今回からバンコク旅行前編をご紹介しますが、これまでのように時系列ではなく、1日目と3日目は今回の前編、2日目を後編というちょっと不規則な内容になります。その理由は後編を見ていただくと分かるのですが、またもや旅先でトホホなハプニングを起こしてしまったから。その内容は後編まで取っておくとして、バンコク旅行記のはじまりはじまり……。

【1日目 16:00】チェックインしたその先には……スイートルーム!

空調の良く効いた(効き過ぎぐらいに効いていますので、寒さ対策をお忘れなく!)バンコク・スワンナプーム空港から一足踏み出したとたんにムッとする熱気が体にまとわりつき、寒い日本から東南アジアへ来たんだと実感。まずは宿泊するホテルへと向かいます。

渡し舟から望むミレニアム・ヒルトン・バンコク。最上階の円形部分はジャズ・バー「Three Sixty」です

今回選んだのは、常に安宿を泊まり歩いている私にはめずらしく、ちょっと高級な「ミレニアム・ヒルトン・バンコク・ホテル」。このホテルは、バンコクの西を流れるチャオプラヤー川のほとりに建っています。このチャオプラヤー川はその昔、空路や陸路が整備される前は、タイ・バンコクの玄関口となっていた場所です。そして、それを象徴するようにシャングリ・ラやオリエンタル、ペニンシュラなどの超高級ホテル、またシェラトンやマリオットなどの外資チェーンの高級ホテルがひしめき合っています。その一角にあるミレニアム・ヒルトン・バンコク・ホテルは2006年にオープンと比較的新しいホテルですが、ちょうど半額キャンペーンをやっていたのと円に対してタイバーツ安の時期だったので、1泊約8,000円で泊まれました。

川岸に建つホテルの特徴は、部屋がリバービューであることですが、加えて大抵のホテルが川を渡るために渡し舟を出しており、それを使うと風情が味わえるというのもポイント。これも加味してホテルを選んだのですが、川面から流れてくるひんやりとした風で灼熱のバンコクから一瞬離れることができ、渡し舟に乗っているひと時は心地よいものでした。ホテルに着いてさっそくチェックイン。予約時は一番安い部屋を予約しつつ、(私にしては)高いホテルに泊まるんだからと、ずうずうしくも眺望やレイトチェックアウトなどを細かくリクエストしておいたのですが、チェックイン時になぜかマネージャーが暖かく出迎えてくれ、これは何事が起きたのかと首をかしげながら部屋に通されると、その先にあったのは……スイートルームでした。マネージャーによると、私は「GUEST OF THE DAY(今日のお客様)」に選ばれたそうで、そのベネフィットがこのスイートルームだそう。ずうずうしい数々のリクエスト(笑)が功を奏したのか、部屋からチャオプラヤー川の眺望は最高ですし、もちろんレイトチェックアウトも保証してもらえました。はじめてのスイートルーム体験だったのですが、部屋やバスルーム、テレビがそれぞれ2つあるにもかかわらず、残念ながら楽しめるのは私1人だけ。ソファに寝っころがって「部屋、でかっ!」と叫んでも、1人ぼっちってなんてむなしいんだろう(涙)。

ホテルの船着場から川を挟んだ向こう岸に見えるのは、「ロイヤル・オーキッド・シェラトン・ホテル&タワーズ」

スイートルーム(正式には「エグゼクティブ・スイートルーム」)を居間から。左奥に見えるのが寝室です

【1日目 21:00】ロマンチックすぎるバラ風呂に悶絶!

日本人の知人とタイスキの夕食後、ホテルに戻って最上階(32階)にあるジャズ・バー「Three Sixty」へと向かいます。このバーはその名のとおりに、側面ぐるり360度ガラス張りになっており、窓の外に向かって配置されているソファに腰を下ろすと見えるバンコクの夜景は、言葉にできないほど美しいもの。そこで生演奏のジャズを聴きながらカクテルを飲んでいるとほろよい気分に。明日はアユタヤ遺跡を訪れるために早起きをしなくてはならないので、そろそろ就寝しようと部屋に戻ります。そして、部屋に戻ってバスルームに入ると、なんとバスタブにバラの花びらが……!! 添えてあったカードを読むと、どうやらこれもGUEST OF THE DAYのベネフィット。あまりにも私に不似合すぎるロマンチックなサービスに悶絶しながら(笑)、結局はバスタブにお湯を張ってバラ風呂を楽しみ、その後はフカフカのベッドでゆっくりと眠りました。

