年末年始やお盆の帰省シーズン、ゴールデンウィークや夏休みの観光シーズンは指定席を取りにくい。JRも多数の臨時列車で対応しているが、人気列車の指定席は乗車1カ月前の発売日にすぐ売り切れてしまう。しかし、あきらめるにはまだ早い。都合によって乗車できなくなった人が指定席を手放す時期を狙ってキャンセル待ちしてみよう。JRの列車の場合、乗車日の2日前が狙い目だ。乗車日の前日になると払戻手数料がグンと跳ね上がるため、2日前までに手放す人が多いからだ。
乗車2日前に払戻手数料が跳ね上がる
旅行の開始前までに旅行を中止した場合、予約した列車やホテルをキャンセルすると、すでに払った料金は一定の手数料を差し引いて返還される。JRグループの場合は、乗車券や自由席特急券の払戻手数料は210円となっている。ただし、乗車券の使用前で、乗車券の有効期間内であることが条件だ。
これが指定席特急券や寝台券になると、ちょっと複雑になる。列車出発日の2日前なら料金の金額にかかわらず一律で320円だ。しかし、出発日の前日から出発時刻までは料金の30%になる。たとえば、東京 - 新大阪間の新幹線特急券は5,540円(通常期)。乗車2日前に払い戻せば、手数料の320円を差し引いて5,220円が戻ってくる。ただし、乗車前日に払い戻す場合の手数料は1660円(10円未満切り捨て)となり、3,780円しか戻ってこない。
大人気の豪華寝台特急になると、手数料の差額はもっと大きくなる。上野と札幌を結ぶ寝台特急「カシオペア」のA寝台個室「カシオペアスイート」の寝台料金は25,490円だから、出発日前日の払戻手数料は7640円になる。2日前に払い戻せば手数料は320円だから、たった1日でも払い戻しを遅らせると、なんと7,320円も無駄になってしまうのだ。
各きっぷの払戻条件と手数料
きっぷの種類 | 条件 | 手数料 |
---|---|---|
乗車券/回数券/定期券/急行券/自由席特急券/特定特急券/自由席グリーン券 | 使用開始前できっぷの有効期間以前 | 210円 |
立席特急券 | 出発時刻まで | 210円 |
指定席特急券/指定席グリーン券/寝台券/指定席券 | 列車出発日の2日前まで | 320円 |
出発日の前日から出発時刻まで | 料金の30%、ただし最低320円 |
したがって、出発日ギリギリまで日程を調整していた人のうち、都合が付かなくなった人は2日前までにきっぷを払い戻す傾向がある。しかも高額なきっぷほど早めに払い戻すことになる。だから、希望の列車の指定券や寝台券が入手できなかった場合、乗車日の2日前ならキャンセルで空いた席を狙いやすいといえる。
その前に入手しやすい時期は乗車日の2週間前だ。旅行会社が団体旅行用に押さえた指定券のうち、集客できなかった席を払い戻すタイミングである。もちろん各旅行会社によって差はあるが、団体旅行用のパンフレットを見ると、催行日14日前までが申し込み締め切りになっているツアーが多いようだ。この不成約分を狙うのも手。
実は筆者もこの法則でキャンセル待ちを狙い、何度となく成功したことがある。いまはなき「寝台急行銀河」や朝イチの東海道新幹線「のぞみ」、廃止直前の寝台特急「はやぶさ」では、3週間前は希望日の列車が満席。その後、2週間前にB寝台上段を入手、乗車当日にB寝台下段へ変更できた。JRの乗車券、特急券などは、乗車前に1回だけ手数料なしで同じ種類のきっぷに変更できるため、この制度を利用してキャンセル待ちの席を渡り歩いた。
逆に、キャンセル待ち指定券を確保しにくい場合もある。それは普通列車や快速列車の指定席だ。指定席料金は310円や520円などと安い。310円の場合は手数料を差し引いてもお金が戻ってこないため、払い戻し手続きをする人はほとんどいない。520円でも320円の手数料を引くと200円なので、駅まで行く手間や料金を考えると払い戻しをする人は少なくなる。しかし、自分が乗らなくても、その席を必要とする人がいるかもしれないのだから、不要になった指定席は早めに払い戻し手続きをしたいものだ。