元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな女性のタイプは「ペイオフを気にする女」です。
こんな話があります。
車の持ち主は「1度叩いただけで100ドルは高すぎる!明細書を出せ!」と叫んだ。
そこで、修理工は次のような明細書を出した。
“1度叩いた工賃‥1ドル
どこを叩けば直るか知っていたこと‥99ドル”
みなさんはこの話から、どのような教訓を読み取るでしょうか。この話は、エイドリアン・ラリス・トグライ著『NLPトレーディング』の一節を使用させていただいています。
ハンマーで1度叩いた代金は?
ぼくは、元国税局の芸人として、たくさんの質問や相談をもらいます。税理士法によって、税理士以外の税務相談が禁じられているので、質問や相談を“受ける”ことはできないのですが、若手芸人や名前もわからないツイッター上の老若男女から問い合わせがきます。ぼくは、税理士法に違反しない、ファイナンシャルプランナーとしての業務に関するものであれば、回答していました。
回答後の質問者の行動で分類すると、金銭でお礼をしてくれる者(しゃ)、仕事をくれる者、人を紹介してくれる者、「ありがとう」と言ってくれる者、何もしない者に別れます。基本的には仕事として行っているので、こちらから対価を求めませんがサービスの代金は払って欲しいなと思います。
ここで言えることは、情報や知識にどの程度の価値を感じるかは様々ですが、提供する側と提供される側に非対称性があるということです。相手が情報を軽んじていると分かっても、ぼくからは何もいいませんが、情報や知識を提供する側として、その価値が軽んじられるのは非常に残念です。
でも「情報や知識ってとてつもなく価値があるんですよ、だから感謝の気持ちだけでも表した方が……」とか宣っても、相手の心に響かない。だから「ハンマーでどこを叩いたらいいか知っていること」のような寓話によって、価値を知ってほしい。この話から、教訓を読み取り、後世に伝えて欲しいのです。
情報や知識に価値があるので、その証明である資格にも価値があります。資格によって、その人の知識レベルを保証しているわけです。資格の修得には、時間やお金といったコストがかかるので、資格保有者の技術や知識の提供に対価性があることは論理的に分かると思います。しかし、人は、できれば無料で、対価の支払いなしに提供を受けたいと考えてしまう。
それならば、無料でプロフェッショナルから情報を得られるところに行けばいい。それが、営業の人から話を聞く、ことです。ぼくの携帯電話には、不動産の営業の方から週に1回位の頻度で電話があります。彼らは会社名も個人名も存じ上げない、赤の他人です。ぼくの携帯電話の番号や名前、属性が流布されているということですが、そのことは置いておいて、不動産の営業の方は、ぼくにマンションを売るつもりなので、電話を切ってほしくない、自分の話を聞いてもらいたい、と考えているはずです。
ぼくが不動産の知識を得たいと考えていたら、彼の話を聞きたいので、利害が一致します。電話を切らずに、勧誘をかわしつつ、不動産業界の動向や今後の展望を聞き出すでしょう。もし、あなたが勧誘されることにストレスを感じないならば、いくらでも無料で知識を得ることができる。生命保険であっても同様です。ライフプランニングや養老や終身といった生命保険の違いをファイナンシャルプランナーに聞こうと思えば、相談料がかかります。しかし、保険の営業の方に話を聞けば無料で知識が得られるわけです。
営業をかけられたときには、無下にするのではなく、プロフェッショナルから話を聞くチャンスだと考えるべきだと思います。つまり、金銭だけではなく、相手に勧誘の機会を与えることも知識の対価となり得るのです。常に、相手の知識、情報、技術と、自分の提供できるものを天秤にかけてバランスを取ることで、少ないコストで最大のパフォーマンスが得られます。ただし、常に相手と相手の能力に敬意を払うことが重要です。
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