大きな駅でどうしても迷ってしまう、という人がいる。あるいは、大きな駅ではないのだけれども、複雑な駅なので、どうなっているのかわからないで困る、という人もいる。そんな人は、どうすればいいか。
大きな駅は、わかりやすい
実は、大きな駅は、駅自体が大きいだけで、案内にしたがって行けば、決してわかりにくくはないのである。その通りに歩いていけば、目的の改札や、出口に出ることができる。一般に、大きな駅は、通路やホームなどを合わせると、四角形で構成されている。その四角形のとおりに歩いていけば、問題はなく目的地にたどりつくことができる。
たとえば、JR東京駅は3つの大きな通路があり、そこを通ると各改札口に出たり、乗りかえたりすることができる。ホームは各通路に対し垂直であり、各通路もまた平行である。ただし、京葉線と総武快速線は、つけたしのようになっている。
新宿駅も同様だ。JRの場合、成田エクスプレス以外のホームは、多少ずれてはいるものの、アクセスしやすくなっている。ただし渋谷駅は、現在はわかりにくくなった。どこにどんなホームがあるか、見当がつきにくいからだ。ではなぜ、駅は複雑に見えるのか。
駅は立体構造物
鉄道は、路線図だけを見れば平面の世界にあるように見える。また駅でも、地面に線路が並んでいるようすを見ても、地上に駅があるとしか考えられない。
ところが、利用する人たちは、線路を地下通路や跨線橋などを使って違うホームに行ったり、改札口に行ったりする。線路のあるフロアと、改札のあるフロアが別だということでわかりにくさが発生する。
さらに、いくつもの会社の路線が同じ駅に乗り入れている場合には、それが駅のどのあたりにあるかでわかりにくくなる。
新宿駅は、JRと小田急、京王が並行して並んでいる。JRが地上、小田急が地上と地下、京王が地下ということだが、いずれもおよそ南北に向けてホームが並んでいる。これだけならば、認識は可能かもしれない。
そこに東京メトロ丸ノ内線が駅の北側で東西に向けてホームがあり、都営地下鉄新宿線が駅の南側で東西に向けてホームがある。さらに都営大江戸線の新宿駅と、新宿西口駅が加わってとなると、ややこしくなる。
この場合、地上を歩いている立場だけの認識ではいけない。駅に掲示されている案内をよく見て、上からながめるようにそれぞれのホームを認識できるとよい。さらには、駅の立体的な構造を想像して、駅の形がいったいどのようになっているかを深く考えられると、迷わなくなる。
そう考えると、複雑でわかりにくいとされる渋谷駅は、「上からの認識」と「立体的な認」を組み合わせることで、駅全体の構造を想像しやすくなり、乗りかえが楽になる。地下から地上に出るにも、困難がなくなる。
本当につらいのは、地下鉄の乗りかえ駅
東京メトロでいうと赤坂見附や国会議事堂前は、巨大なターミナルではないけれども、いまいち構造がわかりにくい駅だ。こういった駅は、普段利用している人はすんなり利用できるけれども、初めて行く人には、どんな駅か想像がしにくい。
まずは地上に出たり、目的の建物にいったりすることを考えよう。その場合、駅の中にある案内図や、ある建物にいちばん近い改札はどこかを示す表示には、素直に従おう。知ったふりをして闇雲に行動すると、大変なことになる。
もしiPhoneを持っている人なら、「コンパス」が内蔵されているはずだ。そのコンパスで、東西南北の方向感覚を取り戻してほしい。それは、駅で迷った際に本当に助けになるはずだ。
わかりにくい駅は、東西南北の位置感覚がほんとうにつかみにくい。この位置感覚を持つだけで、迷わなくなる。それに、駅の立体構造の感覚をとらえることをつけ加えれば、なんとかなるだろう。
著者プロフィール: 小林拓矢
1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。大学在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道、時事社会その他についてウェブや雑誌・ムックに執筆。単著『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に共著者として参加。
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