元国税職員さんきゅう倉田です。好きな広告の手法はコカ・コーラの「ファーストフードにコーラを無料で提供する」です。
暑い日が続くようになってきました。毎年、夏になると、怪談を生業とする先輩が忙しそうにしています。ぼくも稀にイベントを見学しますが、チケットは発売開始直後に売り切れ、席は満席。関係者席にはタレントも大勢来ています。みんな、怖い話が好きなんですね。
お金に関する話を集めていると、怖い話を聞くことがあります。水道屋さんに高額な請求をされた話やエステを開業したい女性がお金を騙し取られた話、マルチ商法にハマった人が考えた稚拙なロジックなど内容は様々ですが、どんな話からでも快適に生きるために必要な教訓が見出せます。
また、自分でも怖い体験をすることがあります。今回は、ぼくが体験した話を2つ紹介します。お子さんやお友達に話して、ゾッとしていただけたら嬉しい。
仕事を依頼して納期までに納品がなかった話
ぼくは『税金とり』というボードゲームを学校に寄付したり、メルカリで販売したりしています。この度、初期ロットがなくなり新たに発注するに当たって、パッケージのデザインに軽微な変更を施すことにしました。
ぼくの知り合いに24歳のフリーターがいます。彼女は地方の美大を卒業しており、イラレが使えて、そのうちアート関連の仕事に就きたいと考えているようでした。
ぼくは、『税金とり』の説明をして、軽微な変更を依頼し、お金を払いました。締め切りは3週間。2時間もあれば終わる作業なので、長めに設定したつもりです。
前払いにしたのは、個人事業者として決済が遅れたときのストレスと恐怖を理解しているからです。相手のことも信頼していました。
しかし、3週間経っても納品はありませんでした。
もし、締め切りに間に合わないようであれば、一言連絡をもらえると不安は解消されます。業者への納期も迫っている。ぼくは3日待って、メッセージを送りました。しかし、返事はありません。
共通の知人を介して連絡を取ってもらうと、次の日の朝に連絡がありました。 「今晩できるところまでやって納品します。」
ぼくはそれに対し返事をしましたが、既読にならず、もちろん納品などなく、諦めることにしました。
後日、仕事で彼女のアルバイト先に行くと、受付に座っていた彼女が言いました。
「すみませんでした」
ぼくはとても怖いと思いました。
彼女は何かミスをしたわけではありません。納期を守らず、連絡をせず、こちらからの連絡を無視したのは、すべて彼女の意思です。だから、悪いと思っているわけがない。悪いと思うくらいだったら、特別な事情がない限り最初からそんなことできない。
路上で知らない人とぶつかったら謝った方がいいけれど、知らない人を理由なく殴ってその後に謝れば、相手は怯えるでしょう。
ぼくは恐ろしくなって、大丈夫だよ、ありがとう、とだけ言って逃げるように去りました。
国税局に伝わる怖い話
ぼくが公務員だった頃の話です。勤務後に上司数人と飲みに行きました。
上司が注文した生グレープフルーツサワーのグレープフルーツをしぼるよう指示されましたがうまくできず、見かねた上司にぼくはこう言われました。
「しぼれ、しぼれ、納税者だと思ってしぼれ」
江戸時代に、荏胡麻(えごま)をモチーフにした類似の歌がありましたね。ぼくはグレープフルーツを上手にしぼって、金色のサワーを作ったことを覚えています。
その話を退職後に別の場所でしました。大阪の税理士さん30名ほどが集まった会食の場です。
参加者の中には、大阪国税局をご勇退されてから税理士になった方がいて、大阪にも似たような話があると教えてくれました。
「羊だと思って毛をむしれ、ただ、殺して食べてはいけない」
大阪は怖いところですね。
新刊『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』
(総合法令出版/1,404円)
さんきゅう倉田の初の著書が発売されました。ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員やパート・アルバイトの方のための最低限の税の情報を、たのしく得られます。購入は コチラ