元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな帳簿は『裏帳簿』です。
確定申告期間、真っ只中。3月15日に間に合うように、申告書の作成を急いでいる方も多いと思います。前回は、なぜ確定申告が必要なのか解説しました。
今回は、(1)申告から納税あるいは還付の流れ、(2)すぐに納税できない場合の分納、(3)申告期限、(4)申告期限を過ぎてしまった場合の加算税、(5)申告から税務調査が行われるまでの流れの5点を解説します。
(1) 申告から納税・還付の流れ
所得税の確定申告の期間は、毎年2月16日~3月15日です。12月31日を1年間の締め日として申告を行うので、確定申告の期間はこの時期になります。もう少し早く申告書を提出することも可能ですが、税務署が本気を出して対応しているのは、この時期のみ。初めての確定申告や申告書の作成指導を受けたいならば、確定申告期間に税務署に行きましょう。
確定申告書を提出しても、納税を促す電話が来たり、手紙が来たりはしません。申告の提出と合わせて、自主的に納税する必要があります。税務署で申告した日に納めていっても良いですし、「納付書」を持ち帰り銀行や郵便局の窓口で納めることも可能です。
現在では、インターネットで手続きをしてクレジットカードで納めることもできます。毎年納税するのであれば『振替納税』の手続きをして預金口座からの自動引き落としにしても良いと思います。通常、所得税は3月15日までに納めなければいけませんが、振替納税なら4月20日に引き落としなので、あなたの手持ちの現金が減るのが少し遅くなります。
還付の申告を行った場合は、e-Taxを利用した方は、2~3週間。それ以外の方も遅くとも2カ月以内には、申告書に書いた預金口座に還付金が振り込まれます。芸人たちの言うところの「春のボーナス」です。預金口座を書き忘れても、過去に還付を受けていれば、その口座に振り込まれることがあります。
(2) すぐ納税できない場合は分納
納税を3月15日に行えない場合は最長2年の「分納」制度があります。あなたが納めるべき税金を、分割して納税する制度です。通常、所得税を3月15日までに納めないと、日数に応じて延滞税(税金の利息)がかかります。
納めていない方のところには、税務署から「督促状」が届きます。それを無視していると、財産を差し押さえられてしまうかもしれません。しかし、納税できないことに理由があって、申請をすれば、差し押さえを待ってくれることがあります。さらに、利息である延滞税も免除されます。
(3) 所得税の確定申告の期限
所得税の確定申告の期限は、確定申告期間の最終日である3月15日です。納税の期限と同じです。納税が滞ると差し押さえや延滞税がありましたが、申告が遅れた場合は「無申告加算税」があります。
(4) 申告期限を過ぎてしまった場合の加算税
申告期限を過ぎて確定申告をすることを「期限後申告」と言いますが、期限後申告をすると、「無申告加算税がかかりますよ。金額はこれくらいですよ」と書かれた手紙が送られてくるはずです。
ぼくは期限後申告をしたことがありませんし、ぼくが現役時代に行っていた税務調査の部署では、加算税に関する書類を送っていなかったので、フォーマットや文言は分かりません。手紙の内容に従って、無申告加算税を納めてください。無申告加算税の金額は、納める所得税の5%です。
(5) 申告から税務調査が行われるまでの流れ
確定申告期間が過ぎ、処理が一段落すると、税務署では税務調査が始まります。大体、5月くらいでしょうか。確定申告をした納税者に連絡をし、調査をしたい旨を伝えます。確定申告書に税理士の先生の署名があれば、先生経由で日程調整の連絡があります。あなたの事務所や自宅に職員が来るのは、半日から2日。調査の連絡から終了までは、2カ月から半年とばらつきがあります。書類を持参して税務署にも来て欲しいと依頼されることもあります。
調査が終わって、追加で税金を払う場合、つまり「追徴課税」がある場合、延滞税もかかりますし、「過少申告加算税」や「重加算税」といった罰金がかかる可能性があります。これを回避するためには、確定申告書や帳簿をしっかりとチェックし、誤りや不正のないように努めばければいけません。
難しいからといって横着すると、数年後に圧倒的な追徴課税が発生するやもしれません。以上のことを踏まえて、正しい確定申告をお願いいたします。
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