元国税職員さんきゅう倉田です。好きな事件は「弁護士顧問料事件」です。
芸人としての仕事と東大生としての勉学のはざまに時間的な余裕があれば、積極的にイベントを催すようにしています。人との出会いがぼくに素晴らしい体験を与えてくれるからです。
「手伝います」が最も仕事を増やす
今年の夏は東京都のビジネスコンテストにエントリーしていました。ビジネスコンテストは、事業案を提出し賞金獲得や事業案の改善を目指す催しです。
東京都のビジネスコンテストTSG2023は優勝賞金300万円の大きな大会でおよそ3,000人がエントリーしていました。
参加者は面白い考え方や起業への熱い意志を持った人が多く、話していると刺激になります。もしかすると、自分と同じ事業案を考えている人がいるかもしれない。その人と一緒に起業することができるかもしれない。さらにその人がエンジニアでぼくの足りない部分をすべて補ってくれるかもしれない。
TSGが主催する交流会にも参加し、もくもく会にも参加し、開設されたSlackでは積極的にメッセージのやりとりをしました。
大会が少し落ち着いた頃、お酒を飲んで交流する機会を設けようと考え、Slackの掲示板に投稿しました。すると、ふたりの男性から「手伝いますよ」と連絡をもらいます。便宜的に彼らをAとBとします。
A フリーのエンジニア 20代前半 早稲田卒 提案しているビジネスは不明
B 公認会計士 30代前半 提案しているビジネスは不明
飲み会の手伝いなので、やることは限られています。
主催するうえで困ることは、参加するはずの参加者が来ないこと、そしてその分の代金を参加者で負担することになることです。
だから、お手伝いの人には参加者の把握とPayPayでの事前決済をお願いすることにしました。
参加者がPayPayを登録しておらず、登録の意思もなく、友人に送金してもらうなどの対策もしないならば、参加できないことにしました。非営利のイベントなので主催者側の手間を減らすためには必要な犠牲だと判断しています。
AとBからはそれぞれ別のタイミングで「手伝います」と連絡が来て、すぐに参加者の把握と事前決済の取りまとめを依頼しました。
しかし、Aは言います。
「Slack内のグループではなく、メッセンジャーにしませんか」
これはもうとんでもなく面倒ですね。
複雑なタスクをこなすために誰かの協力を必要としたのならば、常に意見を求めたい。それが間違った意見だろうと正しい意見だろうと自由に発言してもらって構いません。
しかし、今取り組んでいるのはただの"飲み会"であって、その仕切りにあたってぼくは、起きうるであろう未来を想定して、これまでの経験と合わせて考えて行動しています。ちょっと思いついたままに指示をしているわけではありません。
だから、とりあえず指示通りに動いてほしい。「手伝う」とはそういった従属関係を前提とし、互いが投入する資源を最小化して効用最大化を目指すために存在します。
だから、安易な発言をするくらいならば、こちらが間違っていない限り従ってほしい。
しかし、安易な発言をしても、「手伝う」と言ってくれた人の意見を蔑ろにはできません。否定もできない。それゆえ、とても面倒です。
どうして安易だと判断できるのかは、メッセンジャーを導入するまでの過程とそれによって得られる便益を計算すれば容易に分かります。
まず、「メッセンジャー」というのはFacebook Messengerのことだと思われます。この時点で、ちょっと分かりづらい。多様なSNSがある中で、「メッセンジャー」の呼称を用いるのがひとつとは限らないからです。
そして、メッセンジャーのグループを作るためには、現在Slack内にいる飲み会のグループメンバー11人から本名ないしFacebookのリンクを頂戴しなければいけません。
そこまでしたところで、Facebookをやってないメンバーがいたらどうでしょう。そこまでの作業は全て無駄になってしまいます。
さらに、細かく説明しませんが、メッセンジャーのグループに移行して得られる利益が全くない。却下せざるを得ません。
後編へと続きます。
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