元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな職業は「バトルマスター」です。

世の中には、まだまだ自分の知らない仕事がたくさんあります。その中でも、特に珍しいというか、自分の周りにはやっている人間がいないお仕事が、「裏引き」です。

「うらびき」とか「うらっぴき」と読むそうです。

これは水商売などで、お店の外でお客さんからお金をもらうことを指します。コロナの影響で、飲食店や風俗店が休業になる中、困窮したそれらの従事者の一部が、裏引きで収入を得ています。

1本1万円の裏引きマニュアル

裏引き界で有名なとある女性は、そのノウハウを、文章やマンガなどの投稿サイト「note」で販売しています。価格はなんと1万円。それでも、100本以上売れているそうです。安いとはいえないので、真に必要としている人たちだけが読むのでしょう。つまり、裏引きをする人や一部の業界など、その情報をお金に変えられる人が購入していると考えられます。

そこには、どんな男性を狙うべきか、どのような理由でお金を出させるか、トラブルになったときのためにどのような準備が必要かといった、裏引きをする上で必要なありとあらゆることが書かれています。1万円を払えばノウハウが手に入ると考えると、「note」での支払いも安いのかもしれません。さて、そこには、どんなことが書かれているのでしょうか。

  • 元国税芸人さんきゅう倉田の「役に立ちそうで立たない少し役に立つ金知識」 - 第158回「男の人からお金を借りる職業」

貴重な経験の蓄積

「出会って3日でも30万円は引っ張れます」

大変心強いですね。知り合ってからの時間は関係ないわけです。ただし、「お金がほしいからください」と言っても、誰もお金をくれないそうです。お金を出したくなるような理由が必要です。そういった際には「支払いが滞って、クレジットカードが止まったの」などと言うそうです。ぼくも以前、渋谷の風俗店に勤める女の子から、似たような連絡が来たことがあります(ぼくは客ではありません)。

「クレジットカードが止まっちゃって、使えないの。さんきゅう、10万円貸してくれない?」

ぼくは10万円くらい自分で払えるだろうと思いました。いい大人が、貯金がそれ以下などとは考えづらい。

「友達に借りたらどう?」

「友達は、貸してくれなかったの」

「ごめんよ。友達からも借りられないような人には、貸せないよ」

他人にお金を貸すということは、差し上げるのと同義です。貧しい芸人のぼくから、努力なしでお金をもらおうなんて、非道ですね。

「note」には、クレジットカードの次は「親が病気で……」と言うと、さらに大きな金額を借りられると書いてあるそうです。そうやって、信頼関係を築き、最終的には300万円くらいまで借りられるようになるといいます。貸す方も、素敵だと思っている女性を助けたことで、幸せ。お金をもらった方ももちろん幸せです。これがウィンウィンの関係なのだそうです。

インドア派を狙え!

また、狙う対象も細かく案内されています。できれば、独身。独身でなくても良いが、30代以上の趣味のない人間。普段、恋愛をしていないガチ恋勢(※)が望ましいとのこと。また、アウトドアが趣味の人間は、避けること。そして、常に希望を持たせること。「収束したら、沖縄に行こうね」などと、男性に幸せな未来を見せるそうです。そうやって、お金は借りるけど、決して身体は触らせない。そして、いつかのトラブルに備えて、定住せず、本名やLINE以外の連絡先は教えない。

※ アイドルや芸能人、アニメキャラクターなどに「ガチで恋をする、している」人たちのこと。類語に「リアコ(リアルに恋する、している)」などがある

その話を聞いて、世の中には、自分の知らない稼ぎ方があるのだと知りました。そして、このマニュアルを書いた女性が20歳前後と聞いて驚きました。そういう稼ぎ方をしたいとは思いませんが、自分の知っていることを活字に起こして、それを適正な価格で販売するのは簡単なことではありません。価格のないものに値段をつけるのは難しい。ぼくも勉強になりました。

あ、ずっと「借りる」と書いていますが、もちろんお金は返さないそうです。

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