2005年に発売されるやいなや、ニューヨークタイムズ紙のランキングに91週連続ランクイン、累計販売数4,200万部を突破したベストセラー小説「トワイライト」。アリゾナ州の主婦ステファニー・メイヤーが描く、完璧な容姿を持つイケメン・ヴァンパイアと人間の少女との純愛ラブ・ストーリーの映画化第一弾『トワイライト~初恋~』がいよいよ登場です。
「霧の街、フォークス─転校先の高校で馴染めないベラ」
薄暗いスクリーンの中には、新しい転校先で、地元の学生たちともなかなか打ち解けられない様子のヒロイン、ベラが映し出されます。
「ある日、誰も手の届かない美少年、エドワードに出会う。
だがベラにはエドワードを強く惹きつける秘密があった─」
主役のもう一人であるエドワードが登場。異様に色白の"いかにも吸血鬼"のエドワードですが、まあその突っ込みはさておき、これで主役がそろいました。二人が視線を交わすシーンが挿入され、二人の恋の始まりを予感させます。ここで主題歌のイントロが流れ始め、物語が動き出したことが自然と観客に伝わるというロマンティックな演出。当然、ベラはエドワードがまさか吸血鬼とは思うはずもありません。
そんな折、ベラに突進する車をなんと素手で止めるエドワード。
「なぜあんな事が出来るの?」 「なぜだと?」 「あなたって肌が真っ白で氷みたいに冷たい…あなたの正体って…」 「言えよ」 「ヴァンパイアよ」
ここでエドワードがヴァンパイアということがベラにも明らかになります。ただのラブ・ストーリーから一変、ヴァンパイアと人間という種族を超えたサスペンス・ラブ・ストーリーに。さて、一般に知られているヴァンパイアの特徴といえば
- 不老不死
- 青白い肌
- ニンニク、十字架、太陽の光が苦手
- 心臓に杭を打たれると死んでしまう
- 鏡に映らない
- 血を吸う
- 見た目より怪力である
- 咬まれるとヴァンパイアの仲間入り
などがありますが、この予告編だけでもそんな「ああ、吸血鬼だ!」という特徴がいくつか散りばめられています。皆さんが知っている吸血鬼の特徴は、本編では一体いくつ当てはまるのでしょうか? 劇場でお確かめ下さい!
「怖いか?」 「いいえ。あなたを失うほうが怖いわ」
とうとう二人は困難な恋に突き進む決意をした様子。一転、不穏な空気が漂う森の中、颯爽と歩く3人の男女。エドワードたちと同じ青白い顔を見ると彼らもヴァンパイアのようですが、どうやらこの3人はタチの悪い敵のようです。それでもベラはこう言い放ちます。
「あなたと別れるなら死ぬわ」
これぞ、青春!! 好きな彼のこと以外は目に入らない「恋」という名の病、発症!! そんなベラに対して
「命がけで君を守る。君は僕の全てだから」
ここで、エドワードによるどの女性も人生に一度は言われたいセリフ投入!! テンションの上がる一言です。エドワードもベラと同じく「恋の病」発症です!! 最後に一言、こんなコピーが現れ、予告編は終わります。
すべてを奪われたい。
そうでしょう、そうでしょう。そりゃあ、ハートに矢が刺さった二人の前には、どんな障害も屁のカッパです。困難は逆にもっと恋の炎を燃え上がらせる薪にとって代わるでしょう。ここまでノロけられちゃあ、かえって小気味がいいってもんです。
「エドワードはヴァンパイアなんだよ」ということを強調したバージョンや、それに加え「現れた強敵との熾烈な戦い」といういかにも"ヴァンパイア物語"的な予告編の本国アメリカのものと比べ、日本版は"ヴァンパイアと人間の女子高生との恋愛物語"という部分をクローズアップしたつくりとなっています。そしてこちらが、とりわけ若い女性に好評というTVスポット。
予告編は本予告とTVスポット、どちらも日本オリジナルのもの。TVスポットの方は、本予告よりもさらに短い"15秒"という枠の中に、映画『トワイライト』が持つドラマ性を、ぎゅっと詰め込むことを意識して製作されたそうです。 このTVスポットは本予告のような第三者からの視点ではなく、エドワード目線の言葉から始まります。
「これ以上好きになってしまうと 僕は君の命まで奪ってしまう」
冒頭のこの言葉。こういう言葉に、女性はキュンと来るようです。「禁断の恋」、「好きだけど好きになれない」といった女心を掴む要素を実に巧みに盛り込んだこの台詞、お見事です!!
しかしエドワード……実にヴァンパイアらしい名前!! 吸血鬼といえば、トランシルバニアやルーマニア出身のイメージですが、しかし私の独断と偏見で、エドワード、アンドリュー、スチュワート、グリフィン、ローレンス……ヴァンパイアの名前は、イギリスに多い名前に限る!! そして、欲を言うなら貴族であって欲しい……まあ、そこは百歩譲って、貴族とまでは行かなくとも「紳士」であって欲しい。そんな私の欲求は見事に満たされました。本作で物静か、かつプチ・紳士なヴァンパイア、エドワードを好演してくれたロバート・パティンソンはゲジ眉なのに、何故か動けば動くほど格好良く見えてしまうフェロモンを漂わせ、アメリカでは本作で大ブレイク。『ハリー・ポッター』のセドリック・ディゴリー役の彼からは想像もできない成長っぷりを披露しています。
アメリカでの大ヒットに続き、日本でも複数の雑誌やwebでこぞって特集が組まれ、ヒットの兆しを見せています。禁じられた恋ほど燃える、イヤ、萌える(!?)というのは世界共通なのでしょうか? キスすらも命がけというストイックさ全開の生粋のラブ・ストーリー、今ときめいてる人も、ときめきを思い出したい人も、主人公ベラになりきって観てください。
かつらの予告編★ジャッジ
内容バレバレ度 | ☆☆☆☆ |
---|---|
本編との共鳴度 | ☆☆☆ |
トクントクンときめき度 | ☆☆☆☆ |
STORY
17歳のベラは、離れて暮らしていた父のもとで新しい生活を始める為、ワシントン州にある霧の町、フォークスへやってきた。人付き合いが苦手なベラは転校先の高校になかなか馴染めずにいたが、そんな中一際特別な雰囲気を放つ青年エドワードに出会う。なぜかベラを避けるエドワードだったが、あるとき人間離れした能力により命を助けられたことから、二人は急速に近付き始め……。(C)2008 SUMMIT ENTERTAINMENT, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
4月4日全国ロードショー
春錵かつら(はるにえ・かつら)
映画予告編評論家 / ライター
CMのデータ会社にて年間15,000本を超える東京キー5局で放送される全てのCMの編集業務に3年ほど携わる傍ら、映画のTVCMについてのコラムを某有名メールマガジンにて連載。2004年よりフリーライターとして映画評論や取材記事を主とした様々なテーマを執筆しながらも大手コンピュータ会社の映画コンテンツのディレクターを務めたのち、ライター業に専念、現在に至る