元国税局職員さんきゅう倉田です。次になりたい職業は「バトルマスター」です。
巷にあふれる確定申告に関する疑問や悩みを解決する、確定申告集中講座第三回。誰も教えてくれないし、わかりやすい本もないから、みんな困っていると思います。
国税庁のサイトも、以前と比べると、非専門家にも理解しやすい表記になってはいますが、誤解や揚げ足取りをふせぐため、難しい表現がなくなることはないと思います。
たのしくわかりやすく伝えるのは、ぼくが担いましょう。
途中退職した場合、転職した場合、確定申告は必要??
もったいぶらずに言うと、途中退職して、その後就職しなかったのなら、確定申告をしたほうが良いです。転職した場合は、それだけを理由に、確定申告をする必要はありません。
会社員、パート・アルバイトは、毎月の給与から源泉徴収されています(所得税を天引きすることを「源泉徴収」っていうよ!)。会社は、年末になると、源泉徴収していた所得税をちょっとだけ還付してくれます。
なぜかというと、みんなの年収から所得税を計算したら、毎月天引きしていた所得税が多すぎたことがわかったんです。後から「払ってくれ」と言うとストレスなので、予め多めに天引きするようになっています。
このように、会社が所得税を計算して、ちょっとだけ還付してくれる手続きが、「年末調整」です。仕事を辞めてしまうと、この年末調整をしてもらえないので、ちょっとだけ多く所得税を納めた状態が、放置されてしまいます。だから、自分で確定申告をして、所得税を還付してもらう必要があります。多く納めているので、確定申告が面倒なら、しなくても咎められることはありません。
転職した場合は、前の会社からもらった源泉徴収票を新しい会社に提出することで、ふたつの会社のお給料を合わせて、年末調整をしてくれます。だから、仕事を辞めたときのように、確定申告が必要ありません。
会社を辞めてフリーランスになった、あるいは、その逆は??
会社を辞めてフリーランスになると、その年に給与所得と事業所得の2つの所得があるので、合わせて確定申告をしなければいけません。
辞めた会社から源泉徴収票がもらえずに、お給料の金額がわからなかったとしても、その金額を書かずに申告書を作成することはできません。物理的にはできますよ。
ただ、そういった申告は認められないし、申告書を提出しても、後から、連絡が来ると考えられます(ぼく自身がそういった申告をしたことがないので、正直、どういった流れになるのかはわからない)。
フリーランスだったけど、就職して会社員になる人もいると思います。その場合も、事業所得と給与所得の2つの所得があります。その場合は、転職した場合のように年末調整では対応できないので、確定申告をする必要があります。
個人事業者が会社を設立した場合は??
フリーランスとして仕事が順調だと、会社を設立して、規模を拡大する場合があると思います。個人事業者から、代表取締役社長になるわけです。この場合、事業所得と給与所得になる役員給与があるので、合わせて確定申告をする必要があります。
年末調整と確定申告の違い
稀に、「確定申告してる?」と聞くと、「会社がやってくれてる」「バイト先がやってくれてる」と答える人がいます。会社やアルバイト先は、確定申告はしてくれません。やってくれるのは「年末調整」です。
確定申告は自分でやる手続きです。2カ所で働いているとか、副業があるとか、控除を受けたいとか、そういった理由がない限り、確定申告は不要ですが、違いを理解しておかないと、損をすることがあります。
正しく認識して、不測の事態に備えましょう。
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