「億り人」を目指し、暗号資産の自動売買プログラムを自作した人の話

元国税職員さんきゅう倉田です。好きな税金は「俳優税」です。

日進月歩の暗号資産業界。税務調査のぜの字もなかった数年前とは打って変わり、各税務署に暗号資産に詳しい職員がいると聞きます。

無申告の方は、暗号資産専門の税理士さんに依頼することをおすすめします。さて、今回はそんな暗号資産の自動売買プログラムを自作したAさんに話を聞きました。

暗号資産の自動売買プログラムってなに?

一般的に、株式投資は9時から15時まで取り引きできますが、暗号資産は24時間取り引きが可能なため、一人で売買するには限界があります。

そこで、夜や仕事中の値動きに対応するために、自動売買プログラムを作って、自身で設定した条件を満たした場合に自動で売買ができるようにしました。それが自動売買プログラムです。

主なメリット

・相場が気にならないので仕事に集中できる
・他に使い道はないがプログラムの知識が身に付く

また、Aさんは手動の取り引きより利益が出やすいと感じているそうです。理由は取り引き機会が増えるから。改良を重ねたプログラムによって24時間取り引きをし、小さな利益を積み重ねています。

自動売買にすれば、価格が上がったときに欲を出して持ち続けることもないし、臆して少々の値上がりで売ってしまうこともない。感情に左右されない機械的な取り引きが実現できます。

どうやって自動売買プログラムを作るの?

FXは自動売買の環境が充実しているため、一からプログラムを組まなくてもいいけれど、仮想通貨はそうではありません。Aさんも苦労したそうです。

いつから始めたの?

仮想通貨の売買を始めたのが2021年5月。

きっかけは、「億り人」に憧れたから。しかし、今からビットコインが1万倍にはなるとは思えない。一攫千金の可能性がないならば、売買を無数に繰り返す方が良いと考え、自動売買を始めたそうです。

まず、言語の勉強(AさんはRubyを選びました)。プログラムを書いて最初に売買するまで2週間を費やしました。

相場が良かったため、300万円の資金で始めて確定申告時の利益は150万円。メインはビットコインとイーサリアムですが、GMOコインで取り引きできるものは一通り売買しています。

おもしろいのはどんなとき?

「解決できないエラーが発生して、ネットで検索して検索して、何度もトライして解決した時に達成感を覚えるんだ。朝起きて、お金が増えていると嬉しいよね」

どんなプログラムなの?

「下がったら買って、上がったら売るプログラム。大きく下げた時に自動で売るような損切りは設定していないんだ。なぜかというと、先は読めないんだよね。基本的にじゃんけん大会だと思っていて、ランダムだけど一人だけ全部勝つ人がいる。でも、唯一信じているのは最終的には上がっていくってこと。現物だから永遠に持っていられるし。だから、損切りはしない。下がってもそのうち戻ると信じているんだ」

最近、プログラムにかけた修正はどんな内容?

「ビットコインは単価が整数だけど、リップルは単価が小数第3位。プログラム上で整数と小数は扱いが大きく異なるんだ。リップルの取り引きをプログラムがたまたま整数で行った時にエラーが起きて、些細なエラーだったんだけど、解明まで2時間かかったよ。エラーが出ている間、プログラムは新規の注文をしないんだ。だから、仕事中や旅行中などはエラーが修正できないときは、取り引きがすべて止まってしまう。このエラーの後、特定の仮想通貨でエラーが発生しても、他の仮想通貨の注文は継続できるように修正したよ」

エラーが発生する可能性があるという緊張感を楽しんでいるようにも見えました。

仮想通貨についてはどう思ってる?

「仕組みも将来性も分からないし、ブロックチェーンにも興味ない。リスクを取って市場に流動性を与えている代わりに、ちょっとだけリターンを得ていると思ってる。年10％を目標に引き続き取り引きしようかな」

仮想通貨の自動売買プログラムに関する情報はネット上にまだ少なく、エラー発生時にとても困るそうです。この記事の情報がこれからプログラムを作る方のお役に立てば良いと思って取材しました。