元国税職員 さんきゅう倉田です。好きな法律は「租税特別措置法」です。

引っ越しをします。

そんなときに最も憂鬱なのは、インターネット回線の変更ではなく、引っ越し業者の手配でもなく、不動産屋さんとのやりとりです。しっかりと見極めないと、不動産屋さんの担当者が自己のインセンティブが大きい物件だけを紹介してくるかもしれません。

まずは自分で物件探し

インターネットで好きなだけ物件が探せる昨今、飛び込みで入った不動産屋さんにすべてを任せる人は少ないと思います。ぼくも、希望のエリア、価格、延床面積を軸に検索して、内見を申し込みました。

検索サイト経由で不動産屋さんに連絡が行き、内見の日程を調整してくれます。ぼくの退去日まで3週間。速やかに物件を決めないと間に合わないかもしれません。

1日に6件の物件を内見することにしました。1件の所要時間はおよそ20分。移動時間も考慮して、無駄のないスケジュールを組みました。結局、その日に会った不動産屋さんは5人。そのうちのひとりに仲介を依頼することにします。

複数の不動産屋さんを利用した方が良い

一般的には、賃貸契約時の仲介手数料は賃料の1カ月分です。内見時に聞いても、そう言われることが多い。不動産屋さんからすれば、価格を下げる理由がありません。

でも、契約時にやることは同じなのに、賃料7万円の物件と14万円の物件では仲介手数料が7万円も異なります。

もし、仲介手数料7万円で赤字なら、そのくらいの賃料の物件は扱わなくなってしまう。だから、7万円でも利益があるし14万円ならずっと利益率は高い。そう考えると、仲介手数料には下がる余地があります。だから、どうやって下げてもらうか客側は考えなければいけません。

ぼくは、内見時に会った不動産屋さん全員に、その日の予定をすべて同じように伝えました。6件の物件を見ること、そして、この内見が冷やかしではなく本日中の申し込みを目的としたものであることを話し、入居までのスケジュールを確認しました。

きっと、世の中には内見だけする冷やかしの客や、いくら物件を見ても決められない客がたくさんいると思います。不動産屋さんからすれば、そのような客との出会いは不毛です。コストだけかかって、リターンがない。だから、ぼく自身がリスクの少ない優良物件であると思ってもらう必要があると考えました。

案の定、1件目の物件の案内をしてくれた20代の男性が、手数料の値引きとこの後他社がぼくに案内する物件の仲介も希望してきました。ぼくからすれば、どの不動産会社でもサービスはほとんど変わらないため、仲介手数料が最も重要です。

その会社の公表されている仲介手数料は1カ月分でしたが、提案されたのは0.3カ月でした。ぼく自身も、交渉なしにそれほど下がるとは予想していませんでした。

他社に取られるくらいなら下げ幅を大きくしても良いと考えたのかもしれません。

入居日も選べた

4年前に引っ越したときは、マンションの入居日は選べませんでした。引っ越し元の物件の退去日に可能な限り近い日に入居日を設定するのが、客の合理的な選択です。

しかし、ただの仲介人である当時の不動産屋さんは、入居日の選択権をくれませんでした。入居が早まって喜ぶのは物件のオーナーのはずです。不動産屋は、なぜか、たった1週間入居を遅らせる許可をくれなかった。

同期の芸人に聞いた話では、元芸人が勤める不動産屋も入居日を選ばせてくれなかったそうです。そうすると、ぼくの仲介担当者はこの世のどんな人よりも優しい。

そもそも、入居日をなぜ選べないのでしょう。TSUTAYAでDVDを借りる日を、店員さんに指定されたことなどありません。断固たる決意で、入居日を常識の範囲で自由に設定するのが、契約者の権利だとぼくは思います。

不明瞭な不動産の仲介手数料。不動産屋は、同じ客と2回以上取引することが少ないのでサービス向上に努める必要性が少ない。オーナーからの礼金があることを隠すことも厭わないでしょう。

だから、自分で勉強して、工夫して、対抗できるようにしなければいけません。

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