Three-Sixtyでおススメの女性向けカクテルを聞いたところ、出してくれた「ピンク・サングリア」。フレッシュフルーツを細かく切ったものがたくさん入っていて飲みやすい

Three Sixtyから見える夜景。夜景だけを見るためにこのジャズバーを訪れてもよさそうです

部屋のバスタブにはバラの花びらが敷き詰めてあり、超ロマンチック! その後お湯を流したら下水溝に花びらが詰まったようで、そのまま放置してしまいました。スミマセン……

【3日目 9:00~16:00】期待はずれのカオサン通りと寺院めぐり

2日目はアユタヤ遺跡を訪れたのですが、それは後編をお楽しみいただくとして、最終日の話を先にします。この日はバンコク市内を観光し、カオサン通り有名な寺院(ワット・ポー、ワット・プラケオ、ワット・アルン)を回ります。

まず訪れたのは、カオサン通り。ずっと来てみたかった「カオサン通り」のプレートを見ると、若かりしきころのバックパッカーだった自分を思い出します。さて、そぞろ歩きと思ったのですが、どうやらまだ朝が早すぎたらしく(昼過ぎじゃないとダメなの?)、あまりお店も開いていません。ここに来ることが目的だったので、まぁいいか(それでいいのか?)と次なる場所へ足を進めることにしました。後で話を聞くと、夕方過ぎぐらいからが人もにぎわって本来の「カオサン」が楽しめるようで、やはり早く来すぎたようでした。

カオサン通り(タノン・カオサン)のプレート。あと10年早くここに来ていたら、私の人生も変わっていたのかも……

なんとなく閑散としているように見えるカオサン通り。周辺を歩いてみたのですが、残念ながらこれといって面白そうな場所は見つけられませんでした

気を取り直して、ワット・プラケオです。このお寺はタイの王室専用の寺院ですが、観光地として広く公開されている場所です。大きく分けてワット・プラケオ(エメラルド寺院)と王宮の2つを同時に見ることができます(入場料は350タイバーツ)。ワット・プラケオは王室の守護寺であるとともに、王室専用なので、タイで唯一僧侶のいない寺院です。エメラルド寺院の本堂には、ヒスイでできた本尊が祭られており、そのすぐ隣にある白い外壁に守られた建造物群が王宮で、中央にそびえるチャクリー・マハ・プラサート宮殿が目を引きます。現在のタイ国王、ラーマ9世(プーミポン国王)はこの王宮には住んでおらず(ここから程近いチットラダー宮殿が住居)、国家的な儀式や祭典の場、または迎賓館として利用されているものです。中はかなり広く、見所もたくさんあるので、バンコク初心者には外せない場所という感じでしょうか。中でもエメラルド寺院の本堂の近くにあるプラ・シー・ラタナー・チュディ(仏陀の遺骨が収められている)は、さしずめ黄金の塔といった趣で、ただただその迫力に圧倒されてしまいました。

まず対面することになる本堂。左に見えるのは仙人(ルーシィ)で、霊験あらたかな薬物を調合するとされています

ワット・プラケオは外国人の観光客だけでなく、タイ人も一度は参拝したい場所だそうです。タイ人でごった返す本堂前。お線香とお花を手に、熱心に祈る姿に仏教国タイの信仰の深さが感じられました

(左)黄金に輝くプラ・シー・ラタナー・チュディ。あまりのまぶしさに目がくらむほど。このほかにも、黄金の半人半鳥像や仏塔など、とにかく黄金色の建造物が目立ちます(上)王宮へ。ほぼ中央に聳え立つ、白亜のチャクリー・マハ・プラサート宮殿

続いてワット・プラケオのすぐそばにあるワット・ポー。光り輝く巨大な「涅槃仏」が横たわる姿をひと目みたいと、こちらも大勢の観光客が訪れる場所です(入場料50タイバーツ)。ここは、この涅槃仏以外にも注目したいのがタイ・マッサージ。ワット・プラケオにはタイ・マッサージの総本家とも言えるワット・ポー・マッサージスクールがあり、その卒業生が働くマッサージ場が存在します。タイ式マッサージ(1時間)が360タイバーツ、フットマッサージ(45分)が360タイバーツなので、時間がある方はぜひ寄ってみてください。私は手軽に受けられるフットマッサージを受けたのですが、あまりの気持ちよさにウトウトとしてしまいました。施術してくれる方は多少の日本語も分かるようで、途中で「大丈夫?」「痛い?」などと聞いてくれるので心強かったです。

何はともあれ、まずは涅槃仏とご対面。とにかくでかい!全長46m、高さ15mという巨大な体から繰り出されるまばゆい光に何かしらのご利益を感じるのは私だけ?

