元国税局職員さんきゅう倉田です。好きな控除は「青色申告特別控除」です。

前回は、確定申告をしなければいけない場合について解説しました。しなければいけない場合と、したほうがいい場合は異なるので、注意が必要です。

したほうがいい場合は、しなくてもあなたが損をするだけなので、何もしなくても国や自治体は連絡してきません。だから、あなた自身がちゃんと知っておく必要があります。

会社員、パート・アルバイトで確定申告をした方がいい場合

年の途中で退職した

前前回、詳しく書きました。確定申告をしたほうがよいでしょう。

住宅ローン控除を受ける

家を、ローンを組んで買ったら、お金持ちでない限り、確定申告をして、所得税の還付を受けます。買って1年目だけ確定申告をすれば、2年目以降は会社が年末調整の中で処理してくれます。

先日、住宅ローン控除を受けないまま3年も放置している人と会いました。

「去年、はじめて確定申告をしましたよ。3年分まとめて。いやあ、大変だったなあ」

放置していなければ、2年分は年末調整でやってもらえたのに。面倒だからといって、行政手続きを放置すると、煩わしさに利息が付きます。

心理学では、今やるストレスと後回しにしたときのストレスを比較すると、後回しにしたときのストレスのほうが大きくなるといわれています。迷ったら、すぐにやるほうを選択しましょう。

医療費控除をうける

医療費がたくさんある場合に受けられるのが医療費控除です。家族の分を合わせて年間10万円以上の医療費があれば、確定申告で所得税の還付を受けることができます。

ただし、所得が200万円以下(年収だと310万円くらい)なら、医療費が10万円なくても、医療費控除が受けられます。

具体的には、所得の5%を超えた金額より医療費のほうが多ければ、医療費控除が受けられます。所得が150万円なら7万5000円以上、所得が100万円なら5万円以上の医療費です。

医療費控除は、あくまで、自分たちで負担した分だけなので、保険でもらったお金は、医療費の金額から除きます。

ふるさと納税6カ所以上

ふるさと納税を6カ所以上にした、ふるさと納税のワンストップ特例を受けなかった、これらの場合は、確定申告をしないと、所得税の還付や住民税の減税が受けられません。ただ、返礼品を買っただけの人になってしまいます。忘れず申告しましょう。

年末に結婚して配偶者控除をうける

年末調整の後に結婚すると、自分で確定申告をして配偶者控除を受ける必要があります。あなたの年収が1220万円を超えている、配偶者の年収が201万円を超えている、そのような場合は、配偶者控除や配偶者特別控除は受けられないので、申告する必要はありません。

年末に家族が離婚したので、扶養にした

年末調整の後に扶養家族が増えた場合も、確定申告をすれば、控除が受けられます。ただし、子供が生まれても、16歳未満の場合は扶養控除の対象とならないので、申告する必要はありません。

盗難や災害に遭ったので雑損控除

盗難や災害といった嫌なことがあったら、雑損控除が受けられます。計算方法が複雑なので、少し調べて、確定申告をしましょう。

年収103万円以下なのに源泉徴収されている

2カ所で働いている、扶養控除等申告書を提出していない、そんな場合は、年収が少なくても源泉徴収されていることがあります。確定申告をすれば、所得税が還付になります。しなくても、問題ありませんが、もらえるお金はもらったほうがいいと思います。

「確定申告したほうがいいよ」と誰かが教えてくれたり、通知がきたりしません。自分で、必要かどうか判断する必要があります。その判断を助けるのは、あなたの知識だけです。日々、情報と知識を増やすようにしましょう。

さんきゅう倉田

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