元国税職員さんきゅう倉田です。一番面倒だなと思うことは契約前に「来てください」と言われること。
東京大学に通学しながら、夜や土日を利用して仕事をしています。個人事業者になって長いので、どんなお客さんが面倒で、どんなお客さんがちゃんとしている人か、メールをしているだけでわかります。
会社員ではないので、頼まれた仕事を1時間でやっても10時間でやっても報酬は変わりません。当たり前のことだけど、個人事業者と取引をする会社員はそのことを意識しません。
だから、メールを何度も送ってきて瑣末な質問をしたり、同じ書類を何度も作成させたりします。
客「ペンは必要ですか?」
ぼく「いりません」
客「大きな紙は必要ですか?」
ぼく「いりません」
このようなメールをいただいたことがあります。「必要なものはありますか?」「ありません」の1往復で済むのに。思いついたことをすぐにメールしているのかもしれません。
ちょっと乱暴な言い方だけれど、相手は勤務時間中だから定時まで無駄なメールをしていてもお金がもらえます。
個人事業者はその返信の時間で別の仕事を終わらせて報酬を得ることができます。個人事業者の働き方に思いを馳せてメールをしてあげてほしい。
そもそも、業種にかかわらず、無駄な作業を他人に強いるべきではありません。そういうことをすると、客側にも不利益があります。
面倒は厄災のサイン
あるとき、仕事の依頼をくれたお客さんと契約前に飲みに行きました。乾杯して少し経ってから、そのお客さんが前に仕事を依頼した音楽家の悪口を言うんです。
「請求書をくれって言ったら、書き方がわからないからそちらで書いてください、なんて言うんですよ。何回書けって言っても書かないんですよ」
それくらい書いてあげたらいいし、怒るようなことなのかなと思っていました。もしかしたら、横柄な人なのかもしれないな、そう思っていました。
案の定、仕事を進めるうちに、ぼくの作業をどんどん増やして、言葉遣いも荒々しくなっていきました。
作業内容を書面で明確にしなかったことも良くなかったし、ふたりだけでLINEをしていて監視する人がいないのも良くなかった。猛省しました。
気づいた時にはLINE上で大暴れしていて手遅れだったので、契約を解除してもらいました。今までで一番報酬の高い仕事だったのに。
価格を決定する前であれば、「面倒」のサインには価格で対抗します。
面倒ということは、成果物が同じ他の仕事より手間がかかる。報酬も多くいただかなければいけません。面倒なお客さんと素敵なお客さんの価格が同じであれば、素敵なお客さんを裏切ることになります。
だから、相手に負担をかけるタイプの人は、支払う報酬が高くなるかもしれません。
面倒なときはこんなとき
どんなことを面倒だと感じるかは、その人によって異なります。有名な証券会社の創業者が著書の中で、講演で出向いた現場の椅子やテーブルを準備すると書いていました。
理由は「そのほうが早いから」。その人にとって、その作業は面倒ではないんですね。
これについては、ぼくも同じです。現場でやることがなければ、みんなが働いているのを見るより、手伝った方がたのしい。
打ち上げも参加します。全然面倒じゃない。講演に行って、その団体の「会長に挨拶してください」などと言われたら、飛んで挨拶に行きます。仕事をくださったことへの感謝を伝えたい。全く面倒じゃない。
でも、メールはたのしくありません。チャットやメールを必要な範囲を大きく超えて送って来られると辟易します。世の中には必要な範囲を逸脱する人がいるんです。1回で済む質問を3つくらいに分けて送ってくる人が。これは面倒。
椅子出しや打ち上げ、挨拶は喜ぶ人がいます。でも、メールに返信しても誰も喜びません。「ああ、そうか」と思うだけです。
横柄な人や面倒な人は、そのあと厄災を招く可能性が高い。個人事業者はそれを経験で予測できます。だから、相手の面倒を排除して丁寧に接していると、価格が安くなるかもしれないし、良いパフォーマンスを発揮してくれるかもしれない。
横柄で面倒なことに合理的な理由がないかぎり、控えましょう。
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