元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな映画は「スタンド バイ 社長」という税理士の映画です。

副業が一般化してきたように思います。1~2年前は「副業がブームです」などと書いていました。大手企業の副業解禁率は10%台でしたが、ベンチャーを中心に副業は推奨され、政府も副業・兼業を後押ししていました。

ベア(基本給を上げること)を進めていた安倍政権は、様々な方法での個人所得の増加を望んでいたと思います。個人所得の増加による経済成長と所得税収の向上は、現在の日本に欠かせない要素で、政治のことはわからないけれど今後の政権にも期待しています。

副業をする人が増える一方で、システムが整備されたことで個人間売買が増えていきました。みんな昔からあったヤフーオークションはやっていなかったけれど、メルカリやラクマは多くの人がスマホにアプリをインストールしているのではないでしょうか。

普及したことで、様々なメディアでフリマアプリを活用した断捨離やお小遣い稼ぎを紹介していますが、自宅にあるものを積極的に売買するのは、ファイナンシャルプランナーの立場からは勧めません。

モノを売るときには、時間をタダで配っている

お金の遣い方として、将来売るようなもの捨てるようなものを買わない、というのは基本です。個人間の売買は隆盛を極めていますが、モノが買った価格より高く売れることはほとんどありません。

「不要なものに価値が生まれるんだから合理的だ」とおっしゃる方がいますが、そもそも不要になるものを買ったことが間違っていると気づくべきです。もちろん、何らかの理由でモノが不要になることはありますが、それでも、お金の使い方が下手で資産が少ない人ほど不要になるモノの所有率が高いように思います。

それは、買うときに、本当に必要かどうか、どのように使うか、どれくらい使うのか、費用対効果はあるのかといったことを、考えていないからです。 お金に縛られている人は、すぐにモノを売ります。不要なものも売るし、お金がないのでお金を得るために必要なものも手放します。 販売価格は購入価格より安いので、買ってすぐ売るくらいなら最初から買わなければいいのに、貧乏なので売るはめになります。売りたいわけではなく、売らなければいけない状況に追い込まれています。

お金に縛られていなければ、不要であっても売る必要はありません。むしろ、売らないほうがいい。だって、販売に要する時間のほうが、販売によって得られる金銭より、ずっと貴重だから。時間はお金で買うことができますが、一度手放した分は返ってきません。

ぼくも、『税金とり』という自作のボードゲームを販売するために、メルカリを使用しています。でも、不要になったものを売ることはありません。写真を撮って、説明文を書いて、値段を設定して、メッセージのやり取りをして、商品を包んで、商品を発送して、相手を評価して、数千円を得るより、仕事や勉強に時間を使いたい。

もちろん、よく考えて買った価値あるものを売る機会もあると思います。その点では、フリマアプリはとても便利だし、存在に感謝の意を表したい。ただ、日常的にお金を稼ぐ目的で使用するものではないと思います。

買ったものを買ったときより低い金額で売るなんて馬鹿馬鹿しいことはやめましょう。世の中に、そんな商売は存在しないことを思い出してください。

すべての商店が、買った値段より高い値段で商品を販売しています。高く仕入れて、安く売るのは、お金だけでなく時間を捨てるに等しい行為です。自分の時間の価値を認識することは、お金のことを考える上での第一歩、いや、靴下を履くくらいのことだと思います。

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