元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな副業は「税務署のアルバイト」です。
働き方改革の影響もあり、新しい働き方が増えつつあります。「パラレルワーカー」などという言葉を耳にすることもあります。これは“複業”と訳され、2つ以上の仕事から収入を得る人のことです。いわゆる“副業”とは“ふく”の字が異なります。
フリーランス(個人事業者)として働いていると、たくさんのパラレルワーカーに出会います。会社員であるにも関わらずパラレルワーカーのような働き方をしている人や、大学生なのに「仕事は○○です」と名刺をくれる方とも出会います。
ぼくの学生の頃には、想像もできなかった働き方です。彼らがどのような雇用形態なのかは存じ上げませんが、ニッチな仕事を請け負うのがフリーランスだけの特権ではなくなってきているようです。
今月は、フリーランス強化月間と題して、フリーランスとして働く人たちが覚えるべき会社員との違い、覚悟すべきネガティブな部分、そして、魅力を解説します。
フリーランスになる前に
高校や大学を卒業して、いきなりフリーランスで働く人は少数派です。職人さんだって、ライターさんだって、アメンボだって、はじめは組織で働いてから独立します。はじめから個人で仕事を行うのは、イラストレーターさんとか一部の方だけです。
コネもノウハウもないのに新人がフリーランスとして仕事を得るのは難しく、まずは組織に属して知識や経験を得てからになります。多くの方がはじめから独立を画策していたわけではなく、会社員として働いた結果、独立に至る決心をするのです。
あなたにとてつもない才能があっても、それを伝える手段がなければ仕事は得られないので、多くのフリーランスが会社員として働きながらフリーランスになるための準備をするか、いままでの経験や知識を活かせる職種で独立します。古くからある“のれん分け”もそうです。組織で学んだあとに、独立してフリーランスになる。今も昔も、フリーランスの基本は組織に属してからの独立なのです。
フリーランスになると感じる負担
あまり有り難みを感じていないと思いますが、会社は、あなたを雇うために、あなたの給与の2倍~3倍を支払っています。オフィスの賃料、事務用品、パソコン、交通費、社会保険料、福利厚生、研修など、あなたに働いてもらうために、多くのお金が動いています。フリーランスになれば、これらを一人で負担しなければいけません。
特に家賃の支払いは大きい。パソコンを活用する職種であれば自宅で作業できますが、そのうち手狭になります。しかし、自宅と別にオフィスを借りるとなると、その数倍の収益を出さなければいけません。そうすると、まずはシェアオフィスやコワーキングスペースに入居して様子を見ることになります。
従業員を雇うか、場所を広く取る作業がなければ、必ずしもオフィスを用意する必要はありません。法人でも、自宅を登記簿上の本店所在地にしている方はたくさんいます。不便がなければそれでも良いでしょう。
また、会社員のときは社会保険料を会社が半分負担してくれています。社会保険料は、主に年金と健康保険ですが年間の支払いは、年金がおよそ19万円、健康保険は所得が400万円の方でおよそ50万円となります。今までのように毎月の給与から天引きされることはないので、自ら金額を把握し、資金を確保しておく必要があります。
交通費もすべて自分で出さなければいけません。今までは地方の出張を「面倒だ」と感じていた方は、面倒な上に交通費も負担しなければいけません。新幹線の早割の制度や航空券の割安な取得方法を勉強することになります。
会社が経費を負担してくれなくなることで、多くの出費が発生します。独立する前に、収入と経費の予測を立てておくことをおすすめします。
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