「サンコー 【レアモノ】ショップ」といえば、おもしろくて便利そうなアイテムを開発・販売していることでおなじみだ。その山のようなアイテムの中から、「これは!?」というブツをライターの古田雄介氏が実際に使ってみるのがこの連載。今回のアイテムは使える? 使えない? さあどっち!
郵便物がポストに投函されたことを部屋で知る
注文した本やDVDが今日明日にも届くという状況になったとき、「楽しみにしている度」が高いほど気になって何かと手につかなくなる。仕事上で重要な書類が届く際も、早くほしいときほど到着までは胃が痛む。しかし、サインやハンコが求められる形式の郵送物でない場合、到着を知らせる合図はない。いつの間にかポストに入っているものだ。到着のタイミングが読めないからこそ、まだかまだかと無駄にそわそわしてしまう。
そんなもどかしさを解消してくれるのが、今回レビューする「ポストの見張り番」だ。
サンコー「ポストの見張り番」。サンコーレアモノショップでの価格は4,980円だ |
ポストの見張り番の送信機をポスト内部に設置すれば、郵便物が投函された際に室内の受信機が情報をキャッチしてくれる。ユーザーは部屋の中にいながら、受信機の液晶画面とブザーで投函を知ることができるのだ。
仕組みはシンプル。送信機からは金属製のL字レバーが伸びており、これを前後に動かすと1回のカウントが受信機に送信される仕組みだ。ポストのフタの内側にL字レバーが後方に押された状態で送信機をセットすると、郵便物が投函された際にL字レバーが前方に戻ってカウントが加算される。受信機はカウントが加算されるたびにブザーを鳴らし、液晶画面の数字をひとつずつ増やしていく。
公式サイトの構造図。送信機本体のサイズはW69×H40.5×D31mm(実測)で、ここから長さ約32mm(実測)のL字レバーが伸びる。正しく動作させるには、ポストのフタは高さ60mm以上必要だ |
送信機はL字レバーと同じ面に、電源スイッチとカウントクリアボタン、外部アンテナ用のコネクタを配置している。他の面に端子類はないので、ポストのフタが稼働する範囲で自由に装着できる |
送信機の電源には、別売りの角型9V電池を使う。1日10カウントした場合の稼働期間目安は最小5カ月なので、装着後は半年近く利用できる。受信機は付属のACアダプタと別売りの角型9V電池のどちらでも稼働する。ただし、電池を使うと待ち受け時間の目安が最小7時間で1日保たない。長く使うならACアダプタ稼働を基本としたい。
薄い郵便物でもカウントできたが、ポストの構造に依存する
では、早速試してみよう。送信機の裏側に付属の両面テープを貼り付けて、ポストのフタの内側に固定する。L字レバーが投函の邪魔にならないように、正面からみて右端に配置するのが実用的だ。
ポストを開いて、両面テープを貼った送信機を固定する |
L字レバーが押された(後方に行ききった)状態になることを確認して固定する。写真では見やすさのために中央付近に貼り付けているが、実際は右端に固定したい |
送信機本体だけでもカウントが送れるが、ポストにケーブルが通せる隙間があるなら、付属の外部アンテナをぜひ使いたい。鉄筋コンクリートや鉄骨構造の建物は電波を通しにくいので、1階のポストの情報を2階以上の部屋で受け取るならマストといえる。
送信機の準備が完了したら、あとは受信機の電源を入れるだけ。受信機側の設定はとくに必要なく、アンテナを伸ばして送信機側に向けるだけでいい。ただし、今回の試用機は送信機の電源コネクタの接触がやや甘いようで、送信機のカウントが送信されずに何度か装着をやり直した。送信機の設置が完了したあとは、その場で受信機で動作を確認したい。試用機は固定時に通電が確認できたあとは安定して稼働したが、送信機は屋外に長期間置かれることになるので、数カ月に1回程度のペースで動作確認するのが無難だろう。ちなみに、購入からのメーカー保証期間は6カ月間となる。
早速、ハガキやA4チラシ、長型4号封筒、雑誌を入れたB5封筒を投函。筆者宅のポストは薄い書類でもフタを内側に押さないと投函できない構造のため、すべて問題なくカウントされた。また、受信機の感度も良好だった。最長使用可能距離は100mと十分に広く、筆者の木造3階建ての家ではどこの部屋でも問題なく動作している。少なくとも住宅で使うなら十分実用できるだろう。低階層ならオフィスビルでも役立つ可能性は高い。
ただし、スリットが大きなポストはフタを動かさずに薄い書類が投函できるので、正しくカウントされない可能性がある。可動式のフタがないポストでも同様だ。これは構造上の問題なので解決は難しい。
しかし、ここで購入を諦めるのはもったいない。保証外の使い方となるが、ポストの構造によっては、内フタを自作したり、投函物が落下するたびに前後に振れるシーソー構造の板を内部に組み込んだりして、対応する手もあるのだ。
ポストの見張り番はその単純な仕組みゆえに、アイデア次第で様々な応用が効く。もちろん、投函監視以外の目的にも応用可能だ。
部屋や引き出しの開閉監視や用紙残量監視に使える!
