「サンコー 【レアモノ】ショップ」といえば、ちょっと変わったUSB機器やアヤしいガジェットを売り出すことでおなじみ。このコラムでは、古田雄介氏を執筆者に迎え、そんなサンコーの各製品がどのようなものなのか、はたまた本当に役に立つのかなどレビューを行っていく。
ギリギリ感を救ってくれるビジネスバック
外出先で手持ちのデジタル機器がバッテリ切れ直前になると、どんなに順調に仕事していても途端に心の平穏が失われる。ケータイなら重要な電話がかかってきも通話中に切れる危険と隣り合わせになるし、取材先での撮影中にデジカメが使えなくなったらと考えるだけで胃が痛い。ノートPCの残量がゼロになったら、移動中や予定の合間にやろうと考えた作業が後回しになって悲しくなる。これらのストレスは、予定時刻ギリギリで待ち合わせ場所に向かうときのそれに近い。
毎回ちゃんと充電して外出すればいいのだが、突発的な外出にも完璧に備えるのは難しい。そんな悩ましい気持ちを軽やかに救ってくれるのが、「ソーラーバッテリー内蔵バッグ ビジネスタイプ」(SOLBAG01)だ。
主な仕様 [電池サイズ] 13×45.5mm [電池持続時間] 接続機器、使用する充電池により異なる [充電時間] 容量1000mAhのニッケル水素充電池をフル充電する場合:約 3.12時間、容量2000mAhのニッケル水素充電池をフル充電する場合:約 6.24時間 [直販価格] 12,800円
ソーラーバッテリー内蔵バッグ ビジネスタイプは、ソーラーパネルを側面に組み込んだビジネスバッグで、太陽光から変換した電気を蓄電するバッテリパックを備えている。このバッグを持って外出していれば、何もしなくても予備の電力がためこまれていくのだ。
内部には2枚のクッション材があり、その間にノートPCなどの精密機器を入れて安全に持ち運ぶことができる。そのほかにも、外側ポケットや左右に配置した見にポケット、内部のシースルーポケットなどを用意。複数の書類や文具、デジタル機器を持ち歩くビジネスマンにとっても十分実用的な収納力があるといえよう。
一番目立つ場所に4枚のソーラーパネルが並ぶ画期的なバッグながらも、外観は無難にまとめており、ビジネスマンがひしめくオフィス街でもそれほど目立たない。また、主な素材にナイロンを使っていることもあり、バッテリパック込みでも特別重さを感じさせない点も好印象だ。同僚に「その反射板みたいなの、何?」と尋ねられることはあるかもしれないが、メインのビジネスバックに乗り換えるのにも大きな支障はないと思える。
では、実際に街に出て、ソーラーパワーの恩恵にあずかろう。晴天の某日、午前7時から午後8時まで外出した。
肩掛けすれば光合成を擬似的に感じさせてくれる!
内蔵するバッテリパックは、2000mAhの単三ニッケル水素充電池を4本備えており、太陽光でフル充電するには約7.6時間かかる。ただし、ソーラーパネルにあたる太陽光の強さに依存するため、太陽とバッグの向きや光を遮る建物の影響などで、充電ペースはどうしても落ちる。試用中、日中の屋外を歩いているときは、肩掛けのままでも充電ランプの点灯が確認できたが、夕暮れに近づくにつれて消灯することが多くなった。また、屋内のカフェで休憩中、ソーラーパネルを表にしてバッグを椅子に立て掛けたが、間接照明だったこともあり、ランプは消灯したままだった。
このため、1日中屋外にいてもフル充電には至らないと考えたほうがいいだろう。屋内でも、直接照明に向けてソーラーパネルをかざせば充電ランプを最大輝度で光らせることができるが、そうした無理はせずに、数日かけて少しずつ予備電力を蓄えていく感覚で付き合いたい。もちろん、充電が途中でもそれまでに蓄えた電力は利用できる。
内蔵バッテリパック。充電池は市販のものに付け替え可能だ。ただし、容量が少なくるほど充電器できる機器が限られるため、1000mAh以上のタイプが推奨される |
ソーラーパネルとは、左端のIN端子でつながっている。LEDは左から順に、充電中、フル充電、残量わずかとなる。出力側は、ケータイやMP3プレーヤーなどは6V、ノートPCなどは19Vの端子を使う |
1日中バッグを持ち歩き、ビジネスバッグとしての目立った欠点は見あたらなかった。カバンの中身は小分けできるので、多少手荒く扱ってもなかがごちゃまぜになることもなく、コの字にまで開ける広い間口は書類の取り出しを快適にしてくれた。内部ポケットのファスナー開閉を面倒に感じたり、柔らかさからくる若干のたわみなど、高級バッグの堅牢性や質感と比べると見劣りする部分はどうしてもあるが、特殊機能を搭載して直販価格12,800円のバッグとしては十分に合格レベルといえる。
何より、ソーラー充電という機能は、そうした些末な問題を忘れさせる"パワー"がある。デジタル機器のバッテリ切れを心配しなくて済むのはもちろん、屋外を出歩いているだけで無料の電気がどんどんたまっていくお得感が心地いい。まるで植物が光合成するように太陽光が自分に役立つエネルギーになるので、自ずと外を出歩きたくなるのだ。
ただし、メインバッグとして常用する際は、雨天に注意したい。防水加工を施しているため小雨が表面に当たる程度なら問題ないが、バッグの内部に浸水するほど濡れるとショートする危険があるのだ。
蓄えたソーラーパワーでケータイを救う!
