多くのビジネスパーソンは、20分から40分は電車に揺られないと職場の最寄り駅には着かない。人によっては、1時間を超えることもある。そんな通勤電車の乗車時間を、どう活用すべきなのか考えてみた。
電車で新聞を読む
通勤電車、とくに出勤の時間帯の電車に乗る場合、その時間を情報収集などにあてたいと思うものだろう。そんな人の場合、新聞やスマートフォンのニュースアプリを読む、ということになる。紙の新聞を読むか、スマートフォンアプリの紙面ビューアーで読むかは、人によってさまざまだ。だが昨今では、電車の中で紙の新聞を読む人は減りつつあり、新聞を折って読むという技術も、しだいに消えつつある。
電車内での乗客の行動を見ていると、スマートフォンやiPadなどのタブレット機器で新聞の電子版、とくに「日本経済新聞電子版」の紙面ビューアーを読んでいる人が多い(と筆者は感じる)。もちろん、日本経済新聞だけではなく、多くの新聞が紙面の電子配信を行っている。
さて、スマートフォン/タブレットで新聞を読むメリットはどのようなものがあるだろうか? まず、紙の新聞を読む場合に比べて他の人のじゃまにならず、スマートに情報収集をすることができる。
どこでも最終版が読める点もメリットだ。新聞は、都心部では最終版が宅配され、売店でも販売されるが、都心から離れてしまうと、締め切り時間の早いバージョンのものしか手に入らない。とくに、いまはどの新聞も最終版の宅配地域を狭めている状況にもある。
だが、スマートフォン/タブレットであれば、どこでも最終版を読むことができる。たとえ八王子や千葉のように都心から離れ、紙の新聞では最終版が読めないような地域でも、最新の情報を手に入れることができるのだ。
スマートフォン/タブレットで新聞をしっかり読みたいのであれば、好みの新聞の電子版を契約するのがよいだろう。本稿掲載時点で、読売新聞以外の全国紙は、電子版だけの購読も可能となっている。新聞ほど深い情報が必要ではないという人には、スマートニュースやグノシー、Yahoo!ニュースなどのアプリを活用するのもよいだろう。
駅売店を情報収集源に
このほか、駅の売店で新聞各紙の1面を眺めるのも、情報収集のひとつの技術である。各紙どんな記事を1面トップに持ってきているかを比べることで、いまの世の中の動きがわかる。
とくに面白いのは、帰宅時の夕刊紙のチェックだ。一般紙の夕刊だけではなく、「日刊ゲンダイ」や「夕刊フジ」といった駅売りメインの夕刊紙をながめることで、世の中のうがった味方を手にすることができる。
一般に、「日刊ゲンダイ」は現在の政権に批判的、「夕刊フジ」は現在の政権に肯定的とされる。そのあたりのちがいは興味深い。
帰りの電車では?
帰りの電車で一息つこうとすると、週刊誌などの広告が目に入る。この広告自体もまた、情報源である。
とくに「週刊文春」などの広告を読んでいると、いまどんなスキャンダルが起こっているのかといった情報がわかってくる。そんな雑誌をすぐに見てみたいと思ったら、「dマガジン」などの雑誌読み放題アプリを使用しよう。
「週刊文春」などの一般週刊誌は、連載には掲載されないものがあるものの、記者が取材しスクープとして取り上げた記事はほとんどが掲載されている。一方で「週刊東洋経済」などの経済週刊誌は、特集の一部などがカットされていることが多い。このあたりは実際にアプリ使用して確認していただきたい。
このほか、中吊り広告などの車内広告も貴重な情報源となる。デパートの紳士服のバーゲンなどの広告は、仕事で着る服のことを考える際に参考になるであろう。また、分譲マンションの広告は、そろそろ持ち家を、という人にとっては、重要な情報である。また、ベストセラーの広告なども掲載されている。そうしたものをチェックして、今後の読書の参考にもしていただきたい。
本稿では、電車通勤の際の情報収集について解説した。忙しいビネスパーソンは、通勤電車に乗っている時間もムダにすることはできない。情報収集の時間として、しっかり活用しよう。
著者プロフィール: 小林拓矢
1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。大学在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道、時事社会その他についてウェブや雑誌・ムックに執筆。単著『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に共著者として参加。
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