元国税職員さんきゅう倉田です。簿記の好きなところは「美しいところ」です。

昨年から、国や都道府県によって、コロナ禍で売上の下がった個人事業者や法人のための給付が行われています。持続化給付金や家賃支援給付金をもらって、急場を凌いだ方は大勢いるでしょう。

しかし、今年になって経済活動が活発になったからか、給付を求める声は全く聞かなくなりました。それでも、事業を辞めて就職しようと考えるほどに売上を下げている方はいると思います。

現在国が行っている「月次支援金」についてまとめました。

月10万円×5カ月 月次支援金

今年4月〜8月の売上を前年や前々年の同じ月と比較して50%以上下がっていれば、最大10万円もらえる制度が月次支援金です。地域や業種は問われませんが、外出自粛や時短営業の影響を受けている方が対象です。

例えば、以下のような業種が対象として例示されています。

小売、アパレル、美容院、マッサージ、塾、スポーツの習い事、病院、福祉施設、スポーツ施設、劇場、タクシーなど

上記と取引のある
士業、IT業、卸売、農業、漁業、映像・音楽・デザイン制作など

幅広い業種が対象なので、コロナの影響で売上が下がっている方は、月次支援金のホームページを調べてみてください。対象となる業種かどうか調べるこんなフローチャートもあります。

参照 : 月次支援金のリーフレット

迫る申請期限

売上を比較して申請するのは、月ごとになっています。対象となる今年4月から8月の売上を、前年や前々年とそれぞれ比較して、半分以下になっている月だけ申請ができます。

申請期限が月ごとに設定されていて、4月5月分の申請は8月15日までです。

すでに終わりましたが、一時支援金の申請をしていない人は、登録業者による事前確認が必要です。税理士さんや行政書士さん、商工会、信用金庫などに必要書類が揃っているか見てもらわなければいけません。先方の都合を考慮して早めに連絡しましょう。

事前確認をしてくれる人がいない場合は、月次支援金相談窓口に電話して「顧問契約をしていなくとも事前確認をしてくれる士業の方」を紹介してもらいます。

「顧問契約をしていないと事前確認をしてくれない士業の方」を紹介されることがあるので、注意しましょう。

参照1 : 月次支援金ホームページ
参照2 : 事前確認とは

月次支援金をはじめて申請する場合の手順

月次支援金のホームページで仮登録する
→申請IDをもらう
→必要書類を準備する(下記の画像参照)
→事前確認をしてもらう
→月次支援金のホームページで申請する

参照 : 申請に必要な証拠書類

東京都だけの月次支援金

「東京都中小企業者等月次支援給付金」という制度も始まっています。対象や必要書類は国の月次支援金とほぼ同じで、売上の基準と給付額の関係が少し異なります。月次支援金を申請した方は、合わせてこちらも申請しましょう。

売上の基準

【1】50%以上減少→国の月次支援金に加算してもらえる
【2】30~50%減少→国の月次支援金はもらえないけど、都の東京都中小企業者等月次支援給付金はもらえる

東京都中小企業者等月次支援給付金だけもらう場合は支給額が上がります。また、法人や酒類販売事業者の方が給付額が多くなっています。なお、国の月次支援金と異なり、対象月は4月から6月の3カ月間だけですが、去年からの給付金の状況を見ると、今後延長される可能性があります。

不明点があったので相談窓口に電話したところ以下の助言を受けました。

・国の月次支援金に加算して支給を受ける場合は「給付通知書」が必要
・国の月次支援金のような事前確認は必要ない
・売上が50%以上減少しているのに国の月次支援金に申請せず、都の東京都中小企業者等月次支援給付金に申請することはできない

日本経済の状況や給付金制度の内容を見ると、これが個人事業者向けの最後の給付金になるかもしれません。生活や仕事に困っている方は、いますぐ売上台帳を作って申請しましょう。

50%以上下がっていない方は、都の制度だけでも利用をおすすめします。

参照 : 東京都中小企業者等月次支援給付金ホームページ

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