帰宅後、1日でためたソーラーパワーで、ケータイを充電してみた。バッテリパックは充電途中であることを示す赤色のランプが光っていたが、この状態でどれだけの機器が充電できるのだろうか。
ソーラーバッテリー内蔵バッグは、複数の機器に対応するプラグとアダプタを付属している。6V出力用として、USB型とiPod用、auとNTTドコモ、ソフトバンクのケータイ端末向けプラグが揃い、ソーラーパネル以外のチャージ手段として家庭用コンセント用ACアダプタとシガーソケットも標準で使える。さらに、ビジネスタイプのみのツールとして、19V用のDCプラグ9種類もパッケージされている。19VはノートPCやビデオカメラなどの大型デジタル機器に向いた出力だが、電源プラグの種類は多岐に渡る。ノートPCとビジネスバッグの親和性を考えると、この特典の意義は大きい。
手持ちのケータイはソフトバンクの814T。付属のプラグの中からソフトバンク端末向けを選び、6V用給電ケーブルにつなげる。そしてバッテリパックとバッテリ残量ゼロの814Tを接続すると、814T側の充電ランプが点灯。すぐに起動できる状態になった。電池残量のメーターは5分50秒でひとつプラスされたが、フル充電には至らなかった。ソーラーパワーでの充電をメインにする使い方は厳しいが、緊急時のチャージとしては十分に役立つだろう。
後日、ほぼ同様の条件で充電し、クリエイティブメディアのMP3プレーヤー「ZEN STONE 1GB」も充電してみた。フル充電なら公称値で最長10時間、筆者の使い古したモデルでの実測で約6.5時間(音量設定も関係している)再生できる製品だが、バッテリパックでチャージしたあとは電池残量ゼロの状態から2時間48分の再生ができた。
19V側を使えばノートPCの充電も可能だが、残念なことに手持ちのレッツノートW7は16V(3.75A以下=60W以下)入力にのため、うまくチャージできなかった。充電池を3000mAhタイプに切り替えれば、60Wに近い電力が供給できると思われるが、やはり非対応の電圧を送るのは故障の原因となるため、予備電力といえども常用するのは避けたい。ソーラーバッテリ内蔵バッグに付属する小冊子によると、ソニーやレノボ、NEC、東芝、ASUSTeK製のノートに使える可能性が高いが、いずれにせよ、手持ちのノートのACアダプタに記載された仕様を確認したうえで、自己責任で利用してほしい。
以上、レッツノートW7使いの筆者としては少し残念な結果となったが、歩いているだけで予備電力がたまるという機能は、実効的にも精神的にも大きな恩恵を与えてくれる。これさえあれば、夏本番を前に太陽光の強さが頼もしく感じるはずだ。
■仕様 | |
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ソーラーバッテリ内蔵バッグ ビジネスタイプ SOLBAG01 | |
単三型ニッケル水素充電池x4(iPodや携帯電話など充電対象となる機器のバッテリ容量よりも、300mAh以上大きなものを用意する) | |
ソーラーパネルの仕様:2.4W(6V/400mAh)。容量 1000mAhのニッケル水素充電池をフル充電する場合:約 3.12時間、容量 2000mAhのニッケル水素充電池をフル充電する場合:約 6.24時間 | |
接続機器、使用する充電池により異なる | |
日本語説明書、各種DCプラグ(19V用)、USBAメスケーブル(6V用)、iPod用プラグ(6V用)、携帯電話充電用プラグ(6V用)、変換ケーブルx2(19V用x1、6V用x1) | |
13mm×45.5mm | |
12,800円 |