前回に続いて、働きながら子育てしたい20代女性向けに、会社選び、職場選びのポイントをお伝えします。転職や異動先を考える際の参考にして下さい。
産後も仕事を続けたい女性におすすめの働き方
育児しながら、やりがいのある仕事を続けたい……という方には、フレックス勤務ができる会社や職種を選ぶことをお勧めします。フレキシブル=柔軟に働けるというのは、場所や時間を自分で選べる、ということです。
具体的に言うと「場所の自由」とは、在宅勤務やサテライトオフィス、外出先のカフェなどを使って仕事ができるということです。通勤時間を短縮したり、顧客訪問した際に近くで事務作業をすませることができたりと、効率的です。「時間の自由」とは、仕事を始める時刻や終える時刻を自分で選べることを指します。通勤ラッシュを避けて早めに出勤する代わりに夕方早めに帰るとか、勤務日数を週4日にする代わり毎日10時間働く、といったことが考えられます。
海外の「ママが働きやすい会社」が持つ特徴とは
9月初旬、アメリカのワーキング・マザー・メディア社が「ワーキング・マザー・ベスト100社」を発表しました。同社は毎年「ママが働きやすい会社」を調査、結果を公表しており、今回が30回目。子育てを経験した女性が企業内で昇進できていることも重視しています。今年ベスト入りした会社では、「従業員の4人に3人がフレックス勤務を利用している」そうです。
(参考:http://www.workingmother.com/2015-working-mother-100-best-companies))
私は8年前、アメリカの共働き夫婦の先進事例を取材しました。子育てをしながら管理職や専門職に就いている人の多くが、男性も女性も在宅勤務などの「フレックス勤務」を使っていました。テクノロジーを活用し、時間と場所にとらわれない働き方をすることで、最大限の成果を上げる、という発想が根付いていたのです。
楽しみながら育児も仕事もこなせる環境を探そう
日本でも、IT機器を活用すれば、多くのオフィスワークは自宅で行うことができます。日本の場合、課題は技術ではなく文化でしょう。技術的には柔軟な働き方が可能なのに、長く会社にいるほど「頑張っている」と評価する古い文化が邪魔をしているのです。
日本企業の管理職や役員から、フレックス勤務導入を嫌がる理由を聞く機会もありました。しかしながら、情報漏洩リスクを除いてほぼ全てが、これまでのやり方を変えたくないための言い訳と映りました。
皆さんの今の職場や上司は、出産・育児をしながら働き続ける人を、正当に評価できているでしょうか。「オフィスの机の前に座っていること」ではなく「その人が上げた成果」をちゃんと見ているでしょうか。ここが、将来、皆さんがやりがいをもって働きながら育児も楽しめるかどうかの見極めポイントです。
もしそうではないなら、フレックス勤務ができるような仕事を、社内外で探すことをお勧めします。20代なら、まだ遅くはないはずですから。
著者プロフィール
●治部れんげ
豊島逸夫事務所副代表。 1974年生まれ。1997年、一橋大学法学部卒業。同年日経BP社入社。記者として、「日経ビジネス」「日経マネー」などの経済誌の企画、取材、執筆、編集に携わる。 2006年~2007年、フルブライト・ジャーナリスト・プログラムでアメリカ留学。ミシガン大学Center for the Education of Woman客員研究員として、アメリカ男性の家事育児分担と、それが妻のキャリアに与える影響について研究を行う。またツイッターでも情報発信している。
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25歳。仕事や私生活それぞれに悩み不安を抱える年齢ではないだろうか。そんな25歳のあなたへ、日本を代表するアナリスト・豊島逸夫とウーマノミクスの旗手・治部れんげがタッグを組んだ。経済と金融の最新動向をはじめ、キャリア・育児といった幅広い情報をお届けする特別連載。こちらから。