ほほえみの国・タイは、ほんのりスリリング!? 街も人も、なにもかもが新鮮なおもしろローカル旅を50ページ超の描き下ろしマンガとともに描いた、小林眞理子さんの紀行エッセイ『タイランドクエスト てくてくローカル一人旅』(大和書房)より、オススメのエピソードを抜粋してご紹介します。
マイペンライなムエタイ体験
ムエタイジムはバンコクやパタヤ、チェンマイ、サムイ島など観光客が多いところであればあるほどにその数は多い傾向にある。ムエタイは競技人口が世界的に多く、外国人にも広く門戸を開いていることから、海外の人が集まる場所には自然とジムの需要が高まるのだ。
その目的は各人違う。お試しでムエタイを経験したい、運動不足やストレス解消をしたいという日常的なものから、強くなりたい、試合に出て勝ちたいなど、様々である。
バンコクにも数多くのムエタイジムはあるが、南の街プーケットのフィットネスストリートと呼ばれる場所は有名だ。そこにはタイガームエタイという老舗ジムを筆頭に、無数のムエタイジムが立ち並んでいることから世界中から格闘家や愛好家が集まる。
また、ムエタイジムでは地元のタイ人に加えて各国から来る人たちと練習を通して生の国際交流もできたりする。
ここまで読んでムエタイに挑戦してみたいと思った人も少なからずいるとは思う。しかし、興味は持ったとしても、ある程度の経験や体力に自信がないとできないように感じられる人の方がやはり多いかと思われる。
ただ、事実はまったくその逆。初心者であっても、性別年齢問わず、無理なくムエタイを体験することができる(ワンレッスン大体300~500バーツ、回数券割引などを設けているジムもある)。
たとえプロだらけのゴリゴリなムエタイジムであっても、自分が初心者であることを伝えさえすればいい。どんなジムでも、パンチやキックのフォームを1から教えてくれて、各自のレベルに見合った練習をさせてくれる。ダイエット目的で来たお母さんにくっついて来た小さな子も一緒にキックの練習をしているようなこともザラだ。
ここまで言っても通常のグループレッスンに参加するのが不安な人もいると思う。大丈夫。
数百バーツ高くはなってしまうが、ほとんどのジムがプライベートレッスンも設けている。どちらのレッスンも、日本の学校の体育会系のような感じではなく、休みたかったら勝手に休んでいいし、疲れて途中で止めても怒られるようなことはない。
これはタイ人がマイペンライ(大丈夫、問題ない、細かいことは気にするな、何とかなるさ、気楽にいこうぜ)という精神を心底大切にしているからでもあるだろう。初心者でも安心して自分のペースで練習ができる。
タイに行ったら、一度本場のムエタイに挑戦してみたら新たな世界が開けるかもしれない。
『タイランドクエスト てくてくローカル一人旅』(小林眞理子/大和書房)
ほほえみの国・タイは、ほんのりスリリング!?
得体のしれない生肉料理「ラープヌアディップ」に、雲海を歩く金色のお釈迦様!?「パ」だけで通じ合えるタイの人々との日常会話。街も人も、なにもかもが新鮮なおもしろローカル旅を50ページ超の描き下ろしマンガとともに描いた爆笑紀行エッセイ! Amazonなどで好評発売中です。