元国税職員さんきゅう倉田です。昔から不思議に思うことは「お店が忙しくてイライラしている飲食店のアルバイト」です。

忙しさをたのしめないのなら、そのお仕事には向いていないと思います。もっと賃金が高い別のお仕事をすると良いでしょう。

「お金の勉強がしたいんですが、何を読んだら良いですか」と聞かれることがあります。ほとんどが女性です。男性の方が無関心なのか、自分で解決しているのか。

そういうときぼくは、この連載を勧めています。ぼくが集めた大切なお金の情報と実体験によって考えついた理論を余すことなく書いているし、無料だし、なかなか上達しないけれど憎たらしいイラストまで添えられています。

次に、ファイナンシャルプランニング3級の本を中古で買うことを推奨しています。簡単すぎず、専門的すぎず、内容が多岐に亘っていてちょうど良いです。高校生みんなに読ませたい。しかし、最近思うのは、お金の勉強には高校地理が最も良いのではないかということです。

地理ってどんな科目?

地理がない高校もあるんでしょうか。少なくとも、ぼくの高校では選択科目の中になかった気がします。

名前からすると、地図とか地形に関することを学びそうです。確かに、地図帳を開いて主要都市の緯度や経度を覚えるし、フィヨルドやリアス海岸の形成要因を考えることもあります。

その一方で、輸出入や1人当たりGNI、人の移動や宗教、言語、工業、農業、原料などお金に関することを多く学びます。

今年の大学入学共通テストでは、乳製品に関する問題が出ました。関東と東北と北海道にある3種類の工場の数が書かれた表があり、3種類のうちどれがバターで、どれがアイスで、どれが牛乳が当てる問題でした。

原料費と輸送費のバランスから判断するんですが、これがとても難しかった。おそらく、どの地域に工場が多いか知っていることは想定しておらず、製品の特徴から推測する問題なのだと思います。バターとアイス、どちらが輸送費が高いんでしょうか。

他にも、東京にはどうしてIT関連産業が集積するのかとか、インドにアメリカのコールセンターが増加している理由とか、中国はブラジルから大量の大豆を輸入していて蜜月であるとか、そういったニュースや新聞でも見聞きできそうなお金に関する情報が整理されて、地理に登場します。

段ボール製造業が東京に多い理由は?

どこかの予備校の模試で出題された地理の問題です。理由はわからなくとも、考えれば当てられそうです。大人の知識と経験を動員すれば、答えに辿り着けそうなのが地理の魅力だと思います。

ヒント : 段ボールの原料が関係します。

正解は、印刷業と人口が多く、古紙を大量に回収できるからでした。

地理の問題を見ていると、何にでも理由があるのだと気づくことができます。この問題の思考には、ウェーバーの工業立地論が有効です。

工業というのは、その原料が得られる場所と製品を出荷する場所の関係で最適な場所に立地するという考え方で有名ですね。

世の中のお金の流れには理由があります。

どうして水道屋さんの請求する料金は高いのかな、どうして不動産屋さんには悪い人が多いと言われているのかな、どうしてマルチ商法の人たちは失敗するのかななどと考えなければいけないとき、きっと地理の勉強が役立ちます。

水道屋さんはメーカーの方針で機器の汎用性が極端に低く複数回の臨場が必要なことや自社の名前を出さない無責任な商売が横行していていることが高額化の原因だし、不動産屋さんは2回以上の取引がないことや顧客の損失が不動産屋の利益に直接繋がること、情報の非対称性があることが彼らを良くない方向に傾けるし、他人が楽して儲かる方法を教えてくれると思っているからマルチ商法の人は失敗します。

そうならないために、ゆりかごから火葬まで地理を勉強してほしいと思います。

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