元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな仕事は「講演会」です。
今月は“フリーランス強化月間”です。フリーランスとして社会をサバイバルするための知識を全4回にわたって解説します。今回はその第2回。同業種で同じ業務内容でも、会社員とフリーランスではお金に対する考え方が大きく異なることを、フリーランスだけでなくフリーランスと取引する無知な会社員の方にも知っていただきます。
会社員はとてつもなく会社に守られている
フリーランスと比較して、会社員の労働と賃金の形態の良い部分をまとめると以下のようになります。
・勤務時間が決まっている
・仕事中移動しても給与が出ている
・仕事が長引いたら残業代がもらえる
・給与の支払いが遅れることがない
・予測より給与が少ないということがない
・仕事が減っても給与は変わらない
勤務時間が決まっている
会社員は月給でもらっています。休暇を取らない限り、給与が減ることはありません。勤務時間も決まっているので、その時間に出社さえすれば、どんなに仕事が遅くとも、体調が悪くてトイレに籠もっていても賃金が支払われます。 フリーランスはそうはいきません。基本的に“成果”に対して報酬が支払われます。時間をどれくらい費やしたかどうかは関係なく、商品の納品に対して対価が支払われます。だから、自分で自分の価値を把握し、価値を見える化して価格を決定しなければいけません。
仕事中移動しても給与が出ている
会社員は、出張や営業でも勤務時間内の移動であれば、給与が支払われています。フリーランスは成果報酬なので、打ち合わせやオフィス、取引先への移動はすべて無駄な時間です。移動時間が短いに越したことはありません。その移動時間がなければ、フリーランスはお金を稼ぐことができます。
自分の時給を計算し、会社員のときよりも時間を大切にしなければいけません。これは、フリーランスと取引する会社員側も意識する必要があります。気軽に呼び出し、無駄な会議につきあわせていると、そのうち相手は取引に応じなくなります。お金を払っているんだから何をしても良い、という考え方を持つ人は能力の高いフリーランスを囲うことはできません。
仕事が長引いたら残業代がもらえる
フリーランスは、予め決められた金額で成果物を納めるので、時間がどのくらいかかったかは、報酬に考慮されません。事前に、1時間あたりの報酬を設定すれば請求できますが、そのような取引は、一部の職業に限られます。残業という概念は、会社員のものなのです。
給与の支払いが遅れることがない
フリーランスでは、報酬の未払いが発生することがあります。会社からの給与の支払いが遅れると大きな問題となりますが、報酬の遅延を業者側はあまり問題と感じていないようで、散見されます。下請法では、納品から2カ月以内に支払うことを義務付けていますが守らない業者がいるのが現状です。
遅延は
(1)単純な失念
(2)資金繰りの難航
(3)意図的な不払い
のどれかにより起こります。どちらにせよ、原因の確認と督促を急ぐ必要があるでしょう。
予測より給与が少ないということがない
フリーランスでは、極稀に事前に金額を提示されないことがあります。タレント活動や相手方が無償で働くことを前提としている場合です。すると、話を進めるうち、あるいは、納品後に、相場より低い金額を提示されてしまいます。フリーランス側は取引を決める前に必ず金額を確認し、業者は予算を相手に伝えましょう。
仕事が減っても給与は変わらない
月給でもらっている会社員と違い、仕事が一つ減るとそれが収入の減少に直結します。ぼくもタレント活動をするときは事務所を通していますが、先日、出版社からの依頼を事務所が無視したことで、一つ仕事を失ってしまいました。
事務所の社員さんからすれば、ぼくの仕事を繋いでも給与が増えるわけではないので「面倒だな」と考えたのでしょうか。ただ、フリーランスであるぼくには死活問題です。改めて、会社員の方にフリーランスの大変さを知ってもらいたいと思った出来事でした。
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