奈良には専業主婦が多く、教育熱心で貯蓄も多い

古い歴史がある都であり、大阪府のベッドタウンでもある奈良県。統計をひもとくと、懐かしい時代の香りがありました。

専業主婦が多い県ならではのデータが

奈良県のベッドタウンらしさが表れているのが通勤時間。往復89分は4位で関西では最長(2006年 全国平均72分)。鉄道利用者の68.21%が県外に出ており、これは全国2位の高率です(2007年 全国平均21.12%)。長距離通勤の分、睡眠時間は短く7時間36分は44位です(2006年 全国平均7時間42分)

奈良県を特徴付けるのが共働き率で、45.87%は全国で最も低く、専業主婦が多い県だと言えます(2010年 全国平均53.92%)。男性育児参加率が22.0%で41位と低めなのは、専業主婦の多さの裏返しでしょうか(2006年 全国平均25.4%)。

専業主婦が弁当を手作りするからか、お店で弁当を買う金額は1世帯あたり年間9,018円で最下位(2010年 全国平均12,761円)、おにぎりを買う金額は1世帯あたり年間2,965円で41位と低め(2010年 全国平均3,659円)。一方、手作り弁当によく使われる冷凍食品消費量は1世帯あたり年間6,415円で8位(2010年 全国平均5,124円)と多くなっています。

豊かな余暇を過ごしつつ、貯蓄額全国1位

そんな奈良県の家庭を耐久消費財から見ると、パソコン普及率、空気清浄機普及率、電動ミシン普及率が1位、ビデオカメラ普及率が2位、携帯電話普及率が3位、ドラム式洗濯機普及率が4位、食器洗い機普及率が5位と高機能家電を中心に高い普及率。さらに、ピアノ普及率が1位、ゴルフ用具普及率が3位、楽器購入額が3位、ペット飼育費用が2位と豊かな余暇をすごしている様子がうかがえます。

では、浪費癖があるのかと言われるとそうでもありません。ビール系飲料購入費のうち、発泡酒と第3のビールが占める割合は58.54%で4位(2009年 全国平均49.94%)、ガソリンスタンドに占めるセルフ式スタンドの割合は29.97%で6位(2010年 全国平均21.79%)とお金を賢く使っていて、1世帯あたり貯蓄額の2,150万円は全国1位です(2008年 全国平均1,703万円 )。

景気が良かった時代の面影が奈良県に!?

奈良県のもうひとつの特徴は教育熱の高さ。中学生通塾率は72.7%で1位(2013年 全国平均60.4%)、小学生通塾率は56.7%で4位(2013年 全国平均49.7%)。さらに中学生に占める、国立・私立中生徒の割合は13.1%で3位(2011年 全国平均8.01%)と中学受験も盛んです。

教育熱の高さは大学の合格成績にも表れており、東大合格者数は高3生1,000人あたり5.59人で2位(2014年 全国平均2.87人)、京大合格者は高3生1,000人あたり19.57人で1位と(2014年 全国平均2.70人)と抜群の成績を誇っています。

充実した余暇をすごしながらも、節約上手な専業主婦が多くて貯蓄はたくさん。教育熱心で子どもはハイレベルの大学に進学する。こうして奈良県の特徴をならべてみると、一昔前のドラマに出てくる裕福な家庭のよう。日本の景気が良かった時代の面影を残しているのが奈良県なのかもしれません。

奈良県と他都道府県の相関図。関西のみならず関東とも似ている傾向が

700以上のランキングから、奈良県の相関関係を筆者が割り出したのが上の地図です。赤は似ている県、青は正反対の県、黄色はどちらでもない県。関西や関東の都市型各県との相関が高くなっています。よく見ると、東京都よりも神奈川県・千葉県・埼玉県との相関が高く、ベッドタウンとして共通するところが多いようです。

※本文と写真は関係ありません

筆者プロフィール : 横道 文也(よこみち ふみや)

統計サイト「都道府県別統計とランキングで見る県民性」主宰。様々なデータを都道府県という切り口から分析し、新たな「おむつとビール」を探すデータマイナー。時系列でデータを分析する「年次統計」や歴史年表を分析する「年表マニア」などのデータサイトも運営。