元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな住宅は「長期優良住宅」です。

不動産の売買や仲介をしている会社に勤めている人と不動産投資をしている人に会ったら、いつも聞いていることがあります。

「不動産の人って、悪い人が多いですか? 」

今まで10人くらいに聞いて「そんなことないです」と言われたことはありません。皆、おしなべて「そうですね(笑)。」とおっしゃいます。

本当に悪い人ばかりなのか

もちろん全員が悪い人ばかりではないと思います。しかし、「公務員は悪い人ばかりですか? 」「芸人は悪い人ばかりですか? 」と聞かれて、「そうですね」とは絶対に答えません。悪い人が0だとは思っていませんが、社会に存在する悪い人の割合と変わらないと思うからです。

誤解のないように言うと、不動産業界に、悪い人ばかりが流入してくるわけではなく、その仕事の性質上、悪い人になっていく、ならざるを得ないのだと思います。

定義を明かさずに「悪い人」「悪い人」と連呼するのはフェアじゃないですね。ぼくの考えるこの場合の「悪い人」とは、「自分の利益のために、他人が損失を被ることを厭わない人」です。

例えば、接客業などで、「お客様の利益が店の利益につながる」などと考える経営者がいます。だから、顧客満足度を高めるために努力をします。芸人が出演するお笑いライブだって、お客さんをたくさん笑わせることで、中長期的に利益へつながります。

客の損失が自分の損失になると考える仕事は少なくないと思います。しかし、不動産業の一部は、そのように考えないんですね。

学校や親が子供に教えてほしい

日頃からお金の学び、"まねび"の大切さを説いていますが、その中で不動産業者の項目は必須だと思っています。ずっと実家暮らしでない限り、どんな人でも不動産業者との関わりが少しはあるでしょう。そのとき感じたことや起こったトラブルを、次の世代に受け継いでほしい。

なぜかと言うと、一方的に損失を押し付けられるのは、無知や情報の非対称性が原因だからです。こんなふうに、科目毎に教えても良いと思います。

「同僚を悪い人だなと思ったのはどんなときですか? 」

と不動産会社の人に聞いてみた。

■とある不動産会社の人のお話
うちの会社は、注文住宅を販売しています。そしてお客さんに住宅を引き渡した後、よく雨漏りが見つかるんです。割合としては、3割くらいでしょうか。多いと思います。お客さんからクレームが入ったら、「最近は雨が多かったので」などと言い訳しているのをよく耳にします。

こちらは、自社商品に施工不良が多いことを知っていますが、お客さんはそのことを知らないので、大きなトラブルにはなりません。修繕すれば、解決します。

ただ、それだけならまだよいのですが、「火災保険で直せますよ」と案内している従業員がいるんです。雨漏りは、災害ではないので火災保険の対象ではありません。ただ、うちで保険の代理店もやっているので、どうとでもなるというか……。

「家を注文する人に、なにかアドバイスはありますか? 」

と聞いてみた。

■とある不動産会社の人のお話
現場監督の中には、素人もいます。建築業界が長いベテランがやっているとは限りません。だから、チェックが甘くて、竣工後に修繕できないようなミスが見つかることもあります。お金はかかってしまいますが、施工中に、一級建築士などの第三者に見てもらうと良いと思います。

また、後から瑕疵(かし)が見つかって連絡しても、「それは、うちでは直せないので、お客さんの自己負担っすね~」と言うことがあります。しかし恥ずかしながら、自社では担当者が適当なことを言っていることもあります。

修繕をすることになると、担当者の成績が下がるんですよね。だから、本当はうちの責任なのに、「契約書の内容に含まれない」などと嘘をついて、逃れていることもあります。もし、修繕が必要になって、担当者が対応してくれなければ、上司と話したい旨を伝え、それでだめなら、「住宅紛争処理支援センター」に連絡すると良いと思います。


もちろん、すべての不動産業者が悪い人なわけではありません。今回お話を伺った方の会社が特別なのかもしれない。ただ、悪い人の割合が多い、特殊な業界であることは覚えておいてほしいです。

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