たとえば、プライベートなものが詰まった引き出しを家族に勝手に開けられたくない場合、引き出しにポストの見張り番を設置するといった使い方ができる。部屋から出るときに電源を入れれば、万一誰かに開けられたときも受信機にしっかりとした証拠が残るというわけだ。
ただ、受信機を隠しておいてもブザーが鳴るうえ、引き出しを開けた時点で何やら装置が組み込まれていることは明らかだ。「母さん、俺の引き出し6回も開けたでしょ!」とケンカするのも悲しいので、どこかの引き出しに開閉を監視する装置を付けていることを事前に伝えて抑止力にするのがベターといえる。
この応用編として、ダイエット中に冷蔵庫の外側に設置するといった手が使えるかもしれない。開閉する回数をカウントする仕組みは、自制心を助けるだろう。そのほかに職場でも、重要書類を入れた引き出しを勝手に開けられるのを防ぐといった使い方ができる。
引き出しではなく、部屋のドアにポストの見張り番を固定して入室管理する手も使える。上記と似たような使い方のほか、室内犬や猫などのペットがいる家庭でも役立つだろう。PCルームやAVルームに設置すれば、ペットが入ってしまったときもスグに察知して、漏電やペットの怪我などを未然に防げる可能性がある。この場合は、受信機をリビングや別の自室などに置くことになるので、外部アンテナはほぼ必須といえる。
ちょうつがいの隣にポストの見張り番を設置。部屋側に開く構造のドアのため、閉じた状態ではL字レバーが解放されるようにした。外開きの場合はL字レバーが押された状態にする |
ドアが開くとL字レバーが押される。このままドアが戻ってレバーが解放されると受信機のブザーが鳴ってカウントが加算される |
最後の提案は、即席の用紙残量チェッカーだ。用紙トレイの脇などにポストの見張り番を設置する。用紙の残量がたっぷりある状態でL字レバーが押し切った状態になるように高さを調節すれば、用紙残量がわずかになったときにレバーが解放されて受信機が反応するため、完全に切らす前に気づいて補充できる。SOHOや職場で活用する手があるだろう。個人向けで内蔵できるコピー機は少ないが、たとえば原稿用紙や封筒の束、メモ用紙のストックスペースに組み込むといった応用もできる。
ポストの見張り番は、郵便物の監視アイテムとしても実用的なうえ、シンプルな仕組みゆえに様々な応用ができる。上記の3例以外にも、L字レバーに小皿大のボタンを取り付けて「へぇ~ボタン」的なオモチャを自作し、結婚式の2次会の小道具に利用することも可能だろう。あくまで自己責任でのチャレンジとなるが、想像力をかき立ててくれるのも大きな魅力といえる。
郵便物の到着が読めなくてイライラした経験がある人や、不在時に何かしらの不安を抱えている人、そして、想像力が豊かな人にオススメしたいアイテムだ。
■仕様 | |
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ポストの見張り番 | |
W69×D62×H72(L字レバー含む)mm/約165g(電池含む) | |
W130×D26×H75mm/約100g(電池含まず) | |
φ30×H170mm/ケーブル長約480mm | |
送信機:角型9V電池/受信機:ACアダプタ、角型9V電池 | |
送信機:約8カ月/受信機:約7時間(電池稼働の場合) | |
送信機:約5カ月/受信機:約5時間(電池稼働の場合) | |
315MHz | |
約100m | |
4,980円 |