元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな小説の書き出しは「私は、その会社の履歴事項全部証明書を三葉、見たことがある。」

前回、奨学金に苦しむ25歳の女性の話を書きました。

若い人には、借金をすることともう少し向き合っていただきたいと思います。 最近は、テレビで芸人さんが何百万円も債務があることについて明るく話していて、借金に対するネガティブな意識が薄れているかもしれません。誤解しないでいただきだいんですが、ぼくを含む芸人さんは、頭のネジやボルト、筋交い、梁、外壁が取れてしまった危ない集団です。

落ちたものを拾って食べてもお腹を壊さない強靭な胃袋を持っています。その生き方をゆめゆめ参考にしないでください。借金があっても幸せなのは、偉大な社長と芸人さんだけなのです。

豊富な借金のある芸人さんに話を聞きました。

ほとんどの売れていない若手芸人さんが、アルバイトをしたり、親に仕送りをもらったり、胡散臭い商売に手を出したり、女の子に頼ったりして生きています。貯金している仲間には会ったことがないですし、概ね、借金を抱えています。

ぼくは、お金を借りたことがないので方法が分からないのですが、キャッシングやカードローンで借りることが多いようです。

大学時代、ぼくのとある友人は、有名なデパートのクレジットカードを使ってキャッシングをしていました。おそらく、利息がかからない期間があったので気軽に借りていたんだと思います。

そうやって、間口を広くして若い人たちに借り入れをさせ、感覚を狂わせて、何十万円もの負債を抱えさせるんです。よくわからずに借りて、リボ払いをおすすめされて設定してしまう人が、世の中には一定数います。そして、お金の勉強をするようになってから、自分の無知を後悔しています。

とある芸人さんは借金についてこう言っていました。

「最初は、そういう借り方に抵抗があったんだ。利息もよくわからないし、怖い人に取り立てられたら嫌だし。
 
でも、どうしても欲しい服があって、一回だけ借りてみたら、なんのことはない。すぐに返せば利息もないし、借りるために誰かと会うわけでもなかった。
 
すごくイージーな気持ちで何回か借りるようになったら、限度額が貯金のように思えてきたんだ。50万円借りられる、だから、俺には50万円の貯金がある。
 
家賃も払えるし、服も買える、飲みに行くこともできる。そうやって、借りては返す、を繰り返してたら、限度額いっぱいになっちまって、他の会社に行ってみたんだ。そしたら、普通に貸してくれたよ。
 
『他社で借りてますね? 』とか言ってこないんだ。だから、また限度額いっぱいまで借りるようになって、今では、借金は200万円を超えたよ」

他から借りていても貸してくれる

借金界に足を踏み入れたことがないぼくからすると、他社からの借り入れがあれば、もう借りられないように思います。

でも、そんなことはない。利息で儲けている商売にとって、たくさん借りてくれる、かつ、なかなか返さない人が上客なわけです。他でつまんでいる人をみすみす帰すわけがありません。焦げ付いていない限り、貸してくれます。

ここで思い出してほしいのは、相手が利息で儲けている、つまり、利息で得している、ということは、反対側にいるあなたは利息で損をしている、ということです。

お金を借りるなら、利息を取らない良心的な友人から、あるいは、利息が発生する前に返さなければいけません。

住宅の購入や事業資金ならまだしも、日々の生活費を借り入れによって賄うなんて、常軌を逸しています。もし、お金を借りなければならないほど困窮しているのなら、生活に問題があります。

改善できるよう、支出や時間の使い方を見直しましょう。給与を見直すのは難しいので、副業や消耗品費の見直しが現実的だと思います。

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