元国税局職員さんきゅう倉田です。
フリーランスのために、パソコンで青色申告決算書と収支内訳書を作っているときの画面を紹介します。青色申告決算書は青色申告の人が作成するもの、収支内訳書は白色申告の人が作成するものです。
青色申告のほうが、特典がたくさんありますが、事前に申請しないと青色申告はできません。いま申請すると、来年は青色申告ができます。
前回の記事通りに進むと、以下の画面になります。この画面は紙の青色申告決算書と同じ並びになっています。去年の控えを見ながら入力することができますね。
売上(収入)金額(雑収入を含む)をクリックすると、売上の入力画面になります。預金通帳を見て振込金額で入力してもよいのですが、あなたのお仕事が源泉徴収されるものの場合は、請求書の金額や支払調書の“支払金額”の数値を入力します。
源泉徴収される仕事とされない仕事は税法で決められていて、執筆や講演、ボクサーのファイトマネーは源泉徴収されるが、取材はされないなど知識なしでは判断できません。源泉徴収されたからといって“損”でははく、確定申告をすればトータルの納税額は同じになりますのでご安心ください。
請求書や支払調書がない場合の収入は、振込金額+源泉徴収税額で算出しましょう。
売上原価(2・3・4・5・6番)のところは、商品の販売や仕入れがなければ、入力しません。関係ない方は読まなくて大丈夫です。
ぼくは芸人として何の在庫も抱えていないので、ずっと未記入。今後、グッズを作ることがあれば入力します。
期首商品(製品)棚卸高は、前の年の商品の在庫の金額です。
仕入金額(製品製造原価)は、今年の仕入れの金額。
期末商品(製品)棚卸高は、今年の年末の在庫の金額です。
在庫として抱えている商品などは、仕入れるときにお金を払っているけれど販売するまでは経費にできません。だからみんな、棚卸しをして在庫の数を数えているのです。在庫が多いほど、支払う税金は多くなります。
次は経費になります。この画面での入力のほとんどが経費です。あなたが1年間で支払った経費は、すべてここに入力します。上から見ていくと、租税公課とか荷造運賃とかさまざまな“勘定科目”が書いてあります。この中のどれかに、経費を振り分けていきます。該当するものがない場合は、27番に入力することができます。タレントの場合は、27番に“衣装代”と入力して金額を入れることがあります。
表現が難しい経費があり、金額がそれほど大きくなければ、31番の雑費に入力することもできます。
貸倒引当金は、平たくいうと売掛金や未収入金の一部を経費にできる制度です。そもそも売掛金は、12月に仕事を終えているけれど入金が1月や2月になってしまう場合に計上します。お金をまだもらっていなくとも売上としては計上しなければいけないのです。この売掛金の5.5%を経費にすることができます。でも、その前の年に経費にした5.5%はことしの収入として計上することになります。よくわからないという方は、貸倒引当金のことは忘れてください。
専従者給与は、家族を従業員にしている場合に入力します。事前に届出が必要です。
ここまで入力すれば、43番に所得が表示されます。
こちらは、青色申告でも現金主義を採用している場合に入力します。現金主義は、会計処理が少し簡単なので、画面も小さくなっています。
これは収支内訳書です。青色申告決算書の簡易版なので、項目の説明は青色申告決算書のところをお読みください。
青色申告で65万円の特別控除を受ける場合は、損益計算書と貸借対照表も作成します。その書き方は、記事で書くことができないくらい複雑なので、個別で簿記の勉強をしていただけるとよろしいかと思います。
青色申告決算書や収支内訳書の作成が終われば、いよいよ確定申告書Bの作成となります。
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