「どうやったらできるか教えてください」――。結婚を控えた働く女性から、よく尋ねられることです。彼女たちが知りたいのは、働きながら子どもを育てる方法。
私は2人の子どもを育てながら働いているので、こういう質問をよく受けます。私の答えはシンプルで「どこに住むか、ものすごく重要ですよ」。 夫婦だけの時は、お互いの仕事に便利なところや、ふたりで楽しく過ごせる街に住めばいいのです。ところが、子どもがいると事情は全く変わります。
マイホームの決め手は保育園?
ひとつの例を挙げましょう。首都圏のある自治体。その街から引っ越してきた保育園のパパ友から、こんな話を聞きました。 「○○市は、本当に保育園に入れないんだよ。だって僕、市役所の窓口で『どうせ(保育園には)入れないから、申し込まないでください』って言われたから」。
彼は引っ越し先の自治体で、ちゃんと保育園に入れたことを、すごく喜んでいました。みなさん、待機児童について、聞いたことがあるでしょう。実は保育園の入りやすさは、自治体によって大きく違います。 保育園があまりに足りない自治体では、たとえ悪い保育園でも転園は難しく、そういう中で、子どもが亡くなる事故も起きているのです。
子どもが保育園に入れないと働けない
保育園に入れるかどうかは、働き続けたい人にとって死活問題です。もし、自治体が認可した保育園に入れれば、最低限の広さや先生の数は保障されています。費用も安く、収入や子どもの年齢によって異なりますが月に3万円-5万円くらい程度。 東京都には認証保育所があり、こちらはもう少し高いですが、月に10万円を超えることはありません。認可保育園との差額を補助してくれる自治体もあります。
もし、保育園を使えず、全てベビーシッターさんを頼むと、きちんと保険に入っているようなシッター会社なら、安くても1時間1500円程度はかかります。毎日8時間、1週間5日使えば、1カ月に25万円近くに上ります。 私自身は、仕事復帰から1-2週間はベビーシッターさんをお願いしました。その後、認証保育園にタクシーで送迎する生活が半年続きました。歩いていける場所にある認可保育園に入れた時は、生活が一変し、天国みたい……と思いました。
もし、あなたが結婚を控えていたり、そろそろ子どもを持って家を買おうと考えていたりするなら、マンションのモデルルームより先に、買いたい家のある自治体の"保育課"を訪ねてください。 そして、比べてみてください。年間100万円以上家計に影響し、これから生まれてくる子どもが過ごす環境を左右する大事な情報を得られるでしょう。
申し遅れましたが、豊島逸夫事務所で執筆を行っております、治部れんげと申します。女性ならではの立場から、育児や仕事など様々な情報を発信していきます。ちなみに2児の母でもあります。
著者プロフィール
●治部れんげ
豊島逸夫事務所副代表。 1974年生まれ。1997年、一橋大学法学部卒業。同年日経BP社入社。記者として、「日経ビジネス」「日経マネー」などの経済誌の企画、取材、執筆、編集に携わる。 2006年~2007年、フルブライト・ジャーナリスト・プログラムでアメリカ留学。ミシガン大学Center for the Education of Woman客員研究員として、アメリカ男性の家事育児分担と、それが妻のキャリアに与える影響について研究を行う。またツイッターでも情報発信している。