前回はちょっと不規則に、1日目と3日目の旅程を紹介しました。今回は2日目のアユタヤの遺跡訪問記をお伝えします。

【2日目 8:30~11:30】予定の列車に(また)乗り遅れてからアユタヤへ

朝7:00。出かける支度をしていると携帯電話が鳴り、電話に出ると今日一緒にアユタヤに行く知人からでした。実はこの知人、1日目の夕食で一緒にタイスキを食べた人で、タイで初対面となりました。というのは、バンコクに出発前にインターネットの某旅系掲示板で出会い、たまたま旅程がほぼ同じだったので夕食でも一緒に食べようと約束。すぐに仲良くなり、その席で「明日はアユタヤに行こう!」と盛り上がり、今に至るというわけ。寝坊するかと心配して電話をくれたようで、「これから出ます」と告げ、ホテルを後に。

私の泊まっているホテルから、アユタヤ行きの列車が発着するファランポーン駅はそれほど遠くないはず。まずはチャオプラヤー川を渡って対岸に行き、そこから歩いて15分ぐらい……。と、地図を見ながら歩いていたところ、道に迷ってしまいました。歩けど歩けど道は分からず。しょうがないのでタクシーに乗り、「ファランポーン駅まで!」と伝えると、運転手に「駅と反対側に向かって歩いていたよ」といわれる始末。気がつけば約束の時間になりそうだったので、別のホテルから向かっていた知人に電話を入れて、予定の列車で先に行ってもらうことにしました。

10分ほどで駅に着き、駅舎の中に入るとなんと一緒に行くはずだった知人が目の前に……。どうやら待っていてくれたようです。次の列車は約1時間後。とりあえず切符を買うと、アユタヤまで15タイバーツ(3等)。タクシーの初乗りが35タイバーツですから、この価格の安さには目を見張るばかり。知人にお礼をいいながら、あいかわらず列車に乗り遅れる、さらに他人に迷惑までかける私のだらしなさがほとほとイヤになりました……。

(上)ファランポーン駅の駅舎。プーミポン国王の肖像画が掲げられており、その下の広々とした空間でたくさんの人が列車を待っていました(右)かなり古い列車。席はボックスシートで、向かいの人とは膝がくっつきそうになるぐらい狭く、車両で立っている人の間を縫うように物売りがやってきます

3等車はエアコンも付いていない質素な列車で、むなしく扇風機が回るだけ。まだ本格的な夏ではなかったので、なんとか我慢できたのですが、もしこれが真夏だったら大変なことになりそうです。約2時間、列車にゆられて無事アユタヤに到着しました。

【2日目 13:00~18:00】観光を始めた途端にカメラを紛失

バンコクから北に80km離れたアユタヤには、1350年から417年間タイの王朝が置かれていました。幾度ものビルマ軍の侵略により建築物は破壊されて廃墟と化したのですが、アユタヤ王朝時代の豊かな面影がそこには未だ残っており、現在は世界遺産に指定されている場所です。

アユタヤは、周囲を川に囲まれた島のような地形をしており、駅はその外にあります。まずは渡し舟で島に入り、繁華街のチャオプロム市場周辺で昼食を取った後、いよいよ観光へ繰り出します。アユタヤには観光に便利な公共バスなどはないので、トゥクトゥク(エンジンつき三輪車)もしくは自転車やバイクなどをレンタルすると効率的です。そこで私たちは、トゥクトゥクの運転手と交渉し、5時間貸し切り800タイバーツで交渉成立。もう少し値切れたような気がするのですが、交渉ごとが苦手な日本人なので(笑)、そこそこの値段で引き下がってしまいました。ちなみに、駅周辺にいるトゥクトゥクの運転手はふっかけてきますが、島の中にいる運転手の方が多少は交渉しやすいようです。

トゥクトゥクの運転手に最初に行く寺院「ワット・マハタート」を指示し、到着してからいざ観光!と思ったら、あれあれ、カメラが見当たらない!! 恐らく、昼食を食べた店で写真を撮ったので、そこに置き忘れてきたのだろうと思い、知人をその場に残してお店にトゥクトゥクで戻ると……当たり前のようにありませんでした(涙)。こんなに旅行しているのに盗まれるなんて。トボトボとワット・マハタートに戻り、カメラをなくしたことを知人に伝えると、今日撮る写真はすべてこの記事のために貸してくれるとのこと。昨日初めて会った人なのに、涙が出そうになるぐらいにうれしい申し出でした。とはいえショックに落ち込みそうになりましたが、知人もきっとつまらなくなる。そう思って気を取り直し、観光をスタートすることにしました。

まず、訪れたのは先ほどのワット・マハタート。この寺院には高さ44mの仏塔があったとされていますが、ビルマ軍によってすべて破壊されてしまい、少々痛々しい感があります。アユタヤ王朝の栄枯盛衰を示す寺院跡として有名です。なお、各寺院の入場料は50タイバーツほど(無料の場所もあります)。

ワット・マハタート。建物は崩れてしまい、わずかに土台を残すだけ。頭部を落とされた仏像も目に付きます。このレンガを積み上げた建築方式はクメール様式と呼ばれており、アユタヤの多くの建築物で見られます

木に取り込まれた仏像の頭部。神秘的な佇まいです

ワット・マハタートと道を挟んで向かいにあるワット・ラーチャブラナ。中央に大きなプラーン(クメール様式の仏塔)があるのが印象的です

さらにトゥクトゥクを走らせて、アユタヤ王宮跡へと向かいます。この王宮は1767年にビルマ軍により完全に破壊され、現在は何も残っていません。この周囲にはアユタヤ王室の守護寺院(バンコクのワット・プラケオに相当するもの)のワット・プラ・シー・サンペットと、1956年に復元された大仏寺、ウィハーン・プラ・コン・ボピットがあります。

