元国税局職員 さんきゅう倉田です。
好きな小説の書き出しは「私は税理士を常に先生と呼んでいた」です。
ぼくの周りには、コロナの影響で仕事が激減したフリーランスが大勢います。公務員の給与には変化はなく(ボーナスはそのうち下がる)、会社員でも基本給が減額される人は一部だと考えて比較すると、いきなり収入がセロになったフリーランスの経済的・精神的負担は圧倒的に大きい。コロナを事前に予期することはできませんが、予期せぬ事態に備えて、数百万円を預金しておくことは必要ですね。
働き方が自由化しつつある最近の世の中では、副業・兼業も国から推奨されています。まだまだ、禁止されている企業は8割を超えますが、ベンチャー企業や、自らを業界の牽引役だと認識している企業は、積極的に導入しているようです。
副業がもっと広がれば、フリーランスと会社員の線引きは曖昧になり、新たな所得区分の創設が検討されるかもしれません(所得区分は10種類あるよ)。副業を始めてみたら会社員のときより稼げるし、やりがいがあるし、充実していてたのしい、そう思いフリーランスになる人もいると思います。
ぼくは、芸人になって10年が経ちました(芸歴は11年目)。フリーランスとして収入を得るようになってからは、およそ5年です。昔は芸人にそういう考えはなく、収入といえば事務所からもらう報酬かアルバイト、事務所を通さない営業などで、独立して芸人以外の仕事をする人はいませんでした。
22歳を超えてからするアルバイトには、お金以外に得られるものがありません。自分の時間を1,000円ぽっちで安売りするだけの不毛な活動です。ぼくも、5年前までそうでした。しかし、フリーランスとして働きたいと思っても、仕事がすぐにやってくるわけではありません。また、仕事が得られるようになっても、家族を養うだけの収入を得るためには、工夫が必要です。
そこでフリーランスとして生きていくために大切なことを、全4回にわたってまとめました。
フリーランスが仕事を得るためには(1)
フリーランスとして働くぞ、と本人が思っても仕事は得られません。芸人はフリーランスですが、家賃が払えるくらいに仕事を得られるのは5%程度。みなアルバイトをしています。
芸人の仕事といえば、テレビなどのメディア出演か営業です。お笑いライブはほとんど利益がないため、報酬がない場合が多く、あったとしても雀の涙。一部の特別な劇場以外は、毎日出演しても生きてはいけません。しかし、テレビの仕事を得ることは難しく、自分から企業や団体にアプローチして営業を取ることも容易ではありません(多くの人が、無名の芸人を呼ぶことにお金を使おうとは思わない)。ただ、仕事がないからといって、芸人の能力が低いかというと、決してそんなことはありません。
おしなべて話が上手ですし、コミュニケーション能力も高い。仕事がない理由は、それをお金に変えるのが難しいから、本人たちがぐうたらだから、というそれだけなのです。
指名で仕事が入る工夫をする
しかし以前とは異なり、現在は芸人たちが仕事を得やすい環境に変わりつつあります。
趣味や特技を活かした芸人の登場があったからです。
今までは邪道とされていましたが、一部の芸人が自分の得意なことや好きなことを公にするようになると、その解説の丁寧さ・簡易さから急速に一般化されました。話が上手なだけでは仕事はないけれど、何かを上手に説明することで仕事が得られるようになったのです。
以前は世間から「面白い人たち」という認識があっても、成果物が残せるのか不明瞭だった芸人たち。しかし趣味や特技を示すことで、スキルを活かして生活できるようになったのは、お笑い史に残る変化だと思います。これは、フリーランス一般にも当てはまると思います。
フリーランス向けの仕事紹介サービスは多々ありますが、それは「誰でもできる仕事」として、依頼が来ているわけではありません。それが悪いわけではありませんが、デメリットは多い。指名の仕事が入るように工夫をする必要があるのです。
自分には何ができるのか、同業他社とは何が違うのか、客観的にわかりやすくすることが、フリーランスとして仕事を得るために、最初にやるべきことだと思います。
新刊『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』
(総合法令出版/1,404円/税込)
さんきゅう倉田の初の著書が発売されました。ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員やパート・アルバイトの方のための最低限の税の情報を、たのしく得られます。購入は コチラ