元国税局職員さんきゅう倉田です。
好きな小説の書き出しは「行く金のながれは絶えずして、しかも本の預金口座にあらず。」です。
確定申告の期間が過ぎてからは、持続化給付金や特別定額給付金、雇用調整助成金、住宅確保給付金、緊急小口資金、小学校休業等対応助成金などについて調べ、まとめた情報をTwitterに投稿しています(確定申告の期間は、所得税全般や確定申告の手続きについて投稿していました)。
的を射た内容や新しい情報であれば拡散され、見知らぬ人に届きます。知っていれば得をする情報は世の中に数多あるけれど、電波が弱くて届かない。原語が異なるので理解できないなどの理由で、活用できないことがしばしばあります。
だから、ぼくのような人間にも需要があるわけです。そんななかでさまざまな役立つ(とぼくが思っている)確定申告の情報を発信していると、ダイレクトメッセージで質問が来ることがあります。
見知らぬ人からのメッセージ
「昨年、仕事を退職して、アルバイトをはじめました。この場合、確定申告はしたほうが良いのでしょうか」
「キャバクラで働いているんですが、税金を納めていません。脱税になりますか? 」
「副業をしているんですが、申告したほうがいいのでしょうか」
質問には答えていませんが、複数の理由でみんな困っているんだなと日々感じていました。
そして4月になり、コロナに関する給付金の情報を発信すると、今まで以上に、質問が来るようになりました。特に、多いのは、持続化給付金に関するものです。
持続化給付金は、個人事業者なら最大100万円受け取れる制度です。個人事業者を主な対象としているという点で、確定申告と変わりません。しかし、送られてくる質問の数は、桁違いです。みんな、100万円をもらうために正しい情報を知りたいと思っているんですね。
やっぱり質問には答えない
確定申告のときと同じで、届いた質問には答えません。理由は割愛しますが、会社員やパート・アルバイトの人とは働き方が異なる、独立した事業者である個人事業者が、安易に質問をしてくることには、苦言を呈したいと思います。
なぜなら、個人事業者からくる質問のほとんどが、調べればすぐに解決するようなことだから。なので、自分で調べずに質問をしてきているとわかります。
まず、簡単なことを自分で調べない人は、個人事業者としてうまくいかないと思っています。自己の危険と計算において、反復・継続して、独立して仕事をするのが個人事業者。業種に関係なく必要な知識を得られない人は、向いていません。
よしんば、調べても解決しなかったために、ぼくに質問を送ってきたとします。この場合も、調べていない人と大差がありません。
基本的には、その制度を設けた役所に電話すれば無料で解決します。その手間を惜しみ、役所の負担をぼくに転嫁するのは、敬意を欠いた非道な行いです。ましてや無料でなんとかしようとぼくに連絡したのであれば、同様に、人の道に外れていると思います。
質問が無料だと思っていること
人の知識や情報には価値があって、対価を払わずに質問をするのは、八百屋で大根を盗むのと変わりません。価格が明示されていなくても、店先に置いてある野菜を持っていこうとは思わないと思います。欲しければ、誰だって「おいくらですか? 」と店主に確認します。
つまり、情報や知識には価値がないと思っている人が多く、基本的にはお金は払わない。でも、それでいいと思います。それが普通で、何も変なところはありません。0円で大根が手に入ったら嬉しいですよね。
ただ、他人の商品に対し対価を払う必要があると気づけない個人事業者は、成功しないと思います。モノの価値がわからず、他の事業者の仕事を軽視すれば、必ず、事業に損失を招くし、自らの収益を増やすことはできません。
ぼくだって、弁護士に会えば業界のことを聞くし、不動産屋に会えば裏技を聞きます。聞きたいことは聞けばいい。そこで対価を支払うかどうかが、個人事業者としての分かれ道だとぼくは思います。
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