ウィハーン・プラ・コン・ボピットの中には大仏が本尊として祭られています。白い壁がギラギラと輝く太陽によく映えて美しい

クンペーン・レジデンスの道を挟んだ向かいには、壮大な回廊を持つ寺院、ワット・プラ・ラームがある。ここには初代アユタヤ王のウー・トーンの遺骨が納められていたこともあるそう

続いて、ワット・マハタートの木に収まった仏像と同じぐらいの知名度があると(私的に)思われる寝仏ワット・ロカスタヤへ。この仏像は何もない草原に突然ドデーンと寝転んでいるので、かなりシュールに感じました(笑)。この仏像もビルマ軍に破壊されてしまったのですが、1956年に復元されて現在に至ります。

ワット・ロカスタヤの寝仏。バンコクにあるワット・プラケオの黄金に輝く涅槃仏とは違って屋外にあり、雨風にさらされている姿が少し痛々しく感じました

これで、島の中にある主な遺跡はほぼ周り終わりました。すると、トゥクトゥクの運転手が「ゾウに乗らないか? 」とゾウ乗りを勧めてきます。私たちはもともと乗る気もなかったので断ったら、あっさり引き下がってくれました。私たちはたまたま良い運転手に当たったようで、その後も何かを強く勧めてくることはなく、こちらが飲み物はいかがと勧めても「いらない」と断られたくらいです。

(左)ビルマ軍に対して果敢に戦ったスリヨータイ王妃のチュディ。白と金の対比が美しいチュディの中には、スリヨータイ王妃の遺骨が納められています(上)クメール風の美しい建築物が楽しめるワット・チャイワッタナーラーム。こちらもビルマ軍に破壊されて修復を経たもの。装飾もきちんと復元されているので、クメール様式の詳細を見ることができます

最後に訪れたのは、アユタヤを一望できる大仏塔ワット・プー・カオ・トーン。バンコクの黄金の丘「ワット・スラケッ」のモデルになったという高さ80mほどのチュディが聳え立っています。レンガを積み上げたクメール様式とは違い、石積みの建物なのは後期アユタヤ時代の様式だから。

(左)ワット・プー・カオ・トーン。建物の頂上から見下ろすとアユタヤの街はもちろん、それよりも遠くにある田園風景が楽しめます(上)ワット・プー・カオ・トーンに行く途中にあった、ニワトリの置物が並んでいる謎の場所。後で調べると、これはナレースエン王を称えているもので、王が闘鶏が好きだったことからニワトリが奉られているそう

トゥクトゥクをチャーターしていた時間が終わったので、帰りのバス乗り場まで連れて行ってもらい、そこからBSTアヌサワリー・チャイ(戦勝記念塔)行きのミニバス(白バスみたいなものらしい)に乗り、バンコクまで(60タイバーツ)。途中は疲れて寝てしまったため詳しくは覚えていないのですが、わずか1時間ぐらいで到着したことからかなり飛ばしていた模様。

【2日目 22:00~23:00】女性よりも美しい!?ニューハーフショーを楽しむ

アメリカや日本のシンガーの物まねをしながら歌い踊るニューハーフさんのショー。近くで見てもその辺の女性より数倍は美しく、自分の女子力の低さを実感……

知人と一度別れてホテルに一度戻ってから、再び待ち合わせてニューハーフショーを見に行きます。私はそれほど興味がなかったのですが、知人がぜひ見ておけと勧めてくれたので一緒に行きました。ご存知の方も多いと思いますが、タイはニューハーフが多く、そういった彼女(彼? )らが歌や踊りを披露するショーが見られるのです。私より確実に美しい(笑)女性たちが繰り広げる歌や踊りは、笑いあり感動ありで見ごたえ十分。知人のおかげで、1人だったらたぶん行かなかったショーを満喫できるよい機会となりました。

ちょっと変則的になりましたが、2日目のアユタヤ日帰り旅行をご紹介しました。アユタヤに行く際は、列車を使う(特に3等)のなら出発駅であるファランポーン駅から乗る往路だけにすることをおすすめします。復路はアユタヤが途中駅になるので、3等だと空席を見つけにくくかなりきつい旅になると思うので、帰路はバスを使うのがよいでしょう。また、夜は主要な寺院がライトアップされますので、それを見たい場合は1泊すると夜も楽しめそうです。

今回の旅では、実はガイドブックを持ってくるのも忘れてしまい、初対面の知人にはなんてだらしない旅行者だと思われたことでしょう。色々とご迷惑をおかけしてすみません、そしてどうもありがとう! 列車に乗り遅れる、そしてカメラをなくす、まるで「旅は道連れ世は情け」を地で行った(笑)、バンコク珍道中でした。

それではみなさん、よい旅を!

コノミ流旅の掟
飲食店を出る際は忘れ物に気をつける(外国以外でも) !

タイ・バンコクの旅--日程メモ

時刻 内容
6:30 起床後、ホテルで軽く朝食
7:30 ファランポーン駅へ出発
8:30 道に迷ってタクシーを拾う
8:40 ファランポーン駅到着
9:30 ファランポーン駅を列車で出発
11:30 アユタヤ駅到着
12:00 渡し舟で市内に入り、昼食。カメラをなくす
13:00 アユタヤの建築物をトゥクトゥクで回る
18:00 アユタヤからミニバスでバンコクへ
19:00 バンコク到着。ホテルへ一度帰る
21:00 知人と待ち合わせ、屋台で麺を食べる
22:00 ニューハーフショー鑑賞
23:30 劇場近くのお店で夕食
25:00 タクシーでホテルに戻って就寝