足の裏には、バラモン教における宇宙観が細工画によって再現されています。この足のサイズは巨大で、長さ5m、幅1.5m、そして偏平足! ちなみに、土踏まずがないのは超人だという意味だそうです

(左)涅槃仏の後に見ると少し地味に感じますが、本尊はこちらです(上)ワット・ポー・マッサージスクールのマッサージ場。外から中は見えませんが、中には多数のベッドが置かれ、タイ式マッサージやフットマッサージを受けられます

留めを刺すように、ワット・ポーの川を挟んで向かいのワット・アルンへ。このワット・アルンへはワット・ポー近くのター・ティアン船着場から渡し舟を使ってアクセスできます(片道2.5タイバーツ)。このワット・アルンは三島由紀夫の小説『暁の寺(豊饒の海 第3巻)』のモチーフになった寺とされており、日本人にもなじみが深い寺院です。特徴は、仏塔の表面が砕いた陶器の破片で装飾されていること。この破片が日光にあたるとキラキラと光る(特に朝や夕方がキレイだそう)ことから「暁の寺」と呼ばれる所以があります。この寺院は、これまでに巡った2つの寺院とはまったく趣が異なっており、凛として落ち着いていました。できることなら朝早く(または夕方)に拝観すると、本来の美しさが堪能できそうです。タイにおける信仰の源となる主な寺院を一通り見終わるとなんとなく名残おしい気分でしたが、今回の週末旅行に幕を下ろすことにしました。

(左)ワット・アルンにある中央の特大仏塔の高さは75m。それを囲むように4基の仏塔がそびえ立っています(上)近づいてよく見ると陶器の絵柄が見え、その破片を貼り付けていることが分かります

というわけで、本来なら旅行記は終わりですが、次回は今回書けなかった2日目のトラブルinアユタヤ遺跡見学をお伝えします。今回のバンコク旅行はお金をそれほどかけてないにも関わらず、1人で贅沢三昧な旅になってしまいました。まあ、これも普段の行いがよいからだと思いますが(笑)、ちょっと贅沢な旅行もたまには楽しいものですよ。

それではみなさん、よい旅を!

コノミ流旅の掟
帰国便が遅いときは迷わずレイトチェックアウトをリクエスト

タイ・バンコクの旅--日程メモ

【1日目】

時刻 内容
9:25 東京・成田国際空港を出発(SQ631便)→バンコク・スワンナプーム国際空港に到着(14:40)
16:30 エアポートバスとBST(スカイトレイン、高架式の鉄道)を乗り継ぎ、BSTサパーン・タクシン駅まで
17:00 ホテルの渡し舟でホテルに到着後、チェックイン
18:00 BSTサヤーム駅近くで知人とタイスキの夕食
21:00 ホテルに戻りジャズ・バー「ThreeSixty」でカクテルを飲みながら夜景を堪能
22:00 バラ風呂に浸かって旅の疲れを癒す(笑)
23:00 就寝

2日目は後編を参照

【3日目】

時刻 内容
8:00 起床後、ホテルで朝食
9:30 カオサン通りに到着。拍子抜けしながら、次なる目的地へ移動
10:30 ワット・プラケオ参拝
12:00 付近の屋台で昼食
13:00 ワット・ポー参拝後、フットマッサージでウトウトする
15:00 ワット・アルン参拝後、近くのカフェでお茶をする
17:30 ホテルでシャワーを浴びてからチェックアウトし、荷物を預かってもらう
18:30 ルンピニ・ナイトバザールを見物して、屋台で軽く夕食
20:30 ホテルに戻って荷物を受け取り、タクシーで空港へ移動
23:00 バンコク・スワンナプーム国際空港を出発(SQ632便)

【4日目】

時刻 内容
7:15 東京・成田国際空港着、帰国(翌日)
10:00 出社