バンク・オブ・アメリカ・メリル・リンチ社のファンド・マネージャー調査(4月)が14日に発表され、ウオール街の話題になりました。日経平均2万円タッチの直前、4月2-9日に177名の欧米ファンドマネージャー(運用総額60兆円近く)を対象に実施された調査なので興味をひきます。

やる気ムンムンなマネージャーが倍増?

気になる日本株は「お気に入り」(favorite)と表現され、既に充分日本株を買っている人たちが3月の36%から4月は38%にコツコツ増えています。更に、これから日本株を買うよ、という欧米投資家が3月の10%から、4月の22%へ倍増しました。やる気ムンムンですね。

ただ、気になるのは円相場の見方。2月には、円高と見るより円安と見る人たちのほうが12%上回っていました。ところが、4月の調査では、円高と見るほうが、2%増えて、逆転しているのです。

115円方向に行くという見方が、125円方向より優るという実態。たとえば、ギリシャ国債のデフォルトなどが起こると、安全通貨として円が買われやすいと見ているわけです。

なお、今年最大の話題といえる米国の利上げ開始時期については、85%の人たちが、年内に利上げありと覚悟しています。但し、過半数が7-9月期前には利上げ無しと見ています。

NY株は割高に、金は割安に

なお、この調査に金は含まれていませんが、NYのファンドマネージャーたちと私が話していると、「NY株は十分に買われ、割高でバブルの気配さえ感じられる。一方、金は十分に売られたので、割安になっている」というコメントが増えています。

ギリシャのデフォルトなど緊急事態に備えようという発想ですね。決して急がず、コツコツ割安感のある金も買い増してゆくという姿勢。世界マネーの流れの潮目に変化の兆しが見られます。

著者プロフィール

●豊島逸夫
豊島逸夫事務所(2011年10月3日設立)代表。2011年9月末までワールド ゴールド カウンシル(WGC)日本代表を務めた。1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。 三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラーとなる。豊富な相場体験をもとに金の第一人者として素人にも分かりやすく独立系の立場からポジショントーク無しで金市場に限らず国際金融、マクロ経済動向についても説く。またツイッターでも情報発信している。

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25歳。仕事や私生活それぞれに悩み不安を抱える年齢ではないだろうか。そんな25歳のあなたへ、日本を代表するアナリスト・豊島逸夫ウーマノミクスの旗手・治部れんげがタッグを組んだ。経済と金融の最新動向をはじめ、キャリア・育児といった幅広い情報をお届けする特別連載。こちらから。