元国税局職員 さんきゅう倉田です。 好きな小説の書き出しは「吾輩は白色申告である。帳簿はまだない」です。
前回は、フリーランスの報酬がどのように決まるのか、どのように報酬を上げたら良いのか考えました。
フリーランスは、自己研鑽をしていないと反復・継続して事業を行うことができませんが、過去の自分だけではなく、同業他社との比較も行う必要があります。
そこで全員が絶対にこうしたほうがいい、とは思いませんが、フリーランスになってから特に意識していること、意識しなくてもできることを書き出しました。
自分の年収を詳らかにはしませんが、東京で平均以上の所得を得ているフリーランスがやっている行動として読んでいただければと思います。
他者と差をつけるには
・返信は1時間以内
メールの返信が遅いフリーランスと、継続的に取引したいと思う人はいません。代わりはいくらでもいるからです。ぼくは、一日に何度もメールをチェックして、「迷惑メール」のボックスもチェックして、可及的速やかに返信できるように心がけています。
一方で、一斉送信などの返す必要がないと判断したメールは無視します。フリーランス同士の交流会などで聞くと、翌日に返信する人が一定数いるようですが、こまめな連絡をおすすめします。
・感謝しない人には、仕事をくれない
自分で営業をして仕事を得るのではなく、依頼を待つ業界なので、依頼者はぐうたらのぼくに優しくしてくれます。必要以上に、謙(へりくだ)る方もいます。 だからといって、失礼な態度を取ることはなく、依頼にとてつもなく感謝しています。
「お引き受けいただけますでしょうか? 」などと言われて、「いいですよ」と答えるフリーランスもいるそうですが、まずは「ありがとうございます」と感謝を伝える必要があると、ぼくは思います。
・早い納品
『ジョジョの奇妙な冒険』第4部で、岸辺露伴は「あんまり書きためると、安っぽく見られるから」と言っていましたが、締め切りを設定する側からすると、締め切り当日の夕方になっても納品がないと、とてつもなく不安だと思います。
ぼくは、先方にとって、常に、安心感を与える取引先でありたいので、書きためて納品します(ただ、それが嫌な取引先もいるかもしれません)。
やるべきことをやり、
やってはいけないことをやらない
フリーランスは、自分の腕ひとつで稼ぐ人ばかりです。そのため、請求や確定申告についての知識を増やし、日々それらに関心を持たなければいけません。
ただ、取引先とお金の話をすることは抵抗があります。「金額で仕事を受けるかどうか決めるのか」などと思われると、マイナスだからです。
しかし、ビジネスなので、全員が金額の多寡によって決めるはずです。報酬が1円の仕事は誰も受けません。だから、可能であれば、依頼する方からお金の話をしてあげると良いと思います。
これには、具体的な金額だけでなく、締め日と払い日の確認や請求書の要否、提案された報酬が消費税込みなのか本体価格なのかどうかが、含まれます。特に、外部と取引をしない会社員の人は消費税の概念に乏しいので、一度フリーランスとじっくり話すと良いと思います。
また、フリーランス側が必ずやらなければいけないのは、正しい知識を習得することです。下請法の知識は自分を守るために必要だし、確定申告に備えて、所得税、経費の範囲、売上の計上時期、青色申告、消費税の取扱い、請求書の書き方、領収証の書き方を知っておく必要があります。
これらの知識がなければ、事業を継続・拡大することが難しいだけでなく、国民の義務を怠る可能性があります。多忙であれば、対価を払って税理士さんに依頼することをおすすめします。
全4回に渡って、フリーランスに必要だと思うことをまとめました。これから、フリーランスになる人、すでにフリーランスになった人の参考になれば幸いです。
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