくても、予約者のキャンセルなどによって座席が調整され、空席が出ることもあります。時間がおけるなら、あきらめずに旅行代理店に再度問い合わせてみてもよいでしょう。

希望している航空会社の格安航空券がダメということになると、他の航空会社の格安航空券を探してもいいのですが、今回希望している旅程においてスケジュールと価格がもっともお得なのはシンガポール航空であることは間違いありません。そこで、正規割引運賃で同じスケジュールの航空券を探してみることにしました。結局、今回は航空券の購入こそできませんでしたが、格安航空券を探す際に、今回紹介したフライトの絞り込み方法は分かりやすいと思います。ぜひ試してみてください。

ちょっと長くなりましたが、次回は、正規割引運賃での航空券の探し方から購入までを紹介します。 それではみなさん、よい旅を!

コノミ流旅の掟
「航空券は価格だけでなく、フライトスケジュールやその他諸税も含めて比較する! 」