元国税職員さんきゅう倉田です。誕生日に欲しいものは「税務六法」です。

ぼくのようにベトナムで2万円を取られなくとも、日常的に勉強代を払う機会があります。せっかく払っても、その支払いに合理性がないことを知り、行動によっては回避できたことを認識できなければ「勉強」になりません。

「高かったなあ」で終わりです。

トイレにボールペンを落として水道業者を呼んだ店長

大学生の時、中華料理屋でアルバイトをしていました。甘くて濃い味付けの中華料理屋で、黒酢酢豚が人気のお店。可愛いラベルの焼酎が30種類くらいあって、就業後によく飲ませてもらっていました。

ある日、胸ポケットに入れていたボールペンを店長がトイレに落としてしまいました。さらに、落としただけでなく、流してしまいます。

どうして流したのかは分かりませんが、とても慌てていました。とりあえず、業務用冷蔵庫に貼ってあった「水のトラブル」の業者を呼んで、来てもらうことになります。

もちろん、価格は聞きません。おそらく、聞いたとして、「見てみないと分からないですね~」などと言われて教えてもらえない。それでも粘り強く説得し、状態を伝えて、出張料金や平均的な請求額を聞くべきでした。

30分ほどでやってきた業者は、仰々しい機械をトイレの個室に持ちこんで、ギュオンギュオン言わせていました。5分ほど機械を動かし、5分ほどトイレの中を見たり触ったりして、「ボールペンは近隣の川に流れていきました」と言いました。

そこから請求金額の計算が始まります。電卓を取り出し、様々な料金を加えていき、合計は16万円だと言います。

店長は漫画みたいに「ひぇ~」と言って腰を抜かしていました。
すると、水道業者は「ここから色々引いていきますからね」とわけの分からないことを言って、8万円の請求書を書きました。「言い値なのだから、値引きも何もないだろう」と20歳のぼくは訝しみながら、悲しむ店長の肩を叩いて店を後にしました。

家に入れなくて、鍵開けの業者を呼ぶ彼女

芸人になったばかりの頃、付き合っていた女性が家の鍵を紛失し、インターネットで探した鍵開け業者を呼びました。もちろん、電話の際、何も質問しません。

どこから来るの、出張料金いくらなの、サービスの価格はいくらなのなどと聞かなかったそうです。若いから仕方がない。

1時間後にやってきた業者は、鍵を開けて2万円を請求しました。高い。月給18万円の彼女には途方もない金額です。明日の夕飯のおかずが減るかもしれない。

悲しんでいましたが、学んではいませんでした。
「ちゃんと事前に料金を聞かなければいけないな」とは思っていないようでした。

事前にサービスの価格が分かっていれば、管理会社に電話して、その日はどこかに泊まるという選択もあったかもしれない。事前に出張料金を聞いていれば、他の業者に連絡して相見積もりにしたかもしれない。

しかし、価格を聞くことに不慣れであったのでそのような悲劇が起こり、「勉強代」にもなりませんでした。

予想外に高い料金を支払ってしまうことがあります。普段から価格を尋ねることがないので、そのような機会にあっても質問しようと思わない。だから、トラブルになります。

「いくらですか」と価格を尋ねられて、気分を害する業者はいません。誕生日プレゼントの価格を聞くのとは違います。予め決められている自分のサービスの価格を確認されて、顔を歪めるなんて不合理です。そのような人は、価格を言えない理由があるんだと思います。

もちろん、どのようなサービスを提供するか決まっていなければ、価格は提示できません。だから、どのような条件でどのような依頼をしたいのか、あなた自身が把握して相手にしっかりと伝えられるように準備することも重要です。

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