元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな会計は「税効果会計」です。

みなさんは、誰かに食事を振る舞ったり、誰かからご馳走になったりすることはあるでしょうか。

芸人の世界にいると、先輩から施しを受けることがよくあります。後輩と食事に行けば、会計は先輩である自分が負担します。特別に上下関係が厳しい世界だとは思いませんが、会計に関しては先輩に依存するのが一般的です。ただ、これは吉本興業に顕著らしく、他のお笑い事務所では先輩後輩の関係であっても、会計を割ることがあるそうです。

ご馳走になった時のマナー

上下関係の厳しさで言えば、公務員だったときの方が厳しかったと思います。宴会の次の日は、若手みんなで、先輩や上司に挨拶をして回ります。フロアが異なっても、階段を昇降して、「昨日は、お疲れさまでした」と言ってデスクを回っていました。ご馳走になったわけではないので、「ご馳走様でした」とは言いません。組織によって、さまざまなルールがありますね。

  • 元国税芸人さんきゅう倉田の「役に立ちそうで立たない少し役に立つ金知識」 - 第160回「ご馳走になった少年たちは、伝票を覗いた」

さて、ぼくは会計の時にどのように振る舞えばいいのか、いつも悩んでいます。ご馳走してくれる人(ぼくの場合は、95%が先輩、5%が友達)が会計をしているときに、なにをしていればよいか、そして、会計を把握するべきか。

店員さんと会計をしている人のやりとりは、太陽や昔の偉い人のように、直接見てはいけない気がします。かといって、携帯をいじる、または、トイレに立つのは愚行です(デートだったら、スマートに会計をすませる機会を与えるために、化粧室に行くのは良いと思いますが)。

現在のぼくは、目の焦点を合わせずに相手の方をぼーっと見て、神社で雅楽を聞いているときのような神妙な心で終わるのを待つようにしています。

支払金額を知るべきか、知らずにおくべきか

ぼくは、この支払金額を把握するべきか否か、ずっと迷っていました。 昔、「上司が会計をしているときは店の外で待つべし」と習いましたが、これは物理的に距離を取る必要性を説いたものではなく、会計を把握するな、という意味だと思っています。だから、テーブル会計であっても、支払金額を把握しないように努めていました。

そのため、大きな声で会計を唱える店員さんやお会計を頼んだ男性ではなく連れの女性に伝票を渡そうとする店員さんに出会うと、ほんのちょっぴりですが悲しい気持ちになります。

アンケート
あなたは会計を把握してほしいか、そうでないか

ぼくのTwitterで以下のようなアンケートを採りました。回答者は1786名。標本としてはそれなりの人数に回答してもらえたと思います。

Q. ご馳走した後輩や異性に、支払金額を把握されるのと把握されないの、どちらが良いですか? 払う側になった気持ちでお答えください」

後輩には把握してほしい  7.8%
異性には把握してほしい  4.9%
どちらにも把握してほしい 30.7%
把握してほしくない    56.6%

半分以上の人が把握してほしくないんですね。ぼくも、基本的には、把握しないを選択しようと思います。

ただ、世の中には一定数モノの価値を全然知らない人がいます。お金のことばかり考えているぼくだって、数年前に大阪のバーでご馳走になったマッカランのレッドリボンが1杯20,000円(30ml)だと聞いて目を丸くしました。全く価値を知らなくて、立ったまま一気飲みをしたことを今でも後悔しています。たしかに、グラスに豪華な装飾のある蓋が乗っていて、なにか変だなとは思ったんですが、うっかりしていました。

ご馳走した側からすると、せっかくなら価値の分かっている人に飲んでもらいたいという気持ちがあると思います。コンビニで売っているウイスキーとは異なる貴重な酒を振る舞っていることを気づいてほしいと思います。

食事に関しても、支払金額にはなにか特別な思いが込められていることがあるかもしれません。だから、会計時のやりとりを聞かなくとも、支払いがいくらくらいになるかがわかる「ものさし」を持っていることが大切だと思います。

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