元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな公務員は「村役場」です。
今週日曜日、国税局に入るための試験『国税専門官試験』の一次試験が行われました。受験料は無料です。今から様々な欲望と戦って勉強すれば、来年の試験に間に合います。公務員に興味があれば、受験をおすすめします。
国税局職員の仕事
国税局では、他の公務員と違った特別な権利で、やりがいのある仕事ができます。不正を見つけたとき、社長のうそを論破したとき、内観調査で酒を飲んだときの充実感は、今でも忘れられません。
国税局は国家公務員なので、国からお給料がもらえます。60歳まで勤めたときの退職金は、2,300万円~2,700万円くらいでしょうか。上席と税務署長の対象金は数百万円しか差がありません。2つの役職における権力の圧倒的違いと比較すると、退職金は年数による算定が大きいようです。
ぼくの初任給は、手取りで20万円程度でした。基本給に地域手当があって、ほんのちょっぴりの超過勤務手当があって、源泉所得税や社会保険料が引かれます。大学の同級生と比べると少ないですが、22歳の人の平均給与と同じくらいなのだと思います。そんなやりがいを重視した最高の職場、国税局に入るための試験科目を紹介します。
国税局に入るための試験とは
毎年、6月の2週目の日曜日に1次試験が行われます。試験問題は(1)基礎能力試験、(2)専門試験、(3)論文です。(1)と(2)は4択のマークシートです。わからないときは、えんぴつを転がします。
(1)基礎能力試験……2時間20分
文章理解、数的処理、自然科学、人文科学、社会科学、時事といった科目から出題されます。簡単にいうと、国語、数学、理科、社会でしょうか。
「数的処理」は、数学より、算数とかSPIに近いものです。知らなくても知能だけで解けるような問題が多く、ほとんどの公務員試験で出題されます。ただ、すばやく解くためには、試験勉強の段階でかなりの量を解く必要があります。解いていて楽しいし、得意だったので、好きな科目でした。
(2)専門試験……2時間20分
9科目から4科目を選択して回答します。憲法&行政法、財政学、経済学、経営学、政治学&社会学&社会事情、英語、商業英語、情報数学、情報工学があって、試験時間中に、7科目くらいはチャレンジしたいところです。
正答率が高そうな科目を4つ選んで、マークシートに記入します。英語は難しくないので、英語が得意な人は、英語と商業英語を選ぶと良いかもしれません。
(3)論文……1時間20分
憲法、民法、経済学、会計学、社会学から1つを選択します。知っている分野が出題されなければクリアできません。知っていれば、詳しくなくとも物書きの能力で切り抜けることができます。どのくらいの能力かというと、このマイナビのぼくの連載くらいの能力です。
論文の特別な勉強は必要なく、(2)専門試験の勉強をしていれば、書くことができます。あとは、一般的な物書きの能力です。文章が上手で、読ませる論文が書けると、良い点が取りやすい気がします。
一次試験に合格すると、7月中に二次試験があります。二次試験は面接です。面接では、三人の試験官が目の前に座っています。もしかしたら、二人だったかもしれません。
彼らは、全員が人事部の人ではなく、一般の職員が駆り出されているはずです。だから、とにかく、他人に好かれることが重要です。面接官は、一日中、数十人の受験生の面接を行っていて、退屈をしのごうとしてきます。例えば、ぼくは、当時習っていたボクシングのことをエントリーシートに書いたので、ボクシングの世界について聞かれました。
ただ、練習をしているだけで詳しくはなかったので、面接官が喜びそうなことを適当にでっちあげて話しました。ボケたりするわけではなく、興味深い話をしたのです。その甲斐あって、合格。9月の1週目ごろに内定の電話をもらいました。
ぼくは、2年と1カ月で退職してしまいましたが、20万円ほどの退職金ももらえますし、1年目から有給休暇も自由に使えました。変わった上司に悩まされる若手やベテランが多いようですが、賢い配偶者を見つけられる良い職場です。進路として公務員をお考えの方は、門を叩いてはいかがでしょうか。
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