第一作目から30年ぶりにキング・オブ・シリアル・キラーが甦ります。大自然が溢れるキャンプ地クリスタル・レイクを舞台に、冷酷な殺人鬼ジェイソンが残虐の限りを尽くして殺人を繰り広げるスプラッタ・ムービーの決定版『13日の金曜日』。

"ジェイソン"といえば実際に『13日の金曜日』のシリーズを一作も見ていない人もその名を知るほど世界的に有名なシリアルキラー。その知る人ぞ知る『13日の金曜日』が装いも新たに2009年2月13日の金曜日に世界同時公開で、私たちの元に降臨! 何はともあれ、予告編をどうぞ。

ギャーッ!!こーわーいー!!!

「溺れた子を覚えてる? 彼は 私の息子だった 今日はあの子の誕生日なの─」

静かな湖を背景に、母親らしき女性のナレーションから始まる予告編では、この「私の息子」である「あの子」がジェイソンなんだろうな、と暗に匂わせる不気味な序盤。その静寂を壊すのは、バカ騒ぎする若者たち。

これぞ! ホラー! なシチュエーション!

そして、観客の予想通り、空気は一転!! 1、2、3……と、まるで被害者を数えていくように数字がカウントされて行き、とうとう13でタイトルとナレーションが、どーん!

「13日の金曜日…」

間髪入れずに劇中の台詞、

「彼の名前はジェイソン」

暗がりからジェイソンのトレードマークとも言うべきホッケーマスクが浮かび上がります。

この絶妙な汚れ具合が恐ろしすぎる

本国アメリカのオリジナルの予告編より、日本版の予告編は大学生のバカ騒ぎっぷりの描写がソフトになっていたり、カウントする数字のフォントが違ったりと微妙に違うものの、煽られる恐怖感はバッチリ。予告編観ただけで、もう心臓がドクドクと波打ちます。

『13日の金曜日』の1作目が日本で公開されたのは1980年(アメリカ公開は1979年)。第1作目は実際に起きた事件を基に作られたサイコ・サスペンスとなっていますが、2作目以降からは残虐性と血しぶきに重点を置いたスプラッタター・ホラーに、そして徐々にジェイソンが不死身の怪人にと、作品を重ねるごとに、残虐さと荒唐無稽さを増しつつ笑いまで散りばめ、なんと11作までシリーズ化した、キング・オブ・ホラーです。

死亡フラグが立った瞬間

ジェイソンってば、超能力者とも戦い、NYにも観光に(?)訪れ、ついには宇宙にも行っちゃって、さらには別のホラー映画『エルム街の悪夢』の殺人鬼・フレディとまで戦い、一体何処まで行っちゃうの(やっちゃうの)!?といった『13金』ファンの不安は、今作では無用。製作担当の『トランスフォーマー』のマイケル・ベイと、『テキサス・チェーンソー』の監督マーカス・ニスペルが過去の恐怖を一掃、新たな恐怖を描きました。

"13日の金曜日"といえば、欧米では"不吉な日"として有名ですが、日本でもこの日が"不吉な日"という情報が定着したのはこの映画があったからこそ!と思っています。では13日の金曜日が何故不吉かという理由には、キリストの最後の晩餐に13人が出席し、金曜日に磔刑に処せられたからだとか、バベルの塔が崩れた日だとか、人類初の殺人といわれるカインがアベルを殺した日だとか様々な説があります。

高層ビルは13階を飛ばして建設されたり、空港に13番ゲートを建造しなかったり、病院やホテルでは13号室が存在しないなんてこともしばしば。"13日の金曜日恐怖症"なんて症候群もあるほど、欧米では忌み嫌われていて、まるで日本で言う4や9の数字と同じような扱いです。

さて、予告編をご覧になった方はピンと来たかもしれない、「13日の金曜日」といえば、あの「シッシッシッ…ハッハッハッ…」の効果音。今作でもオマージュとしてしっかり活躍しています。

前シリーズでは、「あの効果音、なんて聞こえる?」「シッシッシッ…ハッハッハッだよ」「いや、キッキッキッ…マッハッハッだよ!」なんて一時期話題になったこともあるようですが、ジェイソン(?)の「kill her, Mommy(彼女を殺して、ママ)」という言葉から「kill,kill,kill…mom,mom,mom…」のような効果音を作り上げたとか。

今まであまり気にしたことがない人も、本作では是非、耳をそばだててじっくりと恐怖を味わってください。本作は視覚もさることながら、聴覚も研ぎ澄ますことで必ず1回はイスから飛び上がること必至です。

ホラーといえば誰もが感じている王道ルール、

  1. Hしてるカップルは殺られる
  2. 一人はぐれていると殺られる
  3. どういうわけか危ない方向へ逃げる

ですが、さて今作ではどうなのかはご自身の目でお確かめください!

『13日の金曜日』は2月13日(金)より全国ロードショーです。

(C)2008 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.

かつらの予告編★ジャッジ

内容バレバレ度 ☆☆☆☆☆
本編との共鳴度 ☆☆☆
ドッキリ衝撃度 ☆☆☆☆☆

春錵かつら(はるにえ・かつら)

映画予告編評論家 / ライター

CMのデータ会社にて年間15,000本を超える東京キー5局で放送される全てのCMの編集業務に3年ほど携わる傍ら、映画のTVCMについてのコラムを某有名メールマガジンにて連載。2004年よりフリーライターとして映画評論や取材記事を主とした様々なテーマを執筆しながらも大手コンピュータ会社の映画コンテンツのディレクターを務めたのち、ライター業に専念、現在に至る