元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな節約は「時間の節約」です。
ファイナンシャル・プランニング界隈では、節約を勧めるときに、まず、固定費を見直しましょう、と言います。例えば、携帯料金を下げるために、格安スマホにしましょうとか、行ってないジムを解約しましょうといった、毎月の金額がほとんど変動しない“固定費”を控えるように言います。
ぼくは好みません。格安スマホにするのは、料金だけ見て、実際に受けられるサービスやパケット使用量を無視した乱暴な節約ですし、行っていないジムを解約するのは当たり前です。なんとなく印象的であるが、実用的ではない「映(ば)え節約」です。
一方で「ラテファクター」という言葉があります。外国の方が考えた、お金の世界では、それなりの知名度のある言葉のようです。主に、節約術を説くときに、用いられます。
あなたが、毎日同じ金額のカフェラテを買い続ける場合、そのカフェラテが本当に必要なものなのか、なくても良いのではないか、なくても今までどおりの生活が続けられるものであるのなら、それは、無駄遣いであったと悔い改め、購入を控え、その分を貯蓄に回しましょう、というのがラテファクターの考え方です(言葉の創造主に直接聞いたわけではないので、やや違うのかもしれませんが、ぼくはそのように解しました)。
この話を聞いて、毎日カフェラテを買っている方が、購入を控えるのは簡単です。カフェラテはあくまで比喩であって、世界に落ちている教訓を自分事に落とし込むのが難しいから人は教訓から学ぶことができません。カフェラテ以外に、節約できるものがないか、考えてみると良いでしょう。
毎日支払いがあるものを節約するのは、とっても良いことです。ぼくの同期の借金が250万円ある芸人・西日本は、飲み物を同時に2本買います。今日も、劇場で会ったときに、コーヒーとほうじ茶を持っていました。一度、「1本でいいんじゃない?」と聞いたことがあります。西日本は「味が違うんですよ」と言っていました。
ぼくはそれ以上何も言えません。味が異なることはパッケージを見ていたので知っています。その上で、「(借金が250万円あって、いま、借金を減らす企画をやってるんだから)1本でいいんじゃない?」と聞きました。それを受けての「味が違うんですよ」には、もう返す言葉がありません。
でも、西日本が、これを毎日続けているのなら、毎日1本減らせば、ラテファクターを実施できます。借金があるんだから、2本減らして公園で水を飲んでも良いくらいです。このようなルーティンの無駄遣いは、1種類ではなく、探せば他にもあるものです。毎日、あるいは数日起きに発生する無駄な支払いがありませんか。そういったものを減らしていくことで、貯金へと繋がります。逆に、それが自然とできなければ、あなたは西日本になります。
しかし、あなたにとってカフェラテや西日本にとってのほうじ茶が、どうしても必要なものの可能性もあります。その日一日を全力で活動するためのガソリンの役割を果たしていたり、カフェラテが唯一のストレス解消であったり、昼食の代用品であったり、研究をしていたり、趣味化していたり、仕事に役立つことであったり、そのような何かの中核をなす場合は、削る必要はありません。
あくまで、なくても困らない、あってもなくてもどちらでも良い、あなたにとって程度の低いものに、お金を使うことはやめましょう、という考え方なのです。
人は、少額だから継続的に払っていても大した問題ではない、とたやすく考えます。他人から損害を与えられると喚き散らすのに、自分の行動由来の少額の損害には、不快さを感じにくい。それをマニュアル化して、禁止するのが、ラテファクターです。定期的に発生する、なくても良さそうな支払いがないか、探してみてください。
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