元国税局職員 さんきゅう倉田です。好きな住民税は「区民税」です。
前回から、副業がバレるかバレないかについて解説しています。
いままで、副業がバレた時の言い訳をたくさん考えていましたが、住民税の決定通知書の存在によって、どうやら、副業がバレてしまうことがあるようです。
まずは前回の続き、所得区分について説明します。
所得区分とは
みなさんはお給料以外にも収入を得る方法があります。先程示した、競馬や競輪などもそうですが、自分でモノを作ってフリマやメルカリで売る方法もありますし、何かを仕入れてインターネット上で売買することもできます。持っている土地や建物を売ることもあるでしょう。
それらで利益が出れば、所得税がかかりますが、収入を得た方法によって、所得の計算方法が異なります。
所得は、お給料は給与所得、持っているマンションを賃貸していれば不動産所得、といったように10種類に分けられています。
所得区分は他人に知られたくない大切な情報
個人が、どのような方法で収入を得ているかは、第三者に知られることのない、かつ、知られたくない重要な情報です。制度上、行政がそれを把握することは仕方がありませんが、自治体によっては勤務先も知ることができます。
あなたの親でも親友でもない勤務先が、所得だけでなく所得区分をも容易に知ることができる環境は、この必要以上に個人情報保護を謳う時勢に即していません。
だから、Twitterで指摘されるまで、みなさんの収入の所得区分を勤務先が知ることができるとは思っていませんでした。
自治体によっては、勤務先が、みなさんの収入の所得区分を把握できないように、“決定通知書”を圧着したり(ペリペリペリと剥がす様式)、保護シールを貼ったり(ペリペリペリペリと剥がす様式)しているようです。
総務省の調査によると、A県では80%、B県では70%、C県では4%、D県では100%の市区町村で、勤務先がみなさんの所得区分を把握できないよう、上記の措置を講じていることがわかりました。
C県は、個人情報について何も考えていないと断ぜざるを得ません。前時代的で、配慮のない自治体です。ぼくの住みたくない町ランキング第一位です。
所得区分の秘匿措置を実施していない理由として
予算が確保できないから
義務付けられていないから
普通徴収を選べば、副業の給与所得は決定通知書に表示されないから
などが挙げられました。
予算がないから実施できないというのは、悩ましいところです。予算は限られており、行政として優先すべき事項が他にあるのでしょう。
「義務付けられていないから」というのは、邪悪な性格の人が答えたのでしょうか。知人や部下になにかの理由を確認してそのような回答をされたら、今後は関わらないようにするかもしれません。それくらい、悪質で稚拙な理由です。
「普通徴収を選べば~」については、合理的な回答だと思います。
ここで、普通徴収について説明します。確定申告をすると、確定申告書の中で、給与以外の収入の住民税を、勤務先の給与から天引きするか自分で納付書を使って納めるか選ぶことができます。紙の確定申告書であれば右下に欄があり、パソコンで申告をする場合は「住民税・事業税に関する事項」のところに選択肢があります。
この給与から天引きする方法を特別徴収、自分で納付書を使って納める方法を普通徴収といいます。
副業の収入による住民税が、特別徴収で勤務先の給与と一緒に徴収されることによって、勤務先は副業の存在を把握することになります。しかし、給与でも普通徴収を選択する方法があり、さらに、特別徴収を勤務先だけでなく、副業の事業所でも選択できるという文言を、総務省の資料から見つけました。次回は、そのあたりを解説いたします。
新刊『元国税局芸人が教える 読めば必ず得する税金の話』
(総合法令出版/1,404円/税込)さんきゅう倉田の初の著書が発売されました。ぼくの国税局時代の知識と経験、芸人になってからの自己研鑽をこの1冊に詰めました。会社員やパート・アルバイトの方のための最低限の税の情報を、たのしく得られます。購入は コチラ
新刊『笑う数学』
(KADOKAWA/1,404円/税込/1月27日発売予定)数々の数学イベントで大活躍の、数学エキスパート集団「日本お笑い数学協会」(タカタ先生、横山明日希、さんきゅう倉田、平井基之、秋田崇宏、小林裕人、鰺坂もっちょ)のメンバーが書き下ろした、とっておきの数学の話100を収録。
「数学で愛の告白」「キスするのに最適な身長差を三角比で求める」「アイドルが売れる確率」など、多種多様な数学の話にハマる人、続出中!