はじめまして、英語学習コンサルタントのセレンです。今回から全5回の連載形式でTOEIC Listening & Reading Test(以下、TOEIC L&R)600点を確実に手に入れる方法を記事にしていきます。
英語力ゼロ、海外経験ゼロの31歳社会人から一念発起し、国内独学でなるべくお金をかけずにTOEIC満点までたどり着き、大手IT企業で約2万人以上にTOEIC指導をした経験をもとに、みなさんに有益な情報をシェアできればと思っています。
第一回目の今回はTOEIC L&Rで600点を目指す戦略法をお伝えします。ぜひ最後まで読んでもらえるとうれしいです。
■なぜTOEICなのか?
さて、今回の連載は"TOEIC L&Rで600点取得を目指す"という内容なのですが、そもそもなぜTOEICという試験はここまで需要があるのでしょうか。
TOEICは英語試験の中でも国内においてはダントツで知名度が高く、就職や転職に有利というのが、まずは最大のメリットです。試験としては難易度が高いTOEFLやIELTSの高スコアを持っていても、国内では悲しいかな、それってTOEICでいうと何点なの? と聞き返される場面は少なくないはずです。
企業側もTOEICを軸に英語力を判断することが圧倒的に多いため、やはり国内における資格としてのパワーは、TOEICが間違いなく最強なのです。ビジネスパーソンが英語力を証明するのに資格を一つ選べ、と言われればTOEIC一択で間違いありません。
■マインドセット編
さて、今からTOEIC L&Rで600点の取得を目指すぞという人へ。勉強を始める前に、まずは知っておいてほしいことを3つ話したいと思います。私自身、これを知ってから英語学習に向き合えたらもっと楽に進められたのに……と思うものばかりです。
1. 基本が大事
英語力を高めていく、というのは何も特殊な能力を覚醒させるとか、常人ではできないことを習得していくとか、そういうことではありません。
英語力を育てるために大事なものは単語・文法・発音の3つです。これらが三位一体となって英語力は伸びていきます。
そして、基本の3つを大事にしながら、文法学習や単語の習得、そして基礎発音の練習をコツコツと続けていくことが最も重要であることを決して忘れないようにしてください。
2. 時間の捻出
英語をこれから頑張るぞ! という人に多いのが最初のモチベーションの高いときだけ何時間も勉強し、数日経ったらピタッとやめてしまうパターン。いわゆる三日坊主というやつです。
英語学習は長期戦です。ある程度のレベルに到達するには最低でも1年を視野に入れておいてください。その際、大事なのが時間の捻出とその考え方です。英語学習を始めて軌道に乗るまでは1日1時間を目安に学習するとよいでしょう。
3日間だけ1日5時間勉強してもせいぜい15時間の捻出です。しかし1日1時間を半年続けられたら、約200時間弱は捻出できることになります。今の生活を劇的に変えることなく、それでもしっかり英語に向き合える時間、そしてじわじわと続けられる時間として、私は1日1時間をおすすめします。
3. 挫折しない考え方
10年20年、もっと長く英語学習をやってきた人も含め、英語学習において一番大事なものは何ですか? と聞くと返ってくる答えは一つに絞られます。それが「継続」です。
どれだけ効果的な学習法も、どれだけ高価な教材も続けなければ成果は生まれません。どんな素質も、どんな特性も、語学という分野においては継続せずに花は開かないのです。違う言い方をすれば今、英語ができる人すべてに共通していることが「継続」してきた、ということなのです。
挫折しないために大事な考え方は「モチベーションに頼らないこと」。モチベーションは"水物"とよく言われます。水は高いところから低いところへ流れるもので、モチベーションも同じです。必ず下がるものなのです。
モチベーションをどう上げるか?という考え方ではなく、モチベーションに左右されない習慣をいかに身につけるか。これが最も大事な考え方なのです。1日1時間、必ずこれとこれをやっている、と胸を張って言えるものを持っておくことがとても大切なのです。
■英語スキル編
TOEIC学習を始めるに際して、十分なマインドセットが整ったところで、いよいよ具体的なプランの立て方に入っていきましょう。今の実力を知り、全体的な戦略を立て、実施をしていく、というイメージで解説をしていきます。
1. 現在地の測り方
まず大切なことが、今の実力を知るということです。目標の600点までどのくらい離れているのかを知らないと、この先の適切な進め方がぼやけてしまいます。現在地の測り方は精度の高いものと簡易的なものを紹介します。
まずは精度の高い方法ですが、TOEIC公式問題集を購入し、実際に解いてみるという方法です。公式問題集は本番に限りなく近いもので、この先何度も必要になる教材です。遅かれ早かれ必ず購入することになるため、最新のTOEIC公式問題集をまずは購入することをおすすめします。
時間を計って本番通りに解いたら採点をしてみます。換算スコア表が乗っているのですが、スコアレンジが広く逆に混乱してしまうので、正解数(全問で200問)に5をかけてみてください。100問正解できていたら100×5で500点、になります。
簡易的な方法としては「Santa アルク」というアプリの無料診断テストを受ける方法があります。3分で終わるのですが、スコア予測の精度は非常に高いものになっています。まずはすぐに測ってみたいという人は、ぜひお試しください。
2. 全体戦略の立て方
現在地がわかったら、6カ月の全体戦略を立てていきましょう。
「まずはリスニングが得意なのか、リーディングが得意なのか、苦手な方に注力して学習を進めましょう」と書かれた記事が多いのですが、これまでTOEIC800点を目指す約2500人の個別カウンセリングを担当してきた経験上、600点を目指す人はどちらにも必ず課題があります。どちらかに注力するのではなく、バランスよくどちらにも注力していく戦略が必要になります。
具体的なおすすめ教材は次回伝えますが、公式問題集・発音の基本を学べる本・単語力を増強する本・そして文法の基礎を築く本、この4冊で半年間、頑張っていくことになります。
教材もあれこれ買ってはやめて、ではなく1冊をとことん繰り返し学習していくことが全体戦略となります。この本と一緒に最後までいく、そういう気持ちを持ってやっていきましょう。全体戦略としては、これまで話してきたことを総合的にまとめると……
1. リスニング、リーディングをバランスよく行う
2. 1日1時間から学習はスタートしてみよう
3. 単語、文法、発音の3つを軸に学習を継続しよう
4. 現在地を測定し目標との差を把握しておこう
これが6カ月の全体戦略です。
1時間の使い方としては単語、文法、発音をバランスよく学習するように心がけてみましょう。何かに時間を多く割くのではなく、すべて同じ長さになるようまずは3等分するイメージで問題ありません。
マインドセットと現在地をしっかり把握し、価値のある6カ月を目指していきましょう。社会人の英語学習は"お金と時間をいかに無駄にしないか"が鍵になります。
成長を楽しみながら、新しいことを習得するワクワクを感じながら頑張りましょう! 次回は具体的なおすすめ教材編をお届けいたします。