元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな小説の書き出しは「春と経費が2階から落ちてきた。」です。
引っ越しを検討しています。
もしかしたら、ウィキペディア等でぼくが代官山の2畳の家に住んでいると思っている方もいるかもしれませんが、そこは4年前に引っ越して、今は別の場所に住んでいます。良いマンションでした。
「どうして代官山に住んでるの?都会への憧れが強いの?」
と、当時はよく聞かれました。都会への羨望などありません。治安の良さをとても気に入って住んでいました。ある日、仕事へ行くためマンションを出ると、500円玉が落ちていました。なんのへんてつもない普通の500円玉です。でも、この500円玉は1週間前から落ちていました。なんて治安の良い、なんて平穏な街なんだと感動したのを覚えています。
その後、引っ越しをし、また、引っ越しをすることにしました。家を変えるとなると、不動産屋さんと交流しなければいけません。ぼくが不動産屋さんとプライベートで会ったときに絶対聞くのは「不動産業界は、悪い人が多いですか?」です。
「そんなことありませんよ」とか「どうしてそんなこと聞くんですか?」と言われたことはありません。決まって「多いですね」と言われます。
そのような業界の人から役務の提供を受けるとなると、予習が必要ですね。業界の常識を知らないことで、損をするかもしれません。
渋谷の不動産屋へ
どこの不動産屋がいいのかわからないので、散策中に見つけた店に入ることにしました。何度も名前を聞いたことがある有名なチェーン店です。いくつか物件の情報を見せてもらい、気に入ったものを印刷してもらいます。店員さんおすすめの素敵なデザインの部屋は、礼金なしでした。
「ここいいですよ!敷金1ヶ月、礼金0!即日入れます」
確かに良い。
ただ、説明書きの「トイレ・バス別」や「浴室乾燥機」に紛れた「フリーレント1カ月」をぼくは見逃しませんでした。ちゃんと予習してきてよかった。
フリーレント1カ月ということは、契約から1カ月は家賃が無料です。客にとって礼金なしと同じくらい魅力的。契約を取りたいのなら、真っ先に言うべきです。しかし、不動産屋は言わなかった。なぜか。
「フリーレント1カ月(ADor FR)」ってどういう意味?
フリーレントの横には、(ADor FR)とあります。FRはおそらくフリーレント、そうすると、ADは仲介した不動産屋がもらえるインセンティブを指しています。
つまり、大家さんは、契約が決まればぼくか不動産屋どちらかに1カ月分の賃料を支払いますが、どちらに支払うかは決まっていない。ぼくは確認しました。
「ADorFRってありますけど、取り合いになるんでしょうか?」
不動産屋は、露骨に動揺しました。
「え!?あ、まあ、いや、お客様が望めば差し上げますよ」
「1カ月無料を望まない客なんています?」
「たまにいらっしゃるんですよ」
ぼくは、心のなかで、「そんな客いるかい!」とつっこみました。不動産屋への不信感が募ります。これ以上誤魔化すことはできないと思ったのか不動産屋は言いました。
「他の業者はフリーレントを取っちゃいますが、うちはお客様に差し上げてますんで」
「素敵! いい不動産屋さんなんですね」などと、言うと思ったんでしょうか。
フリーレントの存在を隠し、「望めば差し上げる」などと非論理的な発言をし、さらにそれをなかったことにして、同業他社を貶めるなんてあんまりです。 あらゆる点で担当者を信頼できなくなってしまいました。
すみません、嘘を言いました。最初から信頼はしていなかった。いつ嘘をつかれてもいいように、心の準備をして臨場していました。だから、別に驚かないし、不快にも思わない。
世の中には一部の良い不動産屋さんと大多数の悪い不動産屋がいます。物件を賃貸、購入する場合は、業界のルールや用語を学んで臨むと良いと思います。ぼくは、大谷アキラさんの『正直不動産』を読